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激突の勇者 前編

今日二本目です

 男の唇が釣りあがった。


 「ハハッ! 俺様を排除するだって? 笑わせるなぁ…。そんな事、できるはずがないだろ。」


 言葉の後半だけ怒気を込めた声で、男が言う。


 「なにを…!!」


 「なっ…!」


 「アン…!」


 「…!!」


 各々が自らの武器を構えて男を睨む。


 それを遮るように右手を出して、シスは言った。


 「久しいな(・・・・)、サン。」


 サンと呼ばれた男は何言ってんだコイツ?という顔をした後、気づいたように表情を豹変させて言う。


 「ハハッ! シスじゃないか…こんな所で出会うとはねぇ。大事な大事なお姫様を守ってるつもりかい? トーの考えた範疇だよ? まああの博士(ドクター)は分かってないみたいだけどな。」


 ゴォォオオオオオ!!


 と、炎弾が発射された。リーナでもない、ナタージャでもない。


 シスだ。


 いつの間にか真紅のルビーを手に握っている。


 「リーナ、下がってろ」


 シスの少々本気な顔にリーナは素直に後ろに下がる。


 「シス…、がんばって…!


 そんな声援を送った。


 シスが微かに相好を崩すのを見て、無傷のサンが言う。


 「おうおうおう、見せ付けてくれるねぇ。…、さて、お前等には選択肢がある。」


 「お前お殺すか、捕獲するかだ。」


 「おとなしく回収されるか、絶望と共に気絶するか、どっちが良い?」


 シスの言葉を無視して続けるサンに、シスは言う。


 「回収…?博士(ドクター)からの命令か。」


 「フフン…、お前も一緒に回収してやるよ。」


 「あそこへ戻れと? お断りするよ。」


 「じゃあ力づくでだ。」


 「…お前が、№13(サーティーン)如きが、俺を力づくで? 笑わせる。」


 「不可能ではないさ。何時の(・・・)俺様を見てやがるんだ。瞬殺してやる、№6(シックス)


 「…犬め」


 「なんとでも言え。このクズが。」


 瞬間、体の各所に奇妙な鎧を着ているサンの体から光が放たれた。莫大な熱量を秘めたそれはシスに向かって迸るが、シスの体に当たる前に不自然に曲がってしまう。


 「『武器庫(アーセナル)』」


 声が遅れて響く。


 「光を歪曲させた、か。空気密度でもベリドットの魔封宝石(ジュエル)でも操ったか?」


 「単なる空間変形さ。 分からないなら負けろよ?」


 「ほざけ。」


 二人の怪物が、激突する。




 縮地。


 そう勘違いするほどの速度でサンが駆ける。無論、魔法も併用しているであろう。


 「『慣性中和』と『反作用増幅』か。確かに付け込み難いチョイスだ。」


 シスが世間の理を解き明かす学問である星術を用いて分析する。


 しかし、その速度は恐怖するには値しない。


 なぜなら。


 「しかし遅い。『空気密度減少』と『自己加速』のほうがマシだ。」


 シスはそれ以上の速度で動けるからだ。


 サンの真後ろに移動したシスは両手を組んで真下に振り下ろす。


 しかし、


 「バレバレなんだよ。戦闘パターン変わってねぇぞ、この野郎!」


 サンがいつの間にかシスに向き直り下からアッパーを放つ。


 手甲(ガントレット)に包まれたそのパンチを確認するや否や、シスは後ろに飛び去る。


 「その鎧…。」


 「気付いたか…ハッ!」


 サンが着込んでいる鎧は、普通の鎧ではない。


 設計思想が違う。


 身を守るための防具、ではなく。


 敵を打ち倒す為の、防具ならぬ防具。


 『攻性鎧(アサルトアーマー)


 それはナックルなどと同じようにただの体術を殺人術へ昇華させる為の鎧。


 「『武器庫(アーセナル)』」


 取り出した爆炎結晶(バーニングクリスタル)凍冷結晶(フローズンクリスタル)をシスはすばやく投げる。が。


 「当たるかよ。狙いが見えすぎるわボケ。物理的風化による破壊なんてさせる訳無いだろうが!」


 全て範囲外に避けるサンには当たらない。


 しかしシスの本命はそこではなかった。


 二つの水晶は目くらまし。本命は。


 「HSNC、スイッチオン。」


 そう、今までほぼ全ての魔物を灰燼に帰させて来たあの星術銃(?)。


 滅びの一撃がサンを消そうと迫る。


 (勝った…!)


 シス以外の(・・・・・)一行がそう思う。


 しかし。


 光も音もない攻撃だが、サンには何の影響も及ぼさない。


 不発か?とシス以外の一行が思うが、サンの高笑いがそれを打ち消す。


 「ハーッハッハッ! 効くと思ったのか? おい、効果があると思ったのかよシスさんよぉ。お前の手の内はばれてんだよ。超高速素粒子加速法ハイスピード・ニュートリノキャノン、HSNCの対策だってあるのさ。魔力フィールドに選択非透過性を持たせりゃ、粒子(ニュートリノ)一つ防ぐなんざ造作ないことなんだよぉ!」


 高笑いするサンに―――、シスは一歩下がった。


 切り札を封じたサンの、哄笑が続く。


 「ハーハッハ! お前のHSNCは、対象の陽子に素粒子(ニュートリノ)を衝突させ、陽子崩壊――β+崩壊を引き起こす。その崩壊でまた素粒子(ニュートリノ)が発生し――と連鎖的に連続する。素粒子レベルで元素を分解するが、対策は簡単なんだボケェ…!!!」


 その言葉に気圧されるように、シスは二歩三歩と下がり、そして。


 呟く。


 「HSNC、スイッチオン。」


 「ハーハッハ! 馬鹿が!」


 自分の対策は完璧だと過信したサンが、悪寒と共に離脱しようとするが、時既に遅く。


 サンの左腕、左足が消滅する。


 「…ガァ…!!な、何が…!?」


 血に伏せ叫ぶサンの耳に、シスの呟きが届く。


 「ニュートリノ振動。お前がどのニュートリノに対して非透過性を与えたかは知らないが、ニュートリノは常に変質する。電子ニュートリノ、ミューニュートリノ、タウニュートリノ、これらが入れ替わりになって性質として現れるのは、ニュートリノが光速でないことが証明された時点でわかっていた事だ。勉強不足が過ぎるぞ。」


 それを理解したサンが、叫ぶ。


 「まだだっ、まだおわらねぇ…!!」


 腕と脚をなくしたサンの体を魔法が覆う。


 再生魔法により、五体満足にもどったサンが、立ち上がって憎々しげに宣言する。


 「第二ラウンドだ…、勝負しろ、シックス…!」

読んで頂いてありがとうございます!

対立軸がちょっかいを出してきたのをシスが叩き潰してます。ワンパン性が高くなってる気が…

リアルが忙しくなりそうで、2週間ほど更新が不定期になりそうです。

誤字脱字、ご意見等何でも歓迎です!

次回も頑張って更新するのでよろしくお願いします!

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