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絶体絶命悪役令嬢  作者: 8D
絶体絶命攻略対象
22/74

九話 真実追求 後編

 修正しました。


 ご指摘のあった部分を修正致しました。


 誤字報告、ありがとうございます。

 修正致しました。

 反論したセイルはさらに言葉を続ける。


「あなたの推論が当てはまっていたとして、だとしても木箱が黒曜石の欠片で一杯になっていた事実は変わらない。殴り倒せても、運べないのなら私に犯行は不可能のはずですわ!」


 確かにその通りだ。

 しかし私は慌てない。

 既にその答えも私の中にあるからだ。


「……二つ目の石像は、何故壊されたのでしょうね?」


 冷静に問い返すとセイルは目に見えて動揺した。


「それは、ブレスを引っ掛けて――」

「いいえ、それは違います。ルーさんも言っていましたが、あの場には敷物が敷かれていました。倒されたくらいでは、あそこまでバラバラにはなりません。だから、石像は故意に倒されたのです。それに――」


 何かを言おうとするセイルに、証拠品の一つをつきつける。

 ジェイルのペンダントだ。


「このペンダントについた、赤い糸くず」

「それが何か?」

「あなたのブレスの紐は、赤いようですね」

「……何の事かしら?」

「最高級の桃色真珠を赤珊瑚の粉末で着色した紐で纏めている。でしたか? 赤珊瑚の粉末という事は、無論その紐は赤いはずです」

「そんな事を言ったかしら?」

「はい。確かに言っていました。この場で」


 こんな大勢の前で言った事だ。

 言い逃れはできないだろう。


「このペンダントの糸くずは、あなたのブレスの糸くずなのではないですか?」

「!」

「あなたがブレスを引っ掛けたのは、石像ではなく被害者のペンダントだった。そして、何故そんな所にブレスを引っ掛けてしまったのか。それはあなたが被害者を殴打した際、被害者の首にあったペンダントへ糸が引っ掛かったから。違いますか?」

「違うわよ! 何よ、そんなの証拠のない言いがかりじゃない!」

「確かに、これはあくまでも私の推論でしかありません。しかし、可能性はあります」


 私はその可能性を提示しただけだ。

 これだけで彼女を追い詰められるとは思っていない。


「そしてその可能性を前提として考えれば、やはり石像がブレスによって壊されていないという事になる。では何故、石像が壊されたのか……。事故ではなく、故意だというのならそこには必ず理由があるはずです。そして、その理由は――」


 私は『事件後の美術準備室』のスケッチを取り出して見せた。


「ここに描かれている」


 私は、スケッチに描かれた床の破片を指差した。


「当時、木箱の中は破片が詰まっていて人が入る余地はありませんでした。ですが、それでも被害者を隠す方法はあります」

「それは……」

「一つの箱から破片を出して空にしてしまえば、そこに人を入れる事もできるでしょう。そして、その上に破片の入った木箱を載せる事で完全に人目から隠してしまえます」

「ちょっと待て」


 私が言うと、アスティが口を挟む。


「破片を全て出したというのなら、その破片はどこへ消えたんだ?」

「その疑問に対してなら、私は先ほどと同じ指摘をするだけですよ」

「何だと?」


 私は王子にスケッチを見せ、床に散らばる破片の部分を指でトントンと叩いた。


「だがそれは……はっ」


 どうやら、アスティも気付いたようだ。


「『拳』によって殴り倒し、犯人は木箱に被害者を隠した。しかし、その過程で床には箱の中にあった黒曜石の破片が散らばる事となってしまった。このまま黒曜石を残せば、あまりにも不自然。空の木箱で被害者を運んだ事はすぐに明らかとなった事でしょう」


 でも、そうはならなかった。

 それは何故か。


「だから犯人は、その不自然さを消す必要があった。だからこそ、黒曜石の破片が散らばっていても不自然ではない状況を作り出したのです。美術準備室にあった、作りかけの石像を壊す事によって!」

「!」

「壊されてバラバラになった石像は床に散らばった破片と混ざり合った。一度混じってしまえば、どれが最初の石像か二つ目の石像の破片かわからなくなる。だから、あなたは石像を壊したのです!」


 これが私の証明だ!


