追憶の勇者 リーナ編
「はああああ…!」
リーナは湯船に浸かって大きく息をはいた。
「今日も疲れたよね…いつもはお風呂なんか入れないから今日はとても嬉しいけど!」
ナタージャが嬉しそうに顔をほころばせながら言う。
「アチェリーも疲れた…! 大変だよ…!!」
「…、風呂には入れるなら、疲れくらい、どうにでも…」
「こら、アチェリー勢い良く入っちゃダメでしょ。」
「ごめんなさーい!」
リーナは三人を見回すと、自分の胸元に目を落とす。
(…、やっぱりナタージャは大きい…。いつもローブ姿だから分かりにくいけど、こうやって見ると実感する…。まぁ、アチェリーはまだ発展途上ね、私より無い…。ビトレイは同じくらいか…。でも私より小柄なのにあるってことは本当は…いやいやサイズが全て、体格は関係ない!)
「本当に分かってる? まぁ…いいけど…」
「はーい!」
ナタージャがアチェリーに注意する、その時に揺れるそれを見て、リーナの思考は続く。
(…やっぱりシスも大きいほうが良いのかなぁ…? 男の人は皆大きいほうが好きって言うし…)
そこでリーナは気付く。
(ハッ!! なんで私、シスの好みを気にしてるの? 違う、違うって…!! あの時抱きついたからって私が内心そう思ってるわけじゃないよ…!!)
「…-ナ? リーナ? 聞いてる? 」
ナタージャの声がリーナの意識を現実に復帰させた。少し朱がさした顔を風呂で上気したのだと勘違いし照れるよう祈りながらリーナはナタージャに答えた。
「ごめんなさい、何の話だったっけ…? 少し考え事していて…」
「そう? 顔がちょっと赤いけど、のぼせかけていたのかしら? それで小さい頃どんな事をしていた、という話よ。私の話はしたけれど、リーナの話も聞きたいじゃない?」
「そうね…」
意識を切り換えて記憶を探るリーナ。
(どんな話がいいかな…? ナタージャとの思い出はナタージャが話すだろうし、私は一人の時の話かな?)
ジッ、と頭の片隅が違和感を感じ取った。村を出てから勇者として旅に出るその間の記憶に、どうしてもどこか違う、という感覚が拭えなかった。
そこを逃しては駄目だ、と直感したリーナは、意識を集中させる。
(…ここに何かがある…!!)
突如、記憶の断片が流れ込んでくる。
それは幸か不幸か。その判断は、誰にもつかなかった。
白い簡素な服を着た自分が、同じく真っ白な部屋の中に閉じ込められている記憶。
眩しい光の下に自分が横たわっていて、白衣の人物が自分を見下ろしている記憶。
とてつもない情報の海に投げだされ、自分で出ることも叶わず狂いそうになる記憶。
そして誰かと真っ白な部屋の中、戦っている記憶。
(…!…!! …!!!)
リーナの頭がパニックになる。
(…今の、なに……!?)
パニックを外に出さないよう必死に表情をコントロールしながらリーナは思う。
(私あんなもの知らない!! あんな所知らない!! あんな経験知らない!!)
しかしそれは、紛れも無く自分から出てきた記憶。
更に…。
(最後、戦ってる記憶…。相手は…シスだったような…!?)
そう、最後に流れ込んできた記憶の断片。
戦った相手の顔が、…、シスであった気がしたのだ。
(どういうこと? 私は村から出て、訓練をして、神の御声を聞いて…!それで今に至ってるハズ…!! あんな記憶あるわけない…!!)
「…リーナ、大丈夫? 顔色が悪いみたいだけど…」
リーナは再びナタージャの声で意識を復帰させた。
見れば、アチェリーもビトレイも心配そうにこちらをのぞきこんでいる。
「だ、大丈夫よナタージャ。そうね、私は小さい頃…」
リーナは問題ないよう装って、最初に思い出した話を話し始めた。
読んで頂いてありがとうございます!
次回辺りで休憩は終わろうと思います。
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