表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
43/111

議論の勇者

 「まさか!そんなわけがない!!」

 キールが叫ぶ。

 「流石にそれは無いと思うわ。」

 ナタージャもそれに同意する。

 「じゃあこのトパーズがクラクナ火山に接続されているのはどういうことなんだ?」

 しかし二人はその言葉を聞いて下を向いた。

 「魔王はそんなに頭がいいの?」

 リーナが訊く。

 シスは少し考えてから、

 「…データが少なすぎる。今まで魔王は本格的に覚醒する前に再封印されてきたから、全力を出した魔王と戦った記録がない。このままでは何とも言えないな。」

 「だったら…!」

 「だが状況証拠的にそうとしか考えられない。各地の『発生迷宮(ボーニングスポット)』にある空間操作のトパーズの魔封宝石(ジュエル)、そして不自然にまでに速い魔物の進出。恐らく(ドラゴン)がトパーズを持って先行し、設置したんだろうな。」

 キールの反証をうち潰すシス。

 一言も発しないアチェリーは重要性が分かっていないのか。

 一言発しただけのリーナは考える。

 この突拍子もない説と、今までのシスの洞察力を秤にかけ、信じるか否か判断する。

 …いや、考えるまでも無かった。

 リーナの中に、既にシスを疑うという選択肢は存在していないのだ。

 同じく、シスを疑う訳がないビトレイも、

 「…シスの意見に賛成」

 と賛成の意見を見せる。 

 そこへ、

 「私もそう思うわ。シスの言うとおり、この状況だとそう見える。」

 リーナが賛成したことで流れ大きく変わる。

 ナタージャも

 「リーナがいいなら…」

 と賛成派に回ってしまったからだ。

 これで賛成4、半隊1、棄権1で多数決は固まった。

「いや、ありえないだろ確実に。たかが魔物の王如きが、そんなに高尚な脳みそを持ってるはずが無い!」

 キールがまだ何か言うが、

 「そのたかが魔物に気絶してたのはどこのどいつだ。」

 という睨むようなシスの言葉に声を失う。

 「大丈夫だよ!アチェリーはキールの見方だよ!!」

 アチェリーが慰める。

 「さあ、もう休みましょう?」

 ナタージャの言葉にこの場はお開きになった。



 夜。

 2メートル程の炉で魔封宝石ジュエルを精製していたシスは、リーナと話していた。

 別にシスがリーナを誘ったわけではない。

 リーナがシスの作業中に起きてきたのだ。

 「…シス、魔王って…そんなに強いのかな?」

 「…寝る前にも言ったが、データが少なすぎる。今までの勇者で魔王とまともに戦ったものが居ればよかったんだが、それもいないしな。」

 炉が赤々と燃えるのを眺めながら、シスは言った。

 「そんなに魔王が用意周到だとしたら…二年は長いよね。魔王がありとあらゆる対策を取れてしまうもの。」

 「…そうだな。だがたとえそうだとしても、リーナは俺が守るよ。魔王の手からも、その他の(・・・・)魔手からも。」

 「ねえシス。」

 「…なんだ?」

 「何で…そんなに強いの?」

 「…」

 シスは、リーナの質問に押し黙った。何と答えていいか分からなかったからだ。

 「…もしかして、約束のことの内容と関係あるの?…なら待ってる。シスが話してくれるまで」

 「ああ…、そうだ。だが、一つだけ言える。この力は…を守るために手に入れたんだ。そう、大切なものを守るために。」

 リーナは言葉の一部が聞き取れなかったが、その言葉に安心する。

 誰かを傷つけるためでは無く、護るために身につけた。 

 (私も…そこに入れるといいな…)

 リーナはシスに静かに寄り添う。

 「…」

 シスは作業を続ける。

 夜は静かに更けていく。

読んで頂いてありがとうございます!

すみません、前回の内容が一部繋がらないところがありました、現時点で修正済です。

次回も頑張って更新するのでよろしくお願いします!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