 このトリックを使えば、ルーの立証しようとした通りの手順で犯行を行なう事が可能だ。


 犯人……セイルの行なった工程はこうだ。


 まず、彼女は美術準備室でジェイルを凶器で殴打した。


 掌の傷から見て、彼女は右利き。

 恐らく、ジェイルの背後から忍び寄って犯行に及んだのだろう。


 そしてその凶器として用いられたのが、木箱の中に入っていた石像の破片。

 黒曜石の『拳』である。


 この時にブレスがペンダントに引っ掛かって千切れ、真珠が散らばった。


 その後、黒曜石の欠片を床に出す事で木箱を空にする。


 床には敷物が敷かれていたため、ぶちまけてもある程度は音を抑えられたのだろう。


 その後、気を失った被害者を空になった箱へ入れ、欠片の入った木箱を載せて隠す。

 恐らく、これらの作業はリフトを使って行なわれたのだと思われる。


 それらの準備が整ってから石像を倒し、壊れた石像の破片を予め床にぶちまけられていた破片と混ぜる。

 その音を聞きつけた部長が美術準備室へ顔を出したが、その時にはすでにジェイルは箱詰めされていて見つかる事はなかった。


 部長をやり過ごしたセイルは、そのまま外へ出てゴミ捨て場へ向かう。

 しかし、そこでアクシデントに見舞われたのだと思われる。


 カインが現れたのだ。

 そのゴミ捨て場には、倒れるジェイルがいた。


 咄嗟の機転で講堂の奥へ隠れた彼女は、カインがジェイルを見つけて近寄った時を見計らい、悲鳴を上げた。

 そしてその悲鳴を聞きつけた私達に向かって、カインがジェイルを殴ったと叫んだのである。


 外されていたカーテンについてはよくわからないが、恐らくルーの偽装だったのだろう。


 これが、私の導き出した今回の事件の全貌だ。


「いかがですか? 今証明した通り、あなたによる犯行は不可能ではなかった」


 私は、セイルに問い掛ける。


「ま、待ちなさい! そんなの言いがかりよ! 証明できないはずよ、あの破片が前の石像の物だったなんて。それとも、一つ一つ破片を組み立てて証明するつもりかしら?」

「それでは今日の議論中には間に合いませんね。でも、その証明にそれほどの手間はかかりません」

「なんですって……!?」


 驚くセイルを尻目に、私は憲兵に向く。


「すみませんが、美術準備室に落ちていた破片を全部持ってきていただけますか? ついでに中身を確認できるようにしてほしいのですが」

「わかりました!」


 お願いすると、憲兵は一度敬礼して外へ出る。

 すぐに戻ってきた。


 ルーはゴミ捨て場と美術準備室の破片を分けて保管していると言っていた。

 証拠品として使うためだろうから、講堂内に運び込んでいたんだろう。


 憲兵は、破片の入った袋を台車に乗せて持ってくる。

 床に布を敷き、その上に破片を出した。

 その上で見やすいように、破片をたいらに並べてくれる。


 それら一連の作業が、てきぱきと手早く行われた。


 本当に優秀だな。

 この国の憲兵は……。


 私は破片の方へ行き、ある物を探す。

 そして、それを見つけた。

 それを手に取り、セイルに見せる。


「これが何か、わかりますか?」


 私が手に取った破片には、何かの文字が刻まれていた。


「……サイン?」


 黒曜石には、アルティスタのサインが刻まれていた。


「それが、何?」

「このサインは、完成した作品にアルティスタくんが刻むサインです。一昨日に作られた像にも刻まれていました。けれど、昨日作りかけだった像には当然刻まれていませんでした」

