4話 紛い物
加護調べからは大変だった。
母さんは露骨に目を合わそうとせず、少し見るだけで『ヒッ!』とか言い出す感じである。
父さんも最初はソワソワしていたが、母さんから俺の加護を聞いた瞬間怪物を見るような目になった。
屋敷の使用人達もヒソヒソ話をして、俺が少し睨むだけで逃げてゆく。
その日はイライラしていたのですぐに寝た。
そして寝たら俺はまた真っ白い空間に立っていた。
「いやーごめんよ。なんかサタンが<魔神の加護>なんて余計なものあげちゃって」
見た目幼女の日本の最高神・・・アマテラス様は、ため息混じりに言う。
「あっはい。でも、何故<魔神の加護>は嫌われているのですか?」
まあなんとなく予想は付くけど。
「理由は簡単よ。最初の魔王・・・<大魔王>ジロウやその側近達が<魔神の加護>を持っていたからよ。<魔神の加護>は魔力の強化、身体能力の向上、l例外属性に目覚めやすいの。だから勇者召還が成功するまでの1000年間、<大魔王>に世界は支配されていたのよ」
「そうですか・・・。でもそれなら加護を取り消せばいいと思うのですが・・・」
「あなたの落ち着きようはんぱないわね」
だって取り消してもらえばいいじゃないですか・・・。
「結論から言うと、取り消しは加護を貰った神に相当嫌われないとできないわ。相当嫌われてもその後に<怨み>が付くからデメリットしかないわね・・・。ちなみに<魔神の怨み>は露骨に身体能力が落ち、魔法が使えなくなるわ」
魔法が使えなくて身体能力も落ちるんじゃ、普通の生活を送るのもつらいんじゃ?
「それ以上よ。まず心臓が動かなくなるからすぐに死ぬわ」
ゐ、イヤァァァァァァ!!
「だからあきらめて頂戴。それとあなた今すぐ逃げたほうがいいわよ」
「何故です?」
まさか・・・殺されそうとか・・・。
天照はものすごく、申し訳なさそうに
「後一時間後にあなた、殺されるわよ」
と言った。
嗚呼。
なんとなくわかっていた。
加護一つであそこまで嫌われるのだ。
今までの愛情は紛い物だったのかもしれない。
そう思った瞬間、泣きそうになる。
「・・・ごめんね。幸せにするつもりが不幸にしてしまって。とりあえず、逃げるために<l時空庫>の魔法具を渡すわ」
チャラン。とアマテラスが腕輪を投げる。
「それに魔力を通しながら出したいものを念じれば出るし、入れたいものを手に持って入れたいと念じれば、入れられるわ」
涙を堪えながら、俺は問う。
「はい。えっと、何が入ってるか忘れた場合と盗まれた場合は?」
が入っているか自分でも分からないんじゃ意味ないしどっちみち、分かったとしても盗まれたら終わりだし・・・。
「入っているものは本能的にわかるわ。それとあなたの魔力を登録しておいたから、あなた以外使えないわね。ついでに勝手に戻ってくるわ」
「さいですか・・・。それと何が入っているのですか?」
「えっとね・・・。オリハルコンの剣に、オリハルコンのナイフ10本、大金貨5枚ね。これくらいあれば5年は生活できると思うのだけど?」
まあ日本で言うところの5000万だ。5年くらい余裕だと思う。
「あ、ありがとうございます」
意識が朦朧としてくる。
「ん。時間ね。じゃあまた5年後ね。それまでにー本物を見つけなさい」
天照は笑いながらどこか悲しそうに天照はこう言った。
「これからのあなたの名前はーーl高天 零と名乗りなさい。それとこんな時に酷だけど・・・今までの愛情は偽りだったみたい」
瞬間俺は意識を失った。




