おーまいしすたー、初日だけど手紙を送るよ!
「そろそろ、いろいろと話聞こうか」
食後、ミグが淹れた茶を飲みながら話を切り出す。
二人の処遇を決める、そのための情報収集。
イルミアとリシアは表情を引き締めて頷いた。
……あれ、よくよく考えるとリシアとは既に剣を教える約束しちまってるな。
仮に切り捨てるにしても、約束を違えてまで放り出すことなんてできるだろうか。
それ以前に女の子二人を見殺しにするなんて真似が俺にできるか?
――とにかく冷静に考えよう。
私情を挟まず情報だけを整理する。
そこを間違えれば、最悪ミグやシェル姉にまで累が及ぶ類の厄介ごとを抱え込みかねない。
見捨てないってのを決定事項だとするにしても、正確に汲み取った情報を元に最善策を模索しなければならない。
「まずは、そうだな。隣国まで来た理由から聞いておこうか」
今回の一件、護衛の騎士が全滅寸前まで追い詰められたことの発端から聞いておこう。
ことの重大さ、根深さを計る意味でも、この後何を聞くべきかを考えるためにも。
「宰相と姫様の婚姻の儀から姫様を救い出した。
その後は国内の協力者の許で今後の方針を決めるはずだったんだが、協力者が用意した隠れ家に悪魔が押し寄せた。
国内に安全な場所がないと判断した姫様の親衛隊隊長は即座に国外逃亡に踏み切った。
その逃亡先が、この国ファルマだったのだ」
は? え、ちょっと理解ができない、いや意味は分かるがそれだとまるで宰相が悪魔信奉者だったようにしか聞こえないぞ。
んー、まずはその宰相の人となりから聞いておくか?
「婚姻の儀を邪魔する、ってことはあれか。その宰相というのはろくでもない奴だったのか?」
確かに宰相ごときに姫、それも第一王女を娶らせるなんてのは歴史上を見ても稀にしかない珍事と言える。
物語で語られる程度には珍しいことだ。
その物語の多くは、姫と恋仲だった政務官が疲弊した国土を盛り立て、その功績を認めた国王から婚姻の許しを貰うという成り上がりの物語だったと思う。
ロミー・ボンヤスキーの苦難とジュリエ王女の切愛、だっけ? いや、今は舞台演目はどうでも良い。
ミラシアは、こう言ってはなんだが徐々に衰退している小国の一つに過ぎない。
相当に信頼できる宰相だったとしても、あの状態では婚姻なんて話は出ない。
そんな婚姻を許すくらいなら、他国との契りのために周辺国の王位継承権の低い王子や有力貴族の子息を迎え入れるための道具とするのが普通だろう。
シェル姉なら俺やチェロを使ってまで手に入れるべきか思案する程度の地でしかない。
そんな国で姫と宰相が婚姻となれば、忠臣であればあるほどにその愚行を止めようとするのも当然だといえる。
これは、国王は宰相の傀儡になっていると見るのが妥当だろう。
「姫様が生まれた頃から宰相の任に就いている男だ。
齢にして43、醜悪な脂肪を纏わせた醜男で、黒い噂も絶えない。
生まれて間もないの姫様に欲情するような腐った心根の男だぞ?
そんな男に姫様を触れさせてはならんと騎士団の大半が叛旗を翻した」
「そうなのですか?」
「姫様は存じ上げないかと思いますが、あの男の横暴は目に余るものがあります。
国王陛下の覚えめでたい重臣の方々ですら我欲のため陥れる悪漢です。
国王陛下はなぜあのような男を宰相の座に座らせているのか……。
挙句、意見する信頼の置ける忠臣の首を落とす暴挙までやってのけたのです。
あの男はいずれ、できるだけ早く討たねばならないでしょう」
リシア、相当その宰相を嫌っているみたいだな。
重臣や忠臣、額面通りに受け取れば比較的優れた為政者が次々と殺されていった訳だ。
なるほど、現在進行形で衰退しているのはその宰相が原因な訳だ。
……忍び込んで始末しておくか?
