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ネットダイアリ-18-

交番から警察署に連れて行かれる亮と昴。警察官は、逮捕みたいなもの次ではないというが、果たしてその真実はなんだろうか。

 パトカーに同乗した警察官が、助手席で話し始めた。

「警察庁から連絡があって、今、日本全国でネットワークの異常が起きているらしく、その原因に、GNAジーナというゲームが関係しているらしい。GNAジーナで遊んでいる人たちは、日本全体で約10万人程度らしい。実は、警察庁では、この10万人のプレイヤーをAIで追っていてね。トラッキングというんだってね。別に悪いゲームじゃないらしいんだけど、警察庁は、新しいネットゲームが始まるとき、必ずトラッキングしているらしい。海外で作られた作品が多いからかな。たまたま、今回のGNAジーナがネットワークの異常に関連があることがわかったらしく、この街で君たちの名前が挙がったんだ」

 すばるは思った。あきらは、カモフラージュで、標的はすばるだろうと。

「本署に着いたら、署長から話があるから、そこで、警察庁のことも話をしてくれるはずだよ。夜遅いのに悪いね」


 パトカーから降りたあきらすばるは、特に腕をつかまれるわけでなく、丁寧に、署内に案内された。

 中に入り、奥にある部屋に入った。

 中には、普通の応接セットがある部屋であった。特に変わった様子はなかった。

 しばらくすると、ここの署長が入ってきた。

「署長の風間だ」

あきらすばるに向かって簡単な自己紹介なんだろう。

「ご苦労、あとは私一人で」

 警察官二人は、部屋を出て行った。もちろん、ここにも監視カメラが付いていた。

「お二人とも、一応説明を聞いたと思うけど、ここからは、警察内でも署長クラスしか行けない場所に行くんで、悪いがちょっと眠っていてくれないか。その間に移動するから。悪いようにはしないから、理解してくれ」

 署長は、コーヒーやお茶などが出る機械から、コップを2つ持ってきた。

 すばるは逃げようかと目で周りを見たが、入ってきた入り口以外は、全て壁のようであった。

「おかしい。署長しかいけないところなのに、あきらと僕が寝ている間にどうやって動かすのだろう。署長が一人で動かすのか」心のつぶやきが口に出ないように、すばるは考えていた。

 あきらといえば、意外にしんみりとしていた。なんだか、観念した犯人のようだった。

 目の前に出されたコップは、オレンジジュースのようで、果汁の入ってないもののようだった。あきらは諦めたらしく、すぐに飲み干してしまった。横目であきらを見ながら、すばるは、コップに手を掛けたものの、口まで持っていくのをためらっていた。

「こんな状況で眠ってくださいと言われれば疑うのは無理ないのだが、市民を守る警察を信じてほしい」

 ゴロっとあきらがソファーに倒れ掛かった。眠ってしまったようだ。息はしている。

「まだ、信じられないかね」署長が言い、すばるは、署長の目を見た。署長クラスになれば、どんな優しい目でも作れるのだろうが、今は人の目を見て、判断するしか、すばるには思いつかなかった。