「あ……ああ!」


 私の言いたい事に気付いたのだろう。

 セイルは声をあげる。


『事件後の美術準備室』のスケッチ。

 そこには、文字の刻まれた破片が描かれていた。

 あれはなんだろうと思ったが、よくよく考えればアルティスタの刻んでいたサインでは無いかと私は気付いたのである。


「そう。美術準備室の破片が昨日壊れた石像の物だったとすれば、このサインの刻まれた破片が落ちているはずはありません」


 昨日の像は未完成で、まだサインを施されていなかった。


「つまり少なくとも、木箱の中身が美術準備室にばら撒かれていたという事実は間違いなかったという事です」


 サインは、最初に壊された『拳』の石像にしか刻まれていなかった。

 だから、このサインが美術準備室に落ちていたという事は、一昨日に壊された石像の破片がそこに混じっていた事を意味している。


「でも……だったとして、動機は? 私は、ジェイル様を恨んではいませんわ。それどころか、交流すらなかったのよ?」


 セイルが反論する。


 ……そういえば、そうだ。

 これについても、まだいまいちわかっていない。


 何か理由はあるだろうか?

 彼女がジェイルを恨む理由。


 証拠は全部出揃っている。

 でも、彼女個人の目的を証明するものは無さそうだ。


 何かなかっただろうか?

 彼女の動機となりえる情報は……。


 しばし考え……。

 思いつく。


 確証はないが、恐らく動機はこれじゃないだろうか。


「あなたには、被害者を恨む動機などなかったでしょう」

「ほら、見なさい!」

「ですが、殺さなくてはならない理由はあったのではないかと思われます」

「は?」

「あなたの家には、莫大な借金があるという話ですね」

「!」


 私の指摘に、セイルは驚愕する。


「そして、あの美術準備室にはアルティスタくんの作った品がいくつも並んでいました。彼の作品は、一つで屋敷が建つ程に価値が高いものだそうですね。あなたは、それを目当てにそこへ侵入したのではないですか?」


 そしてそれが、彼女が美術準備室へ訪れた本当の理由。

 彼女がその証言を拒否した、理由だ。


「言いがかりだわ! 何を根拠にそんな事をおっしゃるの!? これは侮辱でしてよ!」

「では、説明していただけますか? 何故、あなたは人目を避けてまであの美術準備室へ侵入したのか」

「……たまたまよ。たまたま人がいない時に入っただけの事ですわ」

「それは無理があります。昨日の校舎は、朝から人で賑わっていました。その人々の目に一切触れず、廊下から部屋へ入る事はできません。それでも人目を避けようとすれば、それこそ窓からでも入らなければ不可能です」


 ルーが指摘した通り、セイルは美術部員だ。

 美術準備室に入っても特に怪しくないし、何かしらの細工をする機会はいくらでもある。


「そして、あなたはアルティスタ様の作品を物色していた所を被害者に見られた。違いますか? だからあなたは、証拠隠滅を図るために殺害しようとした。背後から隙を衝いて、黒曜石の『拳』で彼女を殴り倒したんです」


 私が言うと、セイルの表情が今まで以上の焦りに染まった。


「まぁ、これらは証拠もなく憶測の粋を出ませんが。少なくともあなたには動機があり、犯行を実行する事もできた。これらの点から見ても、あなたは十分に犯人足りえるのです!」

