ネットダイアリ-15-
昴の記憶違いなのか、現実がゆがみ始めているのか。何かがおかしい。
翌日、亮とGNAの話をしながらも、ネットダイアリのことが頭の隅に引っ掛かっている昴だった。
「少しずつだけど、シビリアンの間で団結する感じがしてきたな」
亮は昨日のゲームを振り返って話をしていた。
「ギルドが実装されるらしいね。昴は、マスターやるのかい」
「いや、ギルドか。今回は、どこかにお世話になるかな」
「当てがあるの?」
「昨日、狩りで一緒だったイーデイさんがマスターをやるようなこといっていたから、そこにお世話になるかな」
ネットゲームではよくあるギルドだ。ギルドの語源は、中世ヨーロッパの職業別共同体なのだが、ゲーム内では、同じ目的を持つグループのような存在だ。そして、マスターとは、そのギルドの創設者であったり、リーダーであったりする。もちろん、プレイヤーは、ギルドに所属しなければいけないわけではないが、よほど、ゲーム内での有名人にならない限り、単独でのプレイ、いわゆるソロではなかなかうまくゲームを進めることが出来ない。そもそも、ソロで遊びたいのであれば、このような、多人数参加型のゲームをしないだろう。
昴は、よくマスターをやる。サブマスターは、亮が勤めるというパターンが多い。
「今回のGNAでは、あまり、目立った活躍してないし、亮にも遅れを取っているからな」
「あの、イーデイさんか、ボイチャしたことないけど、チャットでは、フレンドリーだよね。イーデイさんのキャラ名って、いい日という意味なんだって」
ゲームのキャラにつける名前は、安直に決める人は多い。亮や昴は、まだオリジナリティがあるほうである。アニメや神話などを題材としたものが多い。また、ウケ狙いでつける人も多い。
「でも、最近のモンスターの動き、狩るのに難しくなっているよね。携帯連中が必死になっているのかな」
「聞いた話だと、一旦設定されたモンスターの動きは、ゲームを削除しても設定がそのままだそうだよ。掲示板に載ってた」
掲示板に書かれる内容は、シビリアンからの情報とカミン権限を持つライターが載せる情報とがある。モンスター機能の情報は、カミンが載せる情報である。
「とすると、モンスターが面白くなくなって、やめている人が出てきているのかな。シビリアンでギルドが実装されるんだから、モンスターでもギルドみたいな機能があったほうがいいんじゃないかな。そうしないと、普通のロールプレイングゲームになるぞ」
「確かに。その辺を変えるのがカミンの仕事なんだろうな。僕は携帯端末のモンスターを作っただけだからな」
「俺も同じだ」
「携帯でGNAを開いてみて、なにか情報があるかを見てみるのも手かな」
そんな話をしながら、登校した。
もうすでにクラスでは、GNAについて話をしている雰囲気はない。あまりにもあっけなくGNAのモンスター人口が減ったのだろうか。
昴は、放課後、コンピ研に顔を出した。また、戸村が対戦の話を持ってきたようだった。今度は、高校生大会への参加の話だった。
大会になると、パソコンの機能やネット回線の性能の差が出ないよう、オープンスペースでの開催となる。会場は、東京だ。日帰りも可能だが、戸村は、泊りでの出場を考えているようだ。
「江原たちが作ったマウスの大会での使用について聞かないとダメだな」
そんなことを話していた。どんな相手が出てくるかなどの話は、戸村からは出なかった。
「うちは、予備選手がいないから連戦になるけど大丈夫でしょ」
軽い感じで戸村は言っているが
「戸村さんのクラスの木下さんを誘えば予備の人いるじゃないですか」
「木下を入れて、5人ぎりぎりだろ」
「誰か来れないんですか」
「いつも4人しかいないから、いつもどおり、木下が来るんじゃないか」
昴は、なにかがおかしいと感じ、
「有坂はいるんですよね」
と一応聞いてみた。
「有坂と昴は、絶対参加だ」
さっきのマウスの発言から江原さんは参加すると思うけど、
「佐藤さんは、いけなくなったんですか。まさか、コンピ研やめちゃったとか」
半分ふざけた感じで昴は言ったが
「だれだ、佐藤って」
戸村から意外な答えが返ってきた。
「この前の対外試合で、参加してたじゃないですか」
「うちに佐藤ってやついないぞ。それと、この前の試合も、その前も木下がやってたよな」
戸村は江原に確認した。江原は何も言わず、うなずいていた。
有坂に確認しようと有坂のほうを見たが、もうそこには有坂はいなかった。
有坂は、GNAをしたいといって早々に帰っていったそうだ。
昴も有坂に便乗して、コンピ研を出た。もちろん、GNAをしたいわけでなく、ネットダイアリで佐藤を確認するためだ。この前の対戦は、画像に残してあるはずだ。そこで、確認すれば、何が真実かがわかるはずだ。昴は、急いで帰った。
まとまりがつかない文章と話になりつつある。本当ならその辺を批判してほしいのだけど・・・
「面白くなくなってきた」とか「キャラがうすい」とか「わけがわからなくなってきた」(これが一番当たっているかもしれないが)、初めての1万字超えの作品なら、こんなものかもしれない。