 オレンジ色の水分を飲み込んだ。味を感じる余裕がなかった。すばるは眠った。


 どれだけ寝たのだろう。ずいぶんと時間が経ったように感じた。すばるは目を開け驚いた。同じ場所にいたのである。

「どうだ、少しは信じてくれたかな」署長はいった。

 もうあきらは起きているが、まだ、捕まった犯人のような感じでうなだれている。


 突然、向かいの壁が動き、スクリーンが現れた。

 スクリーンには、仮面を被った人が現れた。

「は、は、は、は。これじゃ、警察の信頼が丸つぶれだ」笑いながら、署長は自分の頭を叩いた。

 それはそうだろう。睡眠薬を飲まされ、移動と言われ、動かされてなく。最後にスクリーンに現れた仮面を被った人。そのまま悪の組織である。

「接続されたようですね」穏やかで若そうな声が聞こえた。

「警察庁のツェットとしておきましょう。ご存知のとおり、ドイツ語でアルファベットのゼットの発音です。なぜドイツ語かといわれると。そうだね。趣味だね」

 わざと場を和らげるためなのか、お決まりの悪役の名台詞なのか、判断がつかなかった。

「さて、本題に入ることとしよう。お二人は、GNAジーナに参加しているシビリアンだと聞いている。もちろん、モンスター役もやっているとは思うが」

 少し間があった。こちらの返事を待っていたのだろう。

「まあ、信じてもらえないだろうね。こんな状況じゃあ」

 ツェットは続けた。

「わけあって、警察庁もGNAジーナに参加している。まだ、理由はいえないが、そのうち理由を言える機会が来ると思う。まず言っておかないといけないことは、日本全国でネットワークの異常というのは偽の情報でね。ああ、トラッキングは本当だよ。別に犯人を追いかけるというような意味じゃないから。といっても今は信じてもらえないか」

 自称テェットは、仮面の前で祈るような感じで手を組み、話を続けた

「まずは、GNAジーナで遊んでもらって、なにか異常を感じたら、掲示板に書き込んでほしい、というお願いだ。いろんなゲームを多く経験したことのある君たちならではの違和感を教えてほしい。単純なのは、麻薬の売買やら、マネロンって知っているかな。RMTリアルマネートレードみたいに不法な資金の受け渡しな行為があったりとかね。それ以外でも、おかしいなと感じるもの何でもだ。そんなものを特別な掲示板に書き込んでよ。掲示板の表題は、ありきたりだが「MAPPO」だ。意味はあえて言わない。パスコードcomin37zで鍵のついた掲示板を作る。詳しいことは、その掲示板に書くよ。お互いの信用が構築されるまでは、こちらからは、掲示することはないとおもうが。ただ、GNAジーナは重要なゲームであることを忘れないでほしい」

スクリーンは消え、元の壁に戻った。

「今のでは、さっぱりわからないと思うが、そのうち機会を見て、話せるときがあるだろう。そうそう、さっきの掲示板名とパスコードの半分を、携帯端末に。残りのパスコードは、ゲーム内から送るから」

話ながら、また、例の飲み物を取りに行く。

普通の英雄的な主人公ならここで格好のいい台詞が出るのだろうが、普通の高校生であるあきらすばるは、おびえたまま、何も声に出せなかった。

「驚いただろうけど、これをきっかけに、GNAジーナをやめないでくれ。ツェット、だったかな。彼の言っているように、GNAジーナは、今、世界的に重要なゲームになっている。君たちもそのゲームプレイヤーの一員として、ゲームで頑張ってほしい」

所長は、コップをあきらすばるの前に置き、軽い微笑みを浮かべた。

「信じろと言われても信じられるわけがない」

そうすばるは思いながら、今度はすぐにコップの睡眠薬を飲んだ。


また、長く感じた睡眠から目覚めたすばるは、所長がいなくなった同じ部屋にいた。あきらもちょうど起きたところだった。

コツコツコツとドアをたたく音がして、ちょっと間をおいて、パトカーで一緒に来た警察官二人が入ってきた。

「遅くなってすまないね。混乱は収束していっているらしいと署長が言っていた。君たちのお蔭だよ。ありがとう」

二人の警察官は、軽く頭を下げた。

「パトカーで送っていくから」

そう言われて、あきらすばるは、パトカーに乗り、各自の家に戻った。

警察官は、それぞれのうちにいる人に、感謝の言葉を述べ、家族を安心させた。


「今日は、GNAジーナもネットダイアリも見る気がしない」

すばるは寝ることに決めた。

最初にこの「ネットダイアリ」でお話を書き始めた時の構想とは、まったく違う展開となってまして、表題のネットダイアリが楔になりつつあります。表題を変えてもいいのかなと思いつつ、18回目の投稿になりました。私にとって、2~3000字単位での投稿が便利だなと思っています。過去の設定なんだっけと振り返ることがよくあるんで・・・

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