「ひぎぅっ!」


 人差し指を突きつけて言い放つと、セイルは奇妙な悲鳴を口から漏らした。


 ふぅ……。

 これで、全て証明できたはずだ。


「……これで、終わりか?」


 アスティが訊ねてくる。


「はい。恐らく」

「やったな」


 アスティは私に笑顔を向けた。

 緊張が解けたのか、彼の強張っていた表情からは柔らかな安堵が見て取れた。


 終わった……。


 そう思った時である。


「ふ、ふふふふふ……」


 セイルの口から小さな笑い声が聞こえてくる。


「まだよ……。まだ、終わらないわ!」


 そう叫ぶと、セイルは私を睨みつけた。

 次いで、言葉を投げつけてくる。


「確かにあなたは立証したわ。可能性を……。でもそれは、可能性でしかないのよ」

「どういう事ですか?」

「確かに、私にも犯行は可能だったかもしれない。あのややこしいトリックを使えばね。でも、もっと簡単にてっとり早い犯行方法がありましてよ」

「それは?」

「ゴミ捨て場で、被害者を殴り倒す事よ!」

「!」

「よく考えなさい! 確かに、私にも犯行は可能だった。でも、容疑者であるカイン様にも犯行が可能じゃない! なら、まだ犯人は断定できないはずよ! 私が彼女を殴った証拠も、容疑者が殴らなかった証拠も、まだ何も出ていないんだから!」


 ……くっ。

 彼女の言う通りだ。


 私は彼女の犯行の可能性を立証した。

 でも、犯行が可能だったという事しか証明できていない。


 今の段階では、セイルとカインのどちらが犯人なのかをはっきりと断定できていない。


 そして、どちらが犯人であるかという決定的な証拠も見つけていない。


「そう……そうよ!

 全部あなたの推論でしかないじゃない!

 私の姿は多くの人に見られたけれど、誰も私が被害者に会っている所は見ていない!

 本当にあなたの推理が正しいという証明はまだ、成されていないはずよ!

 でも、容疑者が被害者と一緒にいる所は目撃されている!

 私を除いたとしても、他でもないあなた達が目撃した事実じゃない!

 何より、あの男は現場から逃げ出したわ!

 それはきっとやましい事があったからよ!

 彼が犯人だからよ!

 そう! それが動かしようのない事実!

 そうでしょう!

 アハハハハハハッ!」


 勝ち誇り、狂ったように笑うセイル。

 そこには、多くの男子生徒を虜にした粛々とした美貌、その名残すら感じられなかった。

 代わりにあるのは、そこはかとない狂気……。


「実際、私はあの日一度もジェイル様に会っていない! 何か反論があるかしら!? 私がジェイル様に会った証拠があるかしら!? あるなら、証明してみなさいよ! 証拠でね!」


 一度もジェイルに会っていない、か。


 今の所、確かに犯人を断定できていない。

 セイルにも犯行は可能だが、カインにも犯行は可能だ。

 そして、確かにカインはあの場から逃げ出した。

 その事実は彼への心証を悪くする一因となるだろう。

 このまま議論が終われば、きっとこの結論は司法の場へと移る。

 そうなれば、彼が有罪になる可能性は高い。


 彼の無実を証明するには、ここで全てを明らかにする必要がある。


 何か、証拠は無いだろうか……。

 犯人を断定できる証拠は……。


 あるとすれば、この中だ。


 私は手元の証拠品を改める。


 何か……。

 何か……。


 セイルは、昨日一度もジェイルに会っていない。

 彼女が犯人だとすれば、それは間違いなく嘘だ。

 だとすれば、きっとどこかにセイルの証言と矛盾した証拠がある。


 私はジェイルのペンダントを手に取る。

 これは証拠の中で唯一、ジェイルが持っていた物だ。


 でも確か、一昨日に会ったジェイルは別の形のペンダントをつけていた。

 ドーナツ状の真ん中に丸い穴の開いたペンダントだ。

 でもこれは円盤状。

 薄い石でピンク色というのは同じだけれど、穴は開いていない。

 まるで、何かに穴を塞がれたみたい……。


「ああっ! そういう事か!」

「どうした?」


 唐突に声を上げた私に、アスティが驚いて声をかける。


「今、全てが繋がったんです。それを証明します」


 アスティに答え、私はにやりと笑う。

 その表情を見た彼も、笑顔を返した。


「ああ。やってやれ」


 私は今も薄く笑い続けているセイルに目を向ける。

 その視線に、彼女は気付く。


「あら、相談は終わりかしら? でも、無駄よ。何も証拠はないんだから。どう足掻いたって無駄よ無駄。無駄無駄無駄無駄! この議論は終わりよ。そうなれば、私は司法の場で絶対に無実を勝ち取ってやるんだから! アッハッハッハッハ!」


