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激戦の勇者 前編

 「…、ぷぷっ、あはははははは!! シスじゃないか…!! 君が何でこんな所にいるんだい!?」

 「…おかしいわー! シスが、シスがいる! これ以上可笑しいことはないわー!」

 エトとナンが笑い出した。

 「聞こえなかったのか? リーナから離れろ。」

 「…リーナ? …あぁ、0番(ゼロ)のことか。何でそんな七面倒なことしているんだい!? 普通に『ゼロ』って呼んでやればいいだろう?」

 「…黙れ。さっさとリーナから離れろ。」

 シスが怒気をこめた声に、しかしエトは怯むことすらなく飄々とした様子で続ける。

 「…嫌だといったら?」

 「ブッ殺…

 「『解放(バースト)』」

 真なる爆発が解放された。リーナの真上で解放された爆発は、今度こそリーナの体を打ち壊すこと間違いなかった。

 しかし。リーナは動かない体を持ちながらも、自分がここで死ぬなど微塵も思っていなかった。

 何故ならば。

 シスがいるから。

 「『武器庫(アーセナル)』」

 爆発が放たれた瞬間、その声がリーナの上から聞こえる。

 人二人を覆う空間断絶が致死の攻撃から二人を守る。

 しかし。

 「ぐっ…がぁぁぁ!!」

 シスから悲鳴が出る。しかしそれは想定内であったようで、いきなり食らった訳では無さそうだ。

 「回析、というのさ。波はたとえ障害があってもその後方まで回り込む性質を持つのさ。例え岩の陰に隠れても、盾を構えても、波の性質を持つ衝撃波はその後ろまで回りこむ。」

 「エトー! すごーいー!!」

 「…知っている…。」

 シスは『武器庫』からグリーンに光る回復薬をリーナに飲ませると、左腕に抱えようとした。

 しかし。

 「そしてここで『開放』を使えば君がこの位置に来ることもわかっていた。」

 えとの宣告がシスを貫く。

 いつの間にかリーナより十メートルは下がっていたえとが三言。

 「『構築(ビルド)』。…、『開放(バースト)』。…『構築(ビルド)』」

 右掌を上に、左掌を下に向けて呟く。

 瞬間。

 リーナを中点として五メートルの半球を作るように、土の壁が吹き上がる。

 二人を閉じ込めようとした土壁はしかし。

 「HSNC、スイッチオン。」

 跡形もなく消える。

 しかしそのときには既に二人の姿は消え失せている。

 逃げたのではない。

 有利な場所へと移動したのだ。

 「『構築(ビルド)』…。『開放(バースト)』」

 シスが場所を探す前に、攻撃が放たれた。

 爆発を放つ言葉のはずだが、全方位均等に衝撃が放たれることはなかった。

 しかし、直径二十センチの光条が真後ろから二人へ迫る。

 唯一立っていたシスの胸めがけて飛ぶ光線を、シスは横へ倒れて回避する。姿が見えなくなってすぐに体を倒し始めたからこそ避けられたが、少しでも逡巡していれば胸が消滅していただろう。

 光線は壁に当たると直径二メートル程の穴を衝撃で空け、貫通する。穴はどこまで続くか分からないほど奥へと続いている。

 (…!!!)

 リーナは気付いた。アレが最初に蛸を貫いた攻撃に違いないと。

 正体不明の攻撃が凄まじい威力を持っている。それでは対処の仕様がない。

 「『分解(リソルヴ)』」

 えとが左掌を下にして、下手で指し示した領域が消えた。

 ナンはえとにピッタリくっついて動かない。エトをよほど信じているらしい。

 「『武器庫(アーセナル)』…、『正十二面体防御結界(ドウダカヒードラン)』。」

 シスはリーナに二十個の炎をつける。

 「…これで物理攻撃はかなりそらされるはずだ。このまま戦場から離脱しろ。俺が入ってきたところから五十m言った所に、ナタージャとビトレイが待ってる。」

 「シス…。私も、戦う。足手まといにはならない!」

 「ダメだ。あいつらには…、8番(エト)9番(ナン)には俺でも勝てる保証はない。逃げてくれ。後で落ち会おう。」

 「…分かった…。シス、頑張って…。死なないでね…?」

 リーナの心が不安で一杯になった。本当にいい太古とは言えずに、そんな言葉が出てしまう。

 「あぁ、当たり前だ。キールとアチェリーは何とか俺が勝った後に連れてくる。」

 「…わかった。皆を連れて、地上に脱出してる。」

 「頼んだぞ。」

 「ホントに、生きて帰ってきてね…。」

 リーナは意を決すると、シスにひし、と抱きついた。

 「…約束だよ…。」

 「当たり前だ。前の約束も守らなくて、死ねるものか。」

 「…うん…。」

 リーナは名残惜しそうに腕を離すと、シスが出てきた道を確認する。シスがエトとナンのほうへ目を戻すと、二人は毒気を抜かれたようにポカンとしていた。

 「…そんな関係だったっけー? 0番と6番って。」

 「…そんな噂はあったけどね…。」

 「わかったぞ。」

 どうでもいいことを言うエトとナンを無視してシスは語る。

 「質量とエネルギーの等価性。エトはそれを利用している。エネルギーはイコール質量と高速の二乗の積。アルバートが見つけた有名な式だ。エトは物質を一度エネルギーに分解することで自在に物質を作り、開放することで爆発を起こしている訳だ。」

 エトは自分の手札を剥されていっても表情をピクリとも動かさなかった。

 手札がばれても大丈夫だという自信があるのだろう。

 「だが、高速で攻撃すれば避けられないだろう? HSNC、スイッチオン。」

 シスの切り札の一つ、HSNCが放たれる。しかし。

 「『分解(ソソルヴ)』」

 たった一言でその攻撃は無効化される。

 「効くと思ったか? 旧式。『錬式』にかかればそんな攻撃毛ほどにも感じないのさ。」

 「…。」

 圧倒的な戦力差が、明確化する。

読んで頂いてありがとうございます!

明日明後日は無理そうです!

次回も頑張って更新するのでよろしくお願いします!

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