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抵抗の勇者

今話は、操られていた時のリーナの話です

『なに、これ…!?』

 リーナが目を覚ますと、リーナの体は動かなくなっていた。

 否。

 自分の意思で動かすことが出来なくなっていた。

 その代わり、自分とは違う異志が、自分の体を制御していた。

 五感はある。視界はある。臭いも解るし音も聞こえる。

 しかし、体は動かせなかった。

 『どうなっているの、これ…!?』

 リーナは異志が自分の体を、敵となったキール、いや、ワンの指示通りに使っているのを見ることしか出来なかった。

 「了解しました」

 と、それだけを言って。

 しかし、自分の体が明かにシスを攻撃(・・・・・)し始めたことに、リーナは怒った。

 『…! 私の体を、返して…!!』

 体を動かせないのは、意識の主導権を異志に奪われているからだ、と推測したリーナは、自分の思考を異志へ向ける。

 『返せ…! 私の体は、仲間を攻撃する為にあるんじゃない!!』

 イメージの手を伸ばし、異志を、言うなればハッキングするよう試みる。

 全力でぶつかる。

 結果、異志の窓口を開けることに成功した。

 そして進入を開始する。

 触れる。

 『っあああ……、ぁぁぁあああああああ…!!』

 異志の意思が、感情が、記憶が、逆流した。

 真っ黒に染められた精神が私に雪崩れ込む。


 感情が。


 コワイ。

 コワイ、オソロシイ、イヤダ、ヤメテ。

 イヤダコワイヤメテオソロシイイヤダヤメテオネガイコロサナイデキヅツケナイデシニタクナイヤメテ



 記憶が。

 手が飛び散る記憶。

 優しかった母はアカく。

 厳しかった父もアカく。

 可愛かった妹もアカく。

 みんな、イキをしていない。

 私の手にはナイフが握られ。

 私の体にはチがまみれ。

 私の心にはカンショクが残る。

 母のノウミソをナイフで砕いて。

 父のクビモトをナイフで裂いて。

 妹のシンゾウをナイフで抉って。

 ケタケタ、と私はワラう。

 エガオで、私はナイフを振るう。

 父のシタイに、母のイガイに、妹のナキガラに。

 タノシそうなワライゴエ。

 父の、母の、妹のムクロがグチャグチャに。

 私のナイフでグチャグチャに、ボロボロに。バラバラに。

 私はサケぶ。ヤメテ、オネガイ

 男がコタエル。私を操る男がコタエル。

 ―――――――――――――――――ヤレ


 意志が。

 もうイヤダ。あんな思いはヤダ。

 男はイウ。もう一回殺りタイか?

 そんなワケがない。もうオモイダシタクモナイ。

 男はイウ。俺にシタガエ、サモナイト―――――



 カンショクが、ヨミガエル。

 今も夢に見る、カンショク。

 

 母のハラワタをナイフで裂いて。

 父のズガイをナイフで砕いて。

 妹のノドをナイフで抉って。

 私は、ニタリとワラウ。


 『ああああああああぁぁぁぁあああァアアアア!!!』

 リーナは必死で異志から遠ざかる。

 普通ではない。

 あんな記憶、あんな感情、正気でいられるワケがない。

 『…はぁ、はぁ、はぁ、はぁ…』

 リーナは今見た記憶が信じられなかった。

 なぜならば。

 『お父さん、お母さん…レーナ!』

 その人物たちは、誰よりもリーナが知っている…、肉親達だったからだ。

 そもそも、

 『あんな記憶持っていて正気でいられるはずがない…!! あんな狂わしい記憶…!!』

 リーナはそこでやっと五感に気を配れるほど、気持ちに余裕を取り戻した。

 シスが、正面にいる。

 ボロボロの体を、魔封宝石(ジュエル)でやっと立たせて。

 『…シス!!』

 リーナは確信し慌てた。

 シスをこんなにしたのは自分だ、と。そしてこのままでは異志がシスを攻撃してしまうと。

 しかし、リーナの体は動かなかった。

 そして、シスの柔かい、暖かい魔力操作の腕がリーナに伸びる。

 胸に下がるダイヤモンドが、その力を発揮する。

 瞬間。

 異志が、さっぱりと消え去った。

 リーナの意思に体の制御権が戻る。

 急なことにおどろいて 倒れたリーナに、アレが襲い掛かる。

 真っ黒な、精神が。


 『………!!』

 リーナの心が、恐怖で固まる。


 コワイ。

 コワイ、オソロシイ、イヤダ、ヤメテ。

 イヤダコワイヤメテ…


 しかし。

 暖かい光が、リーナを包む。

 「その記憶はまやかしだ。実際にあったことじゃない。打ち破れ! リーナ!!」

 その光を放した、声の主の名をリーナは叫ぶ。

 「シス!!」

 そして。

 絶望に彩られた精神は、ガラスの如く砕け散る。

 少年は、少女を救う。

読んで頂いてありがとうございます!

次回も頑張って更新するのでよろしくお願いします!

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