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28/57

ネットダイアリ-28-

28話目にして、色=女性が出てきました。決してR15ではありません。期待しないでください。

「そろそろ、帰るかな」

 携帯に表示された時間を見て、すばるは、ゲームの整理を始めた。


 ゲーム内でのモンスター育成は、基本、他種族モンスターを襲い、経験値を稼ぐことだった。シビリアンを襲い、倒すことのほうが経験値を得られるものの、倒されたあと、復活までの時間が長いため、モンスター同士の争いとなるケースが多い。

 もちろん、同種族のモンスターを集め、ソロで狩りをしているプレイヤーを襲うのも手だが、最近のシビリアンは、パーティを組み、手堅くプレイをしている。


「モンスターでも、装備を手に入れることが出来るのだけど、そこまで育成しているプレイヤーはまだいないだろうな」すばるは、最後の1匹を倒したあと、突然後ろから、武装したゴブリン襲われた。


 モンスター同士の戦いで倒された場合、シビリアンと比べ、すぐに復活する。ただ、復活する場所が生息区域内になるため、倒せるような他種族がいる場所でない。

「武装したゴブリンがいたな。お店か、職人が出来たのだろうか」

 すばるは、ウルフ種族を選んでおり、生息域は、シビリアンの東側を中心としている。対して、ゴブリンは、西側を中心に生息しており、すばるがウルフで狩りをしていた北側に出てくるのは珍しいのである。

「帰ったら、西側に偵察に行きたいかな」

 そんなことを考えながら、すばるは、おっちゃんのところでの作業を終えた。


 帰ろうと階段を上がったところ、あのめがねを掛けた女性と顔があった。今から帰るところだろうか。

「こんにちは」

 向こうから挨拶してきた。2日目とはいえ、ここにいる人から声をかけられたのは、おっちゃん意外では初めてだ。

 一瞬、言葉を探したが

「こ、こんにちは」

 とモゴモゴした感じの返事となってしまった。

「ここでは、声をかけちゃいけないのかな? 私、ここに来たの今日が初めてなので」

 すばるは、ちょっとショックだった。この街では、すばるが特別な存在であるとの自負があったからだろう。

「あ、いえ、その、僕も2日目なので・・・・」

 つい、目を伏せてしまった。

「そうなの。今は何を」

GNAジーナっていうゲーム知ってますか」

「うん。今、地形グラウンドを作成していたところ」

「・・・」

「井出さんから、森の妖精が住んでいる感じにしてくれって、あと、妖精族も書いてって言われているの。あなたは、何を書いているの」

 すばるには、彼女が何を言っているかわからなかった。

「あの、GNAジーナですよね」

「話がかみ合わないのかな」

 彼女は首を傾げた。その顔が、意外と可愛い。

 彼女は続けて

ジーエヌエーGNAジーナですよね」

 頷くすばる

「じゃあ、あなたは何を」

「ゲームですよね。僕は、ここで遊ぶように井出さんから言われました」

「・・・」

「・・・」

 お互い、異生物を見るように見つめた。

 彼女から

「携帯で遊ぶんだったら、ここじゃなくてもいいでしょ」

 なんか、ひどいいいようだな。

「井出さんに指名されてアルバイトとして遊ぶように言われているんです」

 気まずい空気に変わった。

 その辺を察したすばるは、

「中にいる人たちの画面を良く見てください。GNAジーナで遊んでいる人がいるでしょ」

 指を差した先には、モンスターやシビリアンが戦闘している場面がいくつもあった。

「あれって、GNAジーナなの?」

 意外な返事が返ってきたが、すばるはすぐに彼女の勘違いを理解した。

 彼女は、携帯版のGNAジーナしか知らないのだろう。


 すばるは、エレベータ前で彼女にGNAジーナの全体像を話した。

 2,3の質問があったが、ほとんど聞いていた。

「それで、何で私がグラウンドを作るのかしら」

 すばるは、彼女に説明しているときに気づいたことがあった。

 彼女は、カミンの権限でグラウンドを作っていたのであろう。

「それが井出さんから、頼まれた仕事なんだね」

 コクンと頷く彼女。

「私、ここにいる人たちが遊ぶ場所を新しく作っているんだね。なんとなくだけど、井出さんの言っていた内容が理解できたわ」

「創造主って感じですね」

「だから、神ん、なのね」

 確かに、安直なネーミングではあると思うが、外国では、Kaminnと書かれているらしい。宗教上の理由だろうとすばるは推測していた。

「日本は、八百万の神というから、その名前をつけやすかったんでしょうね」

「ね、ね、このゲームって、外国でもやっている人いるって本当?」

「ええ、そうですよ。携帯版には、国の設定はないですけど、ほかの機械では、国を設定できるんですよ」

「そのうち、私の作ったグラウンドに外国の人が入ってくるのか。それは楽しそうね」

「そうですね。うらやましいな。自分の世界を作れるなんて。僕、絵が下手だから・・・」

「そういえば、君の名前なんていうの。私は、早乙女さおとめ 美柑みかん

 美柑みかんとは、珍しい名前じゃないか?

「僕は、黒野くろの すばるといいます」

「よろしくね」

「はい、よろしくお願いします」


 エレベータは、美柑みかんさんが開け、路地裏のビルを出てお互いの家の方向へと帰っていった。

 エレベータに乗ってからは、守秘義務の関係で、二人とも話をしないまま、手を振り別れた。

疲れてきました。1日おきにするかな。

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