早足の勇者
『カリバーン』が土人形を袈裟斬りに切断する。
生物で無いが故に熱源探知で探知出来ない土人形を。
シスとナタージャ、ビトレイは互いに背中を守りながら土人形に相対する。
一瞬、壁から、天井から湧き出ていた土人形が発生しなくなる。
「お、終わったの…?」
「まだだ!」
ナタージャの気の緩みを狙うように再び発生が再開された。
「っ!」
繰り出された炎弾をかいくぐって土人形がナタージャに接近する。
しかし、横から放たれた『超電導大磁力砲』によって砕かれる土人形。
「ありがとう、ビトレイ。」
言葉と共に放たれた魔法は、ビトレイに視界外から襲いかかる土人形を破壊する。
シスは土人形に対処しながら分析する。
「素材は周囲の土壁と同じ、操作系統は…恐らくフェロモンだな。土人形の内部にミトコンドリアの様なエネルギー機関を配置して、その細菌の集合体に土人形を操らせているのか。構造的には多細胞の粘菌様式を模しているようだが。」
再び発生が止まる。
今度は終わったなどと考えずに警戒を続けたナタージャとビトレイだが、しかし起こった現象は二人を驚愕させるに足ることだった。
そこら中に転がる土人形の破片がズルズルと集まり、元の形を取り戻していく。
「っ!!」
「…!!」
しかし、シスは想定内だというように呟く。
「フェロモンを変えたな。攻撃を指示するものから再生を指示するフェロモンに切り替えた。つまりは今は攻撃してこないということだ。…粘菌ベースなら分断されたくらいで死ぬ訳がないのは当たり前の事だぜ?」
シスの支指示で残骸から距離を取り、再び武器を構える。
「フェロモンは有機化合物だから燃えるが、それでは面白くない。…『武器庫』」
そして、黄土色に輝く水晶、雷電結晶を取り出し、土人形近くの壁に投げて砕く。
当然のことながら魔力を開放させ、周囲を帯電させる。シス一行の所へも雷撃は飛んでくるが、黄土色に光る魔封宝石。トルマリンを使って防ぐ。
「ナタージャ、あそこの壁を壊せ。」
「っ、何で?もう唐突に…」
ナタージャの放った魔法で壁が穿たれ、そこにはスライムの様な魔物がいた。
「あれが親玉だ。」
「…わかった」
ビトレイが魔法銃で一撃で撃ち抜く。
「よし、早く行かないと…」
シスは奥へ足を進めた。
「0番発見。回収に移る。」
「おうよ」
眼下にリーナを捉え、二人は呟く。
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