ネットダイアリ-49- 偽者昴発見 -4-
ツェットは、三人の両親と学校に、警察関係のボランティア活動に参加するという名目で、一週間の捜査期間を設けた。
グランソフトで三人集まって、GNAで遊ぶ一週間だが、決して、楽しんでいたわけではない。
もちろん、シビリアンで遊ぶときは、パーティに美柑さんが加わっていることもあり、集中しないといけない。そのため、現実世界を一瞬忘れられる。
亮と違って、美柑さんはGNAの操作に慣れないせいで、1~2時間遊んでは休憩を取る。昴は、そのたびに現実に引き戻される異様な感覚に襲われる。
美柑さんが休んでいる間、亮と昴は、モンスター育成をするという感じの毎日だ。
亮のウルフもウルフソルジャーに進化しており、二人して、パンサー狩りをしている。
お昼は、美柑さんのお弁当だったり、三人でファミレス行ったり、コンビニで買ってきたりと様々であった。
相変わらず、亮は、美柑さんに絡み。それをするりとかわす美柑さんとの掛け合いも昴に安心感をもたらした。
恐らく、二人とも昴のことを気にかけてくれているのだろう。
家に帰った昴は、いつも通り、パソコンを点け、ネットダイアリ関連アプリを点け、何か変わったことがないかを調べる日々が続いた。もちろん、何の変化がない。
こんな状態では、ネットダイアリに書く内容がなく、時々、自分の家で遊んだGNAについて、書き込むくらいだった。
「本当なら、この何日間の三人でのお昼の時間は、ネタの宝庫だったのに」
毎日、ネットダイアリを開くたびに、日記にならない日記に意味を見出せなかった。
「監視を記録する装置になっている」
ネットダイアリの機能がそんな機能と化しているのに昴は不満だった。
一週間のグランソフト通いは、長いようで、短かった。
結局、偽者の昴は見つからず、ネットワークからの攻撃などもなかった。
ただ、収穫だったのは、美柑さんがGNAでの戦力になっていたことだった。
三人でGNAを遊んでいるところに、井出さんがやってきた。
偽者昴以来、井出さんは、おっちゃん姿で現れない。
「そのままにして、聞いてくれ」
この雰囲気だとあまり成果はなかったのだろうと昴は思い、ウルフソルジャーを動かしていた。
「今日で、一週間だが、偽昴君は見つからない。街中の監視カメラにも写っていないらしい。警察としては、警戒を続けるようだが、君たちを学校に行かせないわけにはいかないので、明日から普通どおり、学校に行ってもらいたい」
井出さんは、美柑さんに、
「こちらが、監視しているから、怖いだろうけど学校に行くようにしてほしい」
美柑さんは、コクッと首を縦に動かし返事した。




