ネットダイアリ-21-
警察が絡むGNAと違法とされるネットダイアリを一人で抱え、頭がいっぱいだった。その時、メールを受信した昴。亮との連絡を忘れていたのだったが、果たして亮からのメールなのか。
メールを開けた昴の目には、意外な内容が載っていた。
「アルバイト募集:GNA要員 ㈱グランソフト」
いかにも怪しいが、一応内容を見てみることにした。
「グランソフトの井出と言います。GNAをやっている、黒野昴君だね。いつも、ネット内で見かけます。GNAについて、お手伝いしてもらいたくて連絡しました。私の会社まで来てください。近くに来たら、携帯から電話ください」
グランソフトの住所と電話番号があった。
住所を調べてみると、例のWEB会社のビルだった。
「この前、入れなかったところだけど・・・・」
まだ、夕方だったのですぐにグランソフトのある例のビルに向かった。
恐怖より、興味のほうが勝ったのだ。
また、あの路地裏に行き、エレベータの前に来た。やはり、看板もほかの入り口もない。エレベータを動かすボタンもない。
昴は指定された携帯番号にかけた。すると、目の前のエレベータのドアが開いたのである。恐る恐るエレベータに入り、3階へと上がった。
「あ~、いらっしゃい」
少し小柄な、白髪交じりのおっちゃんがいた。おっちゃんと言った理由は、上半身が白無地の下着で縞柄のステテコを履いていたからである。古びた長椅子に座るよう促され、冷たいお茶が出された。普通の麦茶みたいだ。
長椅子の反対側に座ったおっちゃんは
「こんばんは、かな。黒野昴君。いや、バル君と言ったほうがいいかな」
おっちゃんは、昴のゲーム上の名前で呼んできた。
「バル君は、怪しいと思いつつ、GNAの話ならと思ってきたんだろ」
昴は、軽くうなずいた。
「それでいい。実はな、この前、バル君がエレベータの前でうろうろしていたんで」
口に拳を当て、ゴホッと軽い咳をし
「追跡させてもらった。厳密に言うと、トラッキングのようなことをした。そこで君の画像日記。あ~、ネットダイアリだったかな。それを見つけたんだ」
おっちゃんの目が一瞬黒光りしたようだ。昴は、うなだれ、恐らく顔面蒼白状態だろう。でも、声が出なかった。警察で言う言い訳を考えていた。
「大丈夫、大丈夫。警察はみんな把握しているから」
それが、大丈夫でない証拠だ。
「そうか、ハッキングについての説明が足らんかったな」
おっちゃんはちょっと考え、また話し始めた。
「日本の警察を舐めちゃいけないぞ。世界中のネットワークは、監視されていると思って間違いない。ただ、全てのデータを必要としないだけ。あの程度のハッキングなんてほかの人でもやっていることよ。確かに法律を守らないというのは悪いことだが、法律なんて一部の悪人を罰したいために作られているようなものだからな」
得意げに言うおっちゃんだが、昴は浮かばないままだ。
「話がずれた。警察は、知っていても社会に害を及ぼさない限り、単に法律を守らなかっただけで罰することはないよ。赤信号を無理やり渡ったことのない人を見つけるのが難しいのと同じようなものだよ。ちょっと、たとえが違うか」
「まだ、落ち込んだままかね」
「まあ、いいや。アルバイトの話をしようか」
おっちゃんは麦茶を一口飲む。
「私もGNAで遊んでいてな。それで、バル君にはここに来てGNAをやってほしいんだ。アルバイトとしては、すごく君にあっていると思うがどうだ。時給は、千円。この近辺じゃあ高いほうだと思うぞ」
昴としては、今の自分のパソコン意外でGNAが出来る環境をもらえると思えば、ありがたいことなのだが、まだ、このおっちゃんを信じ切れない。返事が出来ず黙っていると
「まだ、信じられないかね。一応、WEBの仕事も手伝ってもらうんだけどね。まあいいよ。後で返事くれればいいから。でも、あまり時間がないことも理解してくれ」
おっちゃんの説明では、「時間がない」という情報は何もなかったのに。聞くべきだろうか。昴は、なにか言おうとしかけたが、おっちゃんがすぐに立ち上がり、エレベータを開けたので、なにも言えず、昴は外に出た。
家に帰り、あまり気が進まなかったが、亮とのこともあり、仕方なく、パソコンを点けた。
「昴か。俺もちょっと前にゲームを点けたところだ。やっぱり、みんな警察のこと知ってるぞ」
昴は何も言わず、軽くうなずく。
「昴が来る前に聞いた人たちからの話では、みんながみんな警察から連絡が行っているわけじゃないけど、知っているみたいだよ」
亮のことだから、昴を安心させるためにいろいろと聞いたんだろうけど、昴は、3つ目の心配事を抱えてしまっていたのだった。
書いていて、なんだか複雑な設定になっているなと感じています。会話につじつまが合わない表現や言葉があったりして、「もう直せません」状態です。このまま突き進んでみます。




