ネットダイアリ-48- 偽者昴発見 -3-
井出さんからの説明では、学校から外に出るカメラと周辺のカメラの画像を確認したようだ。
警官は、私服で一旦、生徒の関係者を名乗り、先生の案内で校内を探したが、何も見つけられなかったそうだ。
「まだ、学校内に潜んでいる可能性はあるが、何か異常があれば、学校の警備会社が対応するだろう」
井出さんは、軽く言った。
「じゃあ、今のところ偽昴は、学校にいるということか。なら、今日は安心して眠れるな、昴」
「・・・」
とはいえ、明日学校に行ったら、偽者の昴がいるかもしれないと思うと、気持ち悪いし、不気味だ。恐怖でもある。
「私、明日は休むわ」
美柑さんは、顔を伏せた。
「だって、また、昴君が近づいてくるんでしょ。怖くって」
今まで偽者と知らず、美柑さんに近づいていたわけだから、当たり前の反応である。
「僕も休むかな」
そんな話をしていると、井出さんから提案があった。
「みんなで学校休んで、ここに来るといいよ」
「でも、お父さんやお母さんが不信に思うんじゃないですか」
「その辺はツェットに任せるから大丈夫だ」
確かに、警察からの依頼というなら、親も学校も納得するだろう。
「終業式には出たいね」と美柑さんがボソッと言う。
あと2週間ちょっとある。いや、2週間しかないのかもしれない。
翌日からは自宅を出て、グランソフトに通うことになった。特別なことがない限り、亮と美柑さんと待ち合わせてグランソフトに行くことにした。一人でグランソフトに入るのが怖いということもあるが、主に偽昴対策である。
待ち合わせは、ファミレスだったり、近くの公園だったり、エレベータ入り口前だったりした。
「期末テスト、何点だったんだろう」
「亮は余裕だな」
「いや、ぜんぜん。あんまり勉強しなかったから」
「ちがうって。こんな状態になっているのに余裕だなってこと」
「ああ、まあね。昴には悪いけど、俺は二人いないから」
「今のところね」
「怖いこと言うなよ」
そんな話をしながら、昔、よく遊んでた公園で美柑さんを待っていた。
しばらくすると、めがねをかけたほうの美柑さんがやってきた。めがねをかけるのが普通なのか、めがねを外した美柑さんが普通なのかと、ふと考えていた。昴だった。
「待ったぁ~。ごめん」
「いいっすよ。美柑さんのためなら」
「ありがと」
と簡単に亮に言ってから
「昴君疲れているみたいね。おねぇさんがサンドイッチ作ってきてあげたから、お昼一緒に食べよう」
と今度は、昴の顔を覗き込んだ。
「やっぱ、昴じゃん」
亮が二人に聞こえるように言って
「三人揃ったから行こう」と言ってベンチから立ち上がった。
美柑さんは、クスッと笑いながら、
「亮君の分もあるから大丈夫よ」
と大人のフォローを入れた。
昴も立ち上がり、三人でグランソフトに向かった。




