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絶体絶命悪役令嬢  作者: 8D
絶体絶命悪役令嬢
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絶体絶命!

 本当は短編だったのですが、長くなったので読みやすさ重視で四回に分割します。

 毎日更新する予定です。

 某ゲームを参考にしたので、それっぽいです。


 おかしな部分を修正しました。

 私の名前はアリシャ・プローヴァ。


 公爵令嬢である。

 加えて言えば、ある乙女ゲームの悪役令嬢でもある。


 ドリル状の金髪と青い瞳。

 目つきの悪さが特徴的なおもに性格の悪い令嬢だ。


 何故私が自分を悪役令嬢だと自覚しているかというと……。


 そのゲームをプレイしていた、前世の記憶を今しがた思い出したからである。


 しかもそのタイミングたるや……。


「アリシャ・プローヴァ! 

 お前は常日頃からジェイル・イーニャへ嫌がらせ行為を働き、あまつさえ昨日は階段から突き落とした。

 それは生命をおびやかす行為だ。

 婚約者として今までは容赦してきたが、これは度を過ぎた行いに相違ない。

 よってお前をこの学園より追放、同時に俺との婚約を解消する!」


 時はまさに断罪&婚約解消イベント。

 講堂へ呼び出された私は、大勢の生徒が見守る中で婚約者である第二王子からそう言い渡された。

 ちなみに、ジェイルはこのゲームのヒロインの名前である。


 その王子の口上の真っ只中。

 私はあまりのショックから、前世の記憶を思い出したのだ。


 思い出したのはこの断罪イベントの事であり、私のその後の末路も余す所なく全てである。


 ヒロインのジェイルは平民出身だが、実は貴族の隠し子だという事が発覚した事により、貴族のみが通うこの学園へ入学してきた。


 アリシャは、婚約者である第二王子アスティ・N・トレランシアが平民出身のジェイルに興味を持っている事を知り、ヤキモチからジェイルを虐めるのだ。


 ちなみに、アスティ王子は攻略対象。

 私はそんなアスティ王子のシナリオにおける悪役令嬢である。


 その結果、シナリオのなかばでジェイルを階段から突き落とす。

 そして、断罪イベントが行なわれるのだ。


 そう、まさに今この時の事である。


 学園から追放されて婚約を解消されたアリシャは親からも見離され、平民落ちする。

 その後、頼る者もいないアリシャは王都のスラムで浮浪者となるのだ。


 ごめんである。


 大丈夫。

 きっとその後、元公爵令嬢の娼婦として売り出し、大成するという未来が待っているに違いない。


 と自分を慰めてみても、やっぱりごめんである。


 ただ、少し私がゲームで知りえた事と違う部分があった。


 私は、ジェイルを突き落としていないのだ。


 確かに、彼女を虐めてきた記憶はある。

 だが、今私が断罪されている理由であるジェイル突き落とし事件の記憶はなかった。


 それはつまり、この件に関してなら私は無罪だという事だ。


 ゲームでも、そうなのだろうか?

 でも、ゲームのアリシャは――


「だからどうだと言うのです? 公爵令嬢である私がたかが平民である彼女に何をしたとしてもたいした問題では無いでしょう」


 なんて事を言っていた気がする。


 認めてはいないが、認めたと取られてもおかしくない言い回しだ。

 ゲームの真相はグレーだな。

 高飛車傲慢な彼女の事。

 たとえ犯人じゃなくても、同じ事を言っていそうだ。


 その結果があのラスト……。

 このままではあのゲームのラストと同じく、私はあらゆる物を失うという事だ。


 つまり今の私は、絶体絶命の状況なのである。


 しかし記憶を思い出した以上、同じてつは踏みたくなかった。


 とはいえ、弁解が通じるだろうか?

 今までしてきた事が事だ。


 今更しおらしくした所で、信じてもらえない気がする。


 私は今まで……正確にはアリシャがだけど、それだけの非道を行なってきたのだ。


 言っては悪いが……自分の事だけど、アリシャはジェイルだけでなく他の生徒にもあまり好かれていない。

 というより、嫌われている。


 どう弁解しても同じ未来が待っている気がしてならなかった。


 どうすればいいだろう?

 どうすれば、私はあの運命を退ける事ができる?


 私は焦りを覚えながら、必死に考える。


 そうだ。


 私の断罪が、あのジェイル突き落とし事件によって決まったものなのなら……。


「どうした? 黙りこんでいないで、何か言ったらどうだ?」


 アスティ王子が強い口調で返答を促す。


 私は一つ大きく息を吸い、大きく声を上げた。


「異議あり!」

「何!?」


 驚く王子に対して、私はまくし立てる。


「今回の事は私の仕業ではありません」

「信用できると思うのか?」

「信用できるかできないか、ではありません。

 ここで大事なのは、やったかやっていないかという一点です。

 王子。

 あなたは、私がジェイルを階段から突き落としたから今回の沙汰を下したのでしょう。

 なら、その件が誤りならばその沙汰を受けるいわれはありません。

 私をどうしても追放したいと言うのなら、その件が私の犯行であった事を証明してください!」


 私は王子に、そう言い放った。


 私がこの先の運命を回避するための方法。

 それは、自分が犯人では無いという事を証明する事だ。


 これから先の平穏な未来のためにも、絶対に自分の無実を証明してやる!

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