いや、それが原因で国王に乱心でもされればそれこそ国の終わりだろう。
終わらせた方が良いのかもしれないが、流石に俺の一存や独善でそれをするというのは躊躇われる。
後でシェル姉に手紙でも出して意見を聞こう。
「姫様をあのような部屋に閉じ込めたのもあの者です。
奴を姫様から遠ざけるために何人の騎士がその命を犠牲にしたか……」
というか、イルミアの世間知らずも今回の一件もその男の差し金か。
オーケー、可及的速やかに制裁を加えに行くとしよう。
これまでの話しぶりでは、まさに悪魔信奉者がやりそうな悪魔種が手を叩いて喜ぶことばかりをやっている。
まずは裏を取る所から。あとは影武者か何かでも用意してもらうことにしよう。
ってか、十四年以上前から中枢に入り込んでいた宰相が腐敗の原因なのかよ。
これは根が深そうだ。膿を取り除いたとして、ミラシアは国として機能できるところまで回復できるんだろうか?
それこそ、シェル姉に植民地に近い形で支配してもらうのが最善に思えるな。
「その腐った男の話はもう良いよ。
次に徘徊する残夢が出た時の話を聞きたい。
考えたくないが、最悪なら悪魔信奉者の根城がトリア領のどこかにあるということになる。
被害を拡大させる前に潰しておきたい」
「ウォーキング・グリムは……護衛の任に当たっていた騎士の首飾りから現れた。
その騎士はウォーキング・グリムの鉄槌で潰されたよ。
首飾りも、ウォーキング・グリムが現れると同時に砕けたのを見ている。
まさか同じ騎士団の一員があのような者と繋がっていたとは思いたくない。
多分に願望が混じった物言いになるのは申し訳ないが、恐らく宰相に嵌められたのだろう」
「そうか。媒介を使った悪魔種の遠隔召喚、か。
悪魔を手駒として使っていると思いながら、裏から悪魔に操られているパターン、だろうな。
恐らくその騎士にしても宰相にしても、その首飾りをどこで手に入れたのかすら覚えていないだろう」
一先ず、現状が最悪ではないと判明した。
肩の力が少し抜けるのが分かる。
少なくともファルマから見れば、だが。
ミラシアから見れば最悪だな。
ここまで悪魔信奉者が根を張った小国なんてのは、放っておけば一年と立たず瓦解するだろう。
そうでなくても、いずれ悪魔の国として諸国に害を成す。
崩壊か乗っ取りか、そのどちらだったとしても遠からず周辺諸国で連合を組んでの制圧軍が編成され、ミラシアの名は地図から消えることになる。
後のことを考えれば、ノーグレイスの名が深く入り込んだ飛び地として確保しておくのも悪くない手に思える。
こちらからの対価が復興の支援程度で納まるのなら、ではあるが。
「大体理解した。他に言っておきたいこととかあるか?」
やることは概ね決まった。
始めからある程度シェル姉の手を借りるつもりではあったが、頼む時に必要な情報と手駒が揃ったと言うべきだろう。
これなら思ったより早く動き出せそうだ。
「ミラシアは、どうなってしまうのでしょうか」
今後の方策を固めていると、イルミアが不安げに呟く声が耳に入ってくる。
これから、イルミアが何も知らないお姫様のままでいることはできない。
精神的に成熟しているとは言い難い彼女には少し酷かもしれないが、言葉に出して考えを纏めるとしよう。
「まず、ミラシアの現状から話を纏めるか」
「シュリト様、良いのですか? その……」
そっと俺の腕に乗せられるミグの手。
小さく、柔らかい手。
僅かな逡巡が混じる瞳でミグは俺を見つめる。
「……当事者の二人だ。話さない、って訳にもいかないだろ」
ミグの言いたいことも分からなくもない、これから話すことは二人にとってあまりにも重い事実だろう。
そして、それを聞き、背負う覚悟を持っているかと問われれば否と即答する程度に二人の様子は幼すぎる。
だが、目を逸らし続けられる時間はもうない。
幸い、動こうと思ったって下地ができるまでは土台無理な話で、少しくらいその覚悟を持つための時間もあるにはある。
だからこそ、今は隠さず話すべきだろう、自分が選ぶことのできる道を知るためにも。
「さて、話を戻す前に前以って言っておこうか。
