ネットダイアリ-12-
ネットゲーム「GNA」まだまだ奥が深く、謎が多い。遊んでいくうちに徐々に明らかになるゲームの内容。
昴は家に帰ると、パソコンを点け、GNAを始める前に、ネットダイアリをつけたのだった。
「GNAを始めたら、すぐに時間が過ぎちゃうからな」
昴は、時々ネットダイアリを書かないときもあるが、今日の対戦での自分采配については思うところがあり、ネット対戦の話題を書いた。
「そういえば、今回も佐藤さんが目立ってなかったな。最近どうしたんだろう」
あまり、話すことがない人なので、本当のところよくわからないのだが、一応、戸村と同じ3年生とのことだった。
ネットダイアリには、次の対戦時の対策と試したい戦略も書き加えその日のネットダイアリを閉じた。
「さ~て、GNA始めるかな」
夜中12時を目途に、GNAに没頭した。
GNAを続けたい気持ちはあるが、日曜日の午前中は、基本的に散歩かサイクリングをする昴であった。特に健康に気を使っているわけでもなく、ネットダイアリのネタ作りのためでもない。ただ、自然と外に足が赴くのであった。恐らく無意識のうちに、現実世界を肌身に感じ取っておこうという動物的な衝動なのだろう。昴はそんなことを考えているわけではない。昴の感覚では、脳内リフレッシュを行っていると思っているらしい。
昴の歩くルートには、特別な公園があるわけでもなく、浜辺や湖に行くわけでもない。普通の散歩ではなく、単純に通ったことのない小道や、不法侵入にならない程度で、新しいビルや古びたビルの中まで入っていく。時々、警備員や周囲の人に呼び止められたりするが、素直に見たかったからというと案外許されるものであった。もう歩く範囲で行ける場所はほぼ制覇しており、最近は、自転車に乗って遠出をすることが多くなった。今日は、久しぶりの歩きでの散歩である。
「あれ、こんな会社ここにあったっけ」
田舎町ではないが、都会ではないこの町にWEB会社があった。
小さな雑居ビルの3階にあるこの会社の窓には、
「あなたもインターネットで宣伝してみませんか」と、この町の規模らしい宣伝文句と携帯番号が貼ってあった。そのビルの入り口に向かい、会社名を探した。
「宣伝に会社名を入れないなんて、ちょっと抜けているな」
そんなことを思いながらビルに着いて目を疑った。3階の表示がないのである。
2階にある学習塾までしか表示されてない。半分不気味に思いつつも、時間的にGNAをプレイしたいこともあって、今度の散策で調べることに決めた。
家に戻った昴は、パソコンを点け、GNAに接続する。とさっそく亮からビデオチャットが入った。亮はレベル10になっていた。
通常よくあるこの類のネットゲームは、レベルが低いほど、早く次のレベルに上がりやすくできている。初期のプレイヤーを引き付けるためだろう。GNAでは、1つレベルをあげるための経験値をどのレベルでもある程度一定としていた。そのため、初期段階でもレベルの上がり方が少ない。また、初期クエストは、GNAの通貨、「ベース」を稼ぐことが目的となっており、経験値稼ぎにはあまり関係しない。こういったネットゲームが好きな人からすると、初期段階のレベルの上がり方の遅さはあまり関係しないようだ。
「今日は、モンスターが集団で襲ってきた」
亮が楽しげに言った。
「それ人間入っているんだろうな」
「かもね。やつらもレベル上がるから面白れぇんじゃね」
「ああ、いわゆるPKのようなものだからね。それも、PKすることが役目だから」
普通のネットゲームでは、プレイヤーを倒す行為をPKと言っている。ネットゲームの中では、PK行為ができないようなものもあるが、一般的にはできる仕様になっているゲームが多いと思う。GNAでは、トノドが現れてから、シビリアン同士の戦闘が行われるようだが、トノドがいない段階では、シビリアン同士の戦闘はできないようになっている。とはいえ、モンスターが人間に操られている以上、PKとさほど変わらない。数に物を言わすモンスターの結束力が強く、シビリアンが苦戦しているようだ。
「日中、携帯端末でのモンスター遊びは控えないと、シビリアンは滅ぶな」
ゲーム内の様子を見るとシビリアンが苦戦しているのが見て取れた。
「昴、西方面に行ってみるから手伝ってくれ」
「了解。今日は、時間的に西方面の探索だけだな」
筆のスピードが遅い私には、2000文字程度が1日の限度らしい。出来る限り間を空けないようにする努力をするが、投稿が遅れても、「あれ、更新されている」と思って、読んでいただくと嬉しいです。一部の方から感想をいただき、読んでくれているんだなと思い、感動しています。ぐだぐだにならないよう書いていきたいと思います。