ネットダイアリ-19-
警察に呼び出された亮と昴は、途方に暮れていた。亮はGNAの問題だけだが、昴には、GNAに加えてネットダイアリのことがあった。GNAで遊んでいいのだろうか。また、ネットダイアリに何が起きたのか。
翌日、亮と歩きながら
「昴。どうすればいいと思う」
少し小声で亮が昴に聞いた。
「どこまで信用するかだね」
昴もほかの人に聞こえないように小声で答えた。
学校へと続く道を歩いているとメール受信を知らせる合図が、二人の携帯に同時に入り、ツェットに言っていた、昨日の情報が書かれていた。
「残りは、GNAでだったね」
それ以降、亮と昴は、会話せず登校した。
昴はまた、コンピ研をさぼり、家に帰った。あまり乗り気ではなかったが、パソコンを点け、ネットダイアリを開いてみた。すると、今日の日付の日記があった。見てみると、
「黒野昴君、君は昨日GNAに来なかったね」
明らかに、何者かに書かれている。
「昨日のツェットだろうか」
自宅に来た警察官なら、相談に乗ってもらえそうだが、自分がハッキングしていることもあって相談できない。もちろん、亮にもだ。
「自分の力でどこまでやれるかだが・・・」
「昴いるか」
パソコンに亮から連絡が入った。
「GNA開かないのか」
亮は半分あきらめたような声で、昴に聞いた。亮は、GNAだけが問題だから、今の昴の状況と違う。
「昴。あれって、やっぱりGNAをやれって警察が言ってんだろ。俺、昨日は怖くてGNAできなかったけど、警察官も警察署も本物だったから、一応GNAをやった方がいいんじゃないかな」
警察署長やツェットに触れていないところは気になったが、
「そうだね。GNAを始めてみて考えようか。こっちは、ちょっと用事済ませてからGNAに行くから、先に入っていて」
昴はGNAどころではない。明らかにパソコンが外部から操作されている。本物の警察ならこんなに回りくどいことはしないだろう。では、誰が?
昴は自分の知識の限り、パソコン内を調べた。
「おい、昴。まだ、こないのか。あと、例のパスコードあったぞ」
「やばい!」と思った昴は、「ごめん」と一言だけ言って強制的に亮からの通信を切った。
今は、誰と戦っているか、わからないからである。
携帯も危ないだろうと考えた昴は、亮の家まで行くことにした。
亮の家に着き、亮を呼び出した。もちろん、亮はゲーム中なので、中断するまで時間がかかることは承知していたので、そのことも伝え、玄関先で待った。30分くらいしてから、亮が出てきた。
「どうしたんだ。いきなり通信切るし。ゲームには来ないし」
一応、周りを見まわしてから、亮のそばにより、耳打ちした。
「僕のパソコンに、昨日GNAやってなかったって、メッセージが来た」
パソコンが誰かに見られているとか言えなかった。
「だったら、携帯で連絡すりゃいいじゃんよ」
「いや、携帯も怖い。昨日のツェットには、携帯番号やアドレス教えてないけど、メール来たじゃん」
「確かに、あのツェットとかいうのは、いかにも怪しかったけど、さっきゲームやってて、なんか、他の人のところにも、「アルファ」とか「ほとけ」とか「どらちゃん」とかで接触があったみたいよ」
「同じ趣味とは思えないけど、みんな警察に連れて行かれたのか」
「いや、違うよ。いろいろ見たい。携帯だったり、ゲーム内のチャットだったり。聞いた感じだと、直接警察とあったのは、俺たちぐらいだけどね」
「亮、警察と直接会ったことは言ったのか」
「それは、言わなかった」
「ただ、一部の人は、詐欺じゃないかって言ってる」
「そうだろうね」
「俺は、逆に警察だってことを信じたね」
いつの間にか、普通の立ち話のようになっていた。
昴は用心していたが、亮は、普通にしゃべっていた
亮は、昨日のことを信じきっているが、ネットダイアリのことが引っかかる昴には、昨日のことを丸呑みすることができなかった。昴は、動揺していた。
「大丈夫だよ。ゲーム登録の時にメールアドレス入れるわけだし、ツェットさんが心配して連絡してきただけじゃない。確かに俺にはなかったけどね」
まったく、亮と状況が異なるため、亮ほど気楽になれない昴は、一旦、帰ることにした。
「GNAに入っても大丈夫なのか」昴は考えた。
通常、パソコンを使って考えをまとめるため、思いついたことを入力し、画面を見て、頭の整理をするが、今回ばかりは、紙とペンで状況を整理してみた。
・ネットダイアリの画像は違法
・ネットダイアリに書き加えられた
・ネットダイアリに佐藤さんの写った画像があった
・ネットダイアリに書かれていたとおり、警察が来た
・警察官は本物だった
・警察署長は本物かどうか確認できていない
・GNAに警察が絡んでいる
・警察は、亮と昴がGNAで遊んでいることを知っている
・警察は、亮と昴のメールアドレスを知っている
・他のプレイヤーにも警察が接触している
この辺だろう。ポイントを絞った昴だった。
警察署長と他のプレイヤーに警察が接触していることは、まだ、確認する必要があるし、確認が可能だ。これは、警察署に行って直接署長に会えばいいことだ。
次に、パソコンが乗っ取られているとした場合の問題点だ。
ハッキングがばれて、逮捕されることぐらいだろう。ならば、証拠隠滅しかない。
昴は、ネットダイアリに自作の暗号化ソフトでデータを隠し、USBメモリを探しそこに保存した。昴は、ネットダイアリの完全消去するのをためらったのである。
「いま、思いつく限りのことをしたので、この状態ならGNAに繋げられるだろう」
昴は、GNAを始めた。もうかなり遅い時間だった。
亮は、もう寝たらしい。まずは掲示板のチェック。ここでは、警察の掲示板は開けない。パソコンの操作をどこで見られているかわからないからである。他の掲示板では、警察の関与についての話題がいっぱい出ていた。ただ、昴の信じる書き手さんたちは、一応に、これまでのゲームでも、RMTの取り締まりに警察が関与していた例もあるので気にしなくていいとの見解が多数を占めていた。
「それにしても、ゲーム開始早々警察が関与するなんて」と昴は、完全に信じてはいなかった。
今、ゲームにつながってるフレがいないか、昴はチェックした。
「カラシメンタイさんか。あまりあてにならないかな」
マジシャンをやっている人である。冗談ばかり言って人気なのだが、地雷プレイヤーとしても有名である。
こういうゲームでは、チームプレイというのがあり、それぞれの役割に応じたプレイをすることで、効率的で安全な狩りができるわけだが、カラシメンタイさんの場合、そのチームプレイを乱してしまうのだ。恐らく、冗談を考えているうちに、間違った操作をしているのではないかとのことだ。よくいるチャットをすることが主な目的としている、チャットプレイヤーである。
「何もないよりましかな」
昴は、カラシメンタイさんを呼び出した。
1日で2回更新するくらいなら、1つにまとめろ。そう思う方はいると思います。明日までとっておくという手もありますが、出来たのでアップします。明日は1回かな。
そろそろ、サブタイトルの整理をしないといけないかなと思っています。
今まで読んでくれた方々には申し訳ありませんでした。サブタイトルを付けるとどうも縛られてしまうようで、あとから自分で読んで(←非常に嫌なんですけど)整理したいと思っています。