イルミア、リシア、これから話すことは、かなり重いものだ。
だが、王族として、騎士として、目を逸らすことのできない事実だ。
昨日今日までやってきた何も知らないという顔は、これから先一切許されない。
もう引き返せる段階じゃないってことをまず覚悟してくれ」
固い表情で頷く二人。
イルミアの瞳には不安が、リシアの瞳には目を背けないという強い意思がそれぞれに揺れている。
深刻ぶっても、変に焦らしても仕方がない。
俺は淡々と話すことに決めた。
「まず、ミラシアの現状から考えよう」
二人はじっと俺の言葉を耳に入れる。
「周辺諸国から見たミラシアは、ここ十数年、徐々に衰退している小国だ。
魔族との戦争が終わった今、何が切欠になって人と人との戦争に繋がるかわからない。
その始めの場所として選ばれるだけの手ごろな国になっていることを理解してくれ」
イルミアの瞳に悲哀が混じるが、無視する。
「そして話を聞く限りのミラシア国内だ。
政治は腐敗し、その是正すらできずにいる。
恐らく貴族の連中ですら宰相、延いては王家に対する不信を募らせているだろう」
その不信が不満になり、憎悪が混じって爆発すれば共倒れだ。
「クーデター一歩手前、みたいな国内情勢と言えるだろう。
だがそんな騒ぎがあれば、少しばかり野心の強い国は挙ってミラシアを食いに掛かるだろうな。
そうなれば、ミラシアは終わりだ」
「そんな……」
悲鳴のような声を上げるイルミア。
やはり、政を学んではいないのだろう。
その純朴な様は僅かばかりの憐憫を誘う。
「この状況から何とかする、ってのには、少しばかり障害が多いな。
次はその障害について話そう。
まず宰相の件か、そいつは十中八九悪魔信奉者だ。
邪魔者に二度も悪魔を嗾けているし、間違いないだろう」
「……だろうな」
憎憎しげにリシアが頷く。
「このまま放っておいた場合、ミラシアの未来は二つに一つ。
悪魔に唆された宰相が下手を打って国が崩壊するか、悪魔が宰相を差し置いて国を乗っ取るかだ。
どちらにしても、その後ミラシアは悪魔が巣食う国として周辺諸国の連合軍によって焼き払われるだろう」
イルミアの沈痛な面持ち、リシアの瞳に混ざる決意の色。
だがリシア、その決意は危ないぞ。
今すぐにでも飛び出しそうなリシアを制するように言葉を続ける。
「最善は宰相を討つことだというのは間違いないが、リシア。
それじゃ後が続かないんだよ。
曲がりなりにも宰相は国王に次ぐ権力者だろう?
そいつが突然逆賊でしたと死刑にでもなってみろ。
少なからず国中が混乱に陥るに決まってる。
そうなりゃさっき言ったように、周りのハイエナの餌食だよ」
「それではどうしろと言うのだ?」
「慌てんな、今から俺の素性を明かしておく」
リシアが首を捻る。
確かに、一見話の繋がりが見えないよな。
「俺の名はシュリト・シェルム・ノーグレイス。
シェルム・トレラ・ノーグレイス女侯爵の義理の弟だ」
「何っ!?」
リシアの驚愕、今度はイルミアが首を捻る。
「話を戻すぞ、ミラシアでまずすべきことが宰相を討つことだというのには変わりない。
では、宰相を討つとどういう問題が起きるか考えろ。
まず、実権を握っている者が居なくなることで起きる政治の遅滞。
次に、その権力者が悪魔信奉者だったという事実が起こす王家への不信。
最後に、それらが取り除かれたとしても残る深刻な為政者の人材不足だ」
一度言葉を切る。
イルミアは俺の言葉を理解しようと必死なのだろう。しきりに何かを考えているように、僅かに視線を遊ばせる。
リシアは動くに動けなくなってしまって、同じように何かを考えるように手の甲で口を隠しながら俯いている。
「ミラシア単体で見れば、とうの昔に詰んでる、って話だよ。
そこで出てくるのが俺、というか俺の姉、シェルム・トレラ・ノーグレイス女侯だ」
「しかしそれでは」
「ああ、シェルム女侯の過去を知っていれば、ここで助けを求めるのは心臓を差し出すような気分になるだろうな。
だからこそ聞きたいんだよ」
俺の言葉に、二人は真っ直ぐな視線を俺に向ける。
一方は純粋な疑問、一方は疑惑の混じる険のある視線だ。
「お前ら、ミラシアをどうしたい?
