集結の勇者
残る未帰還者が一人となった、次の日の朝。
シスが数日振りに熟睡できた、次の日。
「おはよう! シス! アチェリーはお腹減ったな…!!」
「アチェリー、シスではなくてもいいと思うのだけど。私たちが作ればいいでしょ? ね?」
「そうよね! シスにその…、手作り料理を…」
シスは騒がしい声で眼を覚ました。
昨晩はリーナが帰り、寝ていたナタージャと同じく寝ていたアチェリーを起こさないように起こし、疲労困憊のリーナに回復魔法を掛けてもらった。
その後、作り置いていた質素なスープを急いで温め、胃腸が急な固形食で驚かないようにスープを飲んで体温を上げる。
それからシスが分厚い毛布を渡して、寝た。
シスは体を包んでいる毛布を剥ぎ取って起き上がる。
テントはない。
そもそも神殿の中でテントはどうかと思うが、しかし男女を分けると言う意味では必要だったのだろう。だが、実際問題女子用のテントを持っているのはリーナ、男子用はキールだったので今日まで使えなかったのだ。
いい香りが漂ってくる。
一行の中で食料の所持担当はナタージャだった。
無論往復を考えて一ヶ月はかかる旅全てにおいてその食料を食べればよい、と言う量などない。ナタージャ持っている分だけでは六人が三日に一日食べることが出来る程度しかない。
各自が各々持っている食料を合わせても、少なくとも三日に一回は完全に持ち込んだ食料の頼らない火を作らないといけない。
そんなナタージャが持ち込んだ食料は、ナタージャが味がいいものを選んでおり、一行にとってその日は一種の楽しみとなっている。
…しかし料理する為の安全を確保するのが難しく、日は延び延びになっているが。
しかし、この神殿内なら安全だ。女神に守られているのだから。
ナタージャがシスの浅壷を使って腕を振るう。
でてきたのは。
柔かいパンにソーセージベーコン。シスが作ったものとは比べ物にならないほど美味しいコーンスープ。
一般家庭から見れば普通化少し慎ましいくらいだが、屋外においては豪華で十分な食事だ。
一行から見ればキラキラ輝いて見える料理を前に、全員が輪になって座る。
「「「「「いただきます!!」」」」」
五人の声が、響いた。
モグモグバクバクと、食べ物を口に運ぶ音が聞こえる。
そんな中、リーナがシスに切り出した。
「シス…、何かおかしいと思うのだけれど。…あの水は、私たちがあの川を渡る、丁度真ん中の時に来た。偶然、とは思えない。」
「あぁ、俺もそう思う。更に、サンやエトとナンの襲撃もおかしい。何故俺たちの場所が分かったんだ? エトとナンの時なんてもっとおかしい。何故俺たちが分断されたことが分かって襲ってきた? どうやって? おかしいことだらけだ。」
「…確かに、どうやって知ったのかしら…? もしかして尾行されているの?」
ごくん、と口の中の物を飲み込んでからナタージャが言う。
「…どうやって消す?」
ビトレイがそれを言うと同時、口のものを含んでいたリーナは盛大にむせた。
「ケホッ、ゴホっ! …消すって…ビトレイ?」
「…、大丈夫…。…方向がわかれば、一瞬で消し炭にできる…」
「いやダメよ? ビトレイ。リーナに危害を加えたんだから死ぬより辛い仕打ちを与えないと。」
「ナタージャ、冗談はやめて!」
割と本気そうなビトレイとナタージャに、リーナがあせったように注意する。
2人はあたかも本当に冗談だったかのように笑った。が、しかし目は笑っていない。これは確実に本気の眼だ。
「尾行はない。上空からの監視もない。だとすると、方法はもう絞られてくる」
「っ、シス、ちょっと待って! 尾行がないなんてどうして…?」
「以前、蛸と戦う前俺は『熱源探知』で周りを走査していた。『熱源探知』は発熱体の位置を特定する。その時にそんな反応はなかった。直後、エトとナンに襲われているから、尾行があるならその時に引っかかっているはずだ。」
「…!!」
リーナの疑問に対するシスの応えに四人が驚いた。
そんなところまで把握しているシスの能力が、先見が空恐ろしく感じたのだ。
そしてリーナとビトレイは、限りなく頼もしく感じる。
「残った手法で現実的なのは、、裏切り。俺たちの中に、襲撃者に居場所を伝えているやつがいればいい。…そしてそいつはここにいない奴だ。」
「ひどいなぁ、シス。俺を裏切者扱いか?」
「「「「…!!」」」」
シスが言うと同時、キールが現れた。
シスの推論どおりなら、裏切者が。
読んで頂いてありがとうございます!
さて、やっと謎解きの場面が巡って参りました。
皆さん、一行を襲って来る相手はどんなものか、予想していますか?
している方々の想像とどうなっているのか、とても楽しみにしています。
総PV2000を超えました!ユニークも1000を突破です。本当にありがとうございます!
次回も頑張って更新するのでよろしくお願いします!




