月に願いを
君は毎晩、手を組んで願いごとをする。
それはいつも、必ず叶うであろう願いだ。
だから僕は君の願いごとなんて鼻で笑ってたんだ。そんなの願う必要は無いって。
でも、最近、なぜ君がそう毎晩願っていたのか分かった。
君が言ったからだ。私の願いは絶対に叶う、と。
君はその裏付けを取るために毎日、願っていたんだね。
僕は頷いた。確かに君の願いは必ず叶う。だから君の言う通り、僕は必ずまた君に会える。
そうだよね。
だって、君の願いが叶わなかった事なんてないもの。
僕は君の手を握った。君の目は月の光で光っていた。僕は君の目を覗き込みながら、ああ、月がきれいですね、と君に言った。
君は頷いた。
私もそう思っていたところです、君の声は震えていたけど、しっかりと僕の腕の中で響いていた。