国を残したいか、名を残したいか、民を救いたいか、名誉を残したいか。
そのどれか、いや、それ以外だったとしてもミラシアにはどうなって欲しいか聞かせてくれ」
思案する二つの気配、たまに向けられる見定めようとするような気配、すぐに霧散する打算の気配。
しばらく考え込んだ二人のうち、イルミアが先に口を開いた。
真剣に考え込んでたからなあ、今考えても仕方ないことに意識が行っていただろうリシアより早く考えが纏まるのは当然といえば当然だろう。
「私は、国を知りません。
その地の名を残す意味も知りませんし、名誉を感じたこともありません。
ですが、そこに住まう駆け出しの冒険者の方々とお話ししたことがあります。
日々を懸命に生き、そして夢を追う輝かしい瞳を知っています。
彼らと同じように力の限り生きる民達が住まうというのなら、私は国よりも、彼らを守りたい、です」
「姫様……」
やはり善良、よく言えば純粋で混じりけのない良心の回答だ。
悪く言えば、子供染みた夢物語。理想を妄想する絵空事に現を抜かす愚答でしかない。
だが、嫌いではない。
イルミアの言葉に、リシアは感じ入ったような声を上げる。
今の今まで忘れていたような『守るべきもの』を不意に目にしたようにも見える。
剣を振るう姿で想像はできているが、一つのことに集中し始めた彼女の視野は思いの他狭くなるようだ。
「私は、力を持ちません。
その私が願ったところで、民を守ることなどできないでしょう。
私は、知恵を持ちません。
その私が祈ったところで、民に糧を与えることなどできないでしょう。
ですから、シュリト様」
どうか届くようにと祈るような視線を俺に募らせるイルミア。
ただ真摯に、ただ健気に、彼女は言葉を紡ぐ。
「私は、どうなっても構いません。
どうか、民を、ミラシアに住まう人々を救ってはくれませんか?」
沈黙。
大貴族の重圧にも並ぶほどの、その場を乱すことに尻込みさせるほどの静寂。
近付く者が腹に何かを隠しているのなら、その場を犯すべきでないと強く思わせるほどに神聖さすら漂わせる。
なるほど、これが彼女の王の器という訳だ。
己の身を顧みない献身。
荘厳なまでに穢れのない精神性と美しさが彼女の最大の武器であり盾となるだろう。
まさか、彼女は俺が初めて魔物と戦った時の話に共感でも覚えたのだろうか?
ふざけないでくれ、俺がミグの前に立ったのはそんな綺麗な理由じゃないんだ。
だが、彼女の望みははっきりと感じ取った。
「それで、ミラシアが属国に落ちたとしてもか?」
「はい。民が救われるのなら」
「お前が命を落とすとしてもか?」
「返事は変わりません。このような命であれば、いくらでも差し上げます」
「お前が死よりも苦痛な責め苦に追いやられたとしてもか?」
「民が救われるのなら、それ以外に何も望みません」
なら、何も言うまい。
俺のすることは変わらず決まっている。
ただ、そこに決意が結ばれるだけの話だ。
「分かった。このシュリト・シェルム・ノーグレイスが確かにミラシアの民を救うと約束しよう」
安堵、そして喜びだろうか。
イルミアは目覚めてから一番の笑顔を作った。
「これほどの感謝を伝える術を知りません。ですが、どうか形に。
私、イルミア・ルナ・シャンティ・アド=ミラシアの全てをシュリト様に捧げます」
それを聞いたミグは……。
「いえ、それはいけませんよお姫様。シュリト様を甘やかしてはいけません。
シュリト様はシェルム様に頼るに決まっています。
それと、姫様が居なくなったら誰がミラシアを治めるんですか」
いつも通り、いろいろ台無しにしながら冷静にそう言い放った。
『
麗しき我が姉上へ
今朝ミラシアから摘んできたという珍しい花を手に入れた。
良い匂いのする花だから、シェル姉にもどうかと思って手紙を出す。
ただこの花の時期がそろそろ終わるそうだから、
できれば早めに返事をくれると助かるよ。
なんなら、今手にある花を持って行こうと思うがどうだろう。
ミラシアで次に咲くのは赤混じりの黒い花だそうだ。
ミラシアでは結構いろんな花が咲くようだから、
庭師に学びに行かせてシェル姉の庭園に飾るのも良いんじゃないか?