 嫌味ったらしく、セイルは言う。

 顔を上げて哄笑した。


 そんな彼女を威圧するため、私は掌で台を叩く。

 ペチッ、という迫力のない音が鳴り、余韻を残す事もなくすぐに消えた。


 うう……。


 そんな時、私の横から手が伸びた。

 アスティだ。

 彼の大きな掌が台を叩き、バンッ! という大きな音を講堂中へ響かせた。


 その音に、セイルも驚いて一歩後退する。

 否応なく、こちらを見た。


「な、何よ」

「あなたは、昨日一度も被害者……ジェイルと会っていない。そうでしたね?」

「ええ、そうよ。間違いなくってよ」


 私は小さく指を振って不敵に笑う。


「それはおかしいですね」

「何がおかしいと言うのよ?」

「一つ、証拠を提示させていただきます。これをご覧ください」


 そう言って、私はジェイルのペンダントをセイルへ見せた。

 ピンク色の円盤状をした石のペンダントだ。


「それが……何?」

「このペンダントは被害者が事件時に着用し、その上で手に握りこんでいたものです」

「……」

「ところでセイル様。あなたのブレスには二十個の桃色真珠ピンクパールが使われているという話でしたね。そして、その内の一個がまだ見つかっていない……。そうですね?」

「ええ」

「では、その最後の一個がどこにあるか教えて差し上げます」

「なんですって……?」


 怪訝な表情を作るセイルへ見せつけるように、私は楕円型のペンダントを持った。

 そして、親指でペンダントの真ん中へ力を加える。


 すると……。


 ペンダントの中央がポコッとはずれ、私のもう片方の掌へ落ちる。


 真ん中のなくなったペンダントはドーナツ型の円形になり、そして外れた中央の部分はまん丸な球形。

 鈍い輝きを放つ、ピンク色の綺麗な球形だった。

 それはまるで、桃色真珠のようだ。


 ようだ、というよりも桃色真珠そのものである。


「ど、どうしてそんな所にっ! わたくしの桃色真珠が……っ!」


 セイルが、目を見開いて声を上げる。


「簡単な話です」


 私は静かに告げる。

 そして説明した。


「このペンダントは、事件のあった時に容疑者が握りこんでいた物。彼女はきっと最後の力を振り絞ってペンダントにこの真珠をはめ込み、強く握り込んでいた。発見されて、憲兵によってその手の中を改められるまでずっと……」


 そこで言葉を区切り、一拍置いてから強い口調で続ける。


「そう、昨日一度も会っていないはずのあなたの真珠を!」

「はっ……!」

「昨日、一度も会っていないのならばこの真珠が彼女の手の中にあるはずがありません。つまり彼女が最後の力を振り絞ってペンダントを握りこんだのは、自分を殴った犯人を告発するためだった」

「そ、そんな、ば、か、な……」

「被害者は犯人の持ち物をペンダントの穴にはめ込む事で、犯人を証明するためのダイイングメッセージとしたんです!」


 死んでないけどね!


「そしてこの事実は、あなたが事件時に被害者と会った事を指し示しています。ブレスが外れた時一緒にいたという事は、彼女が殴られた時一緒にいたという事でもあるんですよ!」


 私は、人差し指を突きつけてセイルに言い放った。


 今度こそ。

 これが、私の証明だぁ!


「ああああああああっ!」


 セイルは限界まで体を仰け反らせ、雄叫びとも悲鳴ともつかない声を上げる。

 そして、そのまま仰向けにばたりと倒れた。

 次でこの章はラストです。

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