ネットダイアリ-23-
グランソフトのおっちゃんに今の状況のヒントとなる電話番号をもらった。家に帰り、電話してみたのだが。
家に着いた昴は、すぐに手渡されたメモの番号に電話した。
普通なら、プルルルという音が聞こえ、相手が出るのだが、途中で音が、プップップッと途切れるような音に変わり、再度、プルルルという音が聞こえた。
「こちらは自動音声によるガイダンスです。指示に従って操作ください」
繋がったと思えば、自動音声ガイダンスだった。
「お問い合わせ、質問のある方は「1」を、更新・変更のある方は、「2」を、もう一度お聞きしたい方は「9」を押してください。オペレータとお話したい方はそのままお待ちください」
おっちゃんからは特に指示がなかったので、一旦、昴は、「1」を押した。
「契約内容については「1」を、料金体系については「2」を。前のメニューをお聞きしたい方は「9」を押してください」
「契約やら料金など、なにかいかがわしい感じがする」
昴は、「9」を押し、オペレータを待った。
「フォートレス警備です。黒野昴様ですね。なにかございましたか」
若い女性のようだ。
声が出なかった昴に対して女性は、
「具合が悪いようでしたら、電話のボタンを押してください」
女性はあわてていた。
昴は、「間違えました」といって電話を切ろうとしたところ、
「大丈夫ですか。緊急救助を手配します」とすぐに言ってきたので
「いえ、いえ、大丈夫です、大丈夫です」と昴はあわてて答えた。
救助と言ったよね。
「大丈夫なら、応答してください。いたずらはダメですよ」
お姉さんに諭されるような返答があり、昴は言葉を失っていた。
「黒野昴様、どうされました」
何を聞いていいかわからず、もじもじしていた。
電話越しからでも、オペレータの女性は、それを悟ったのだろう。
「初めて、こちらに電話を掛けられたのでよく理解が出来ていないのですね。少々お待ちください」
ビバルディの「春」だったかな。流れている音楽の題名を思い出していた。
少し経ち、また、ピッピッピッという音のあと、
「やあ、黒野昴君。バル君と言ったほうがいいかな」
機械的な音声が返ってきた。音声変換器かなにかで音声認識できないようにしているのだろうか。
「これでは、わからないか。ツェットだよ」
警察だった。昴は無言になった。
「この雰囲気だと、驚いているのかな」
「井出さんからここの番号を教えてもらったんだろう?」
やっぱり、あのおっちゃんは、井出というんだ。
「しかし、警備事業部のほうに電話させるなんて困ったことをする。彼、めんどくさがりであまり説明しないんだよね」
軽い感じで話してくるツェットだった。
「ここの警備会社は、GNAプレイヤーの現実世界での身の安全を守る会社なんだ」
ゲームごときで現実世界の身の安全って何だ。そんなに、GNAで闇取引が行われるのだろうか。昴は怖くなった。
「まだ詳しくはいえないが、井出さんはわれわれ警察の仲間でね。ゲーム内でのトラブルなどは、ここの警備会社が請負っている。正確に言うと、この警備会社が日本での運営を引き受けている形だ」
昴は、あまりにも大きすぎる事態に対処できなくなってきており、何も言えず黙っていた。
「まだ、詳しいことが言えなくて、こちらももどかしいのだけど、昴君を安心させるために言っておこう。警察は、君のネットダイアリのことは知っているし、罪に問うことはない。井出さんのアルバイトの件だが、協力してやってほしい。私からも頼む」
まだ引っ掛かるものもあったが、昴が抱えていた問題に方向性が出来たと思い、少し警戒心を解いた。
「ツェットさんは、本当に警察の方なんですか?」
「警察署で面会しただろう。あれでは信用できないと?」
「すみません」
「そうか。まだ素顔は見せられないんだよね。警察署長は本物だろ?」
「確認してません」
「バル君は、疑り深いな」
ツェットは間をおいて、
「何をすれば、信じてもらえるかな」
昴は、考えようとしたが、考えがまとまらない。
「・・・・」
「君もその辺の手段がないみたいだな。まずは、井出さんのところを手伝ってくれ」
「そうだ、警察署長から井出さんの手伝いをお願いするメールを出そうか。その方がまだ、信用を得られるだろ」
昴は返答できず、
「じゃあそうするから、メールを待っててね。アドレスはわかっているから。また、連絡する」
ツェットは、電話を切った。
結局、警備会社のことは、ほとんどわからなかった。
もっと丁寧に書かないといけないのだろうなと、一部読み返すたび反省してます。そのあたりが数字に表れているのでしょう。徐々にプレビュー数が減っています。意地だけで最後まで書こうと思っています。
無理かな・・・・・