少し先の話だけど、リュフェから出たらミラシアに向かおうと思う。
金物屋と知り合ってね。
銀細工を教えてもらう予定だから、
ミラシアの土産は俺が作った首飾りを送るよ。
黒曜石をあしらった銀細工なんてのはどうだろう?
要望があるようならそのデザインの首飾りを作ってみるよ。
ただ、ダイヤみたいな高いのはやめてくれると助かる。
流石に財布に無理があるからな。
』
「不肖の弟、貴女のシュリトより、と」
「シュリト様、手紙ですか?」
「ああ、シェル姉にちょっとな」
魔力で一羽の鳥を作り上げる。
俺の髪を陽で透かしたような青の鳥だ。
「おーらよっと、行ってこーい!」
手紙を持たせたその鳥を空に放つ。
はてさて、しばらく待てばシェル姉から返答が聞けるな。
果たして、食器の片づけが終わった頃にシェル姉の手紙を持った鳥が帰って来た。
シェル姉の髪を陽で透かした時に見えるような赤の鳥だ。
「お、帰って来たか。流石、仕事早いね」
早速手紙を読むことにしよう。
『
愚弟へ
時節の挨拶も書けぬ無知な弟よ、
帰ったらまず手紙の書き方を教えてやる。
喜べ、私が手ずから教えてやろう。
ミラシアの花と言ったな。
とりあえず今持っているのは押し花にでもして大事にしておけ。
帰って来た頃にでも見せてくれれば良い。
だが、愚弟もたまには気が利くな。
ミラシアには庭師を出しておいた。
十日もすれば帰ってくるだろう。
リュフェから出る頃には手紙で結果を知らせてやる。
さて、首飾りのことだが私は銀より白金の方が好きだ。
小僧の財布には厳しかろうが、
私を喜ばせたければそれくらいのものを送れ。
そうだ、折角リュフェに行くのなら酒を送ってくれないか?
特に果物を漬け込んだ物が良い。
次の街で送る手紙には路銀を包んでおいてやる、
泣きながら感謝しろ。
偉大で美しすぎる姉より
』
「ふむ……ミグ、イルミア、リシア、ちょっと良いか?」
俺の言葉に、出発の準備をしていた三人が集まってきた。
「とりあえずイルミアとリシアは俺達で保護することになった。
リュフェでミラを拾って準備しておけ、だとさ。
十日で土台を作るから、決行直前に直接リュフェまで来るらしい。
で、ミラシアの処遇だが、シェルムとの同盟国として扱ってくれると言っている。
イルミア、お前はシェルム女侯爵から政治を叩き込まれるから覚悟しておけ」
「……この手紙でよく分かるな」
「あー、まあ、後から見られても普通の手紙に見えるようにしないといろいろと、な」
そんなことを言いながら今後の予定を固める。
まずはリュフェへ、しばらくはゆっくりと観光を楽しめそうだ。
イルミアに沈められた怒りを胸中で育てながら、俺こと元勇者候補シュリト・シェルム・ノーグレイスとその一行はリュフェへと向かうことにした。
読み返したらしゅーくんの性別と肩書きが一部凄いことになっていたので修正しました。
急ぎとはいえ添削を疎かにしてはいけませんね。
携帯版で見たら手紙部分が大変なことに……。
かといって携帯版に合わせると縦長になりすぎるジレンマ。
何か良い手がないか模索しておきます。




