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デッドマンズ・クロニクル  作者: 白銀シュウ
第零章   Prologue of Chronicle
8/12

【1‐5】  Boy meets Girl

この物語は、実在もしくは歴史上の人物、団体、国家とかその他固有名称で特定される全てのものとは、何の関係もありません。

あと、作者はVRMMOに疎い方ですので結構、やりたい放題です。


「えっと、まぁ…助けてくれてありがとうな」

「いえ、目の前で人が死ぬ光景を見過ごすわけにはいきませんから」


 直樹と真央は握手をする。

 直樹は彼女の姿を観察する。


「(白いカッターシャツに赤いネクタイ。…短パンに白い大きなベルトか)」


 向こうの世界でもギリギリあり得そうなファッションだなという感想を直樹は抱いた。

 青色の瞳に、端正な顔立ちは彼女の美貌がどれほどのものかを表している。


「その装備って確か、サムライでしたよね?」

「あぁ。…一応、初心者のサムライやってる。初プレイの日にこんな事件に巻き込まれたってワケだ」

「…ご愁傷様です」

「(なんか使い方がおかしくないか?)」



 結局、ここで出会ったのも何かの縁、ということで2人で山を進むこととなった。






 ◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆






「現実世界ではお嬢様だったのか…」

「はい。ゲーム産業関係の大手企業の社長令嬢…でした」


 直樹と真央は互いの話をしながら道中を進んでいた。

 話を聞くところによると、真央は現実世界ではMMORPGを製作していたゲーム会社の社長令嬢らしく、今回の事件に巻き込まれた理由は“敵会社のゲームの視察”が目的だったそうだ。


「私と一緒にこの世界に来ていたお父様の部下の方々は皆街に引きこもっていたので…私は1人で出てきたんです」

「危ないなぁ。いや、俺が言えた義理じゃないが…リアルでの運動神経が鈍い子はこのゲーム世界でも運動神経が鈍いから危ないって言うのに」


 VRMMOは運動音痴に出来るゲームではない。

 一瞬での判断力や運動神経といった現実世界のサバイバルや戦争などで必要とされるものがこちらの世界でも必要とされるのだ。

 引きこもりやオタク、ニートにとっては面白くないゲームである。


「大丈夫です。私、こう見えてもアメリカの大学に留学していた頃にクレー射撃の選手やってましたし。あと、日本でもオリンピック選手候補生に選ばれたことが一度だけありますから」

「……ごめん、俺が間違ってたわ。ってか、大学?」

「飛び級です。私は高校二年生ですし」

「俺の1つ年下なんだ」

「あ…じゃ先輩ですね」

「あーうん、そうだな」


 自分より年下で大学卒業、しかもクレー射撃の強化選手。

 人は見かけによらないものなのだなと直樹は痛感した。


「藤元先輩は何かやっていたんですか?」

「ん? あー…中学生の頃に剣道で全国大会に出場したくらいかね」

「凄いじゃないですか!」

「…でも、1回戦負け。しかも、その後に暴力問題を起こして日本剣道連盟から永久追放喰らった」

「え…」


 真央が少しだけ怯える。


「…いや、自分の街の中学校の教師たちが集団で女子中学生を襲う鬼畜行為をしてたのをたまたま発見しちゃったから持ってた木刀でボコボコにしばきあげただけ。向こうが悪いってのは理解されたけど、過剰防衛…みたいなモンだって理由で永久追放」

「…怖いです」

「ですよねー」


 大人10人相手に木刀で無双したなんてぶっ飛んだ経歴を持つ高校生は日本全土を探しても直樹くらいしかいないだろう。


「二度と人前に出れないくらいに顔面の形歪めちゃったし…いやまぁ、凶器相手に手加減しろっていうのもヒドイけどさ」

「スゴイ経歴ですね…。不良なんですか?」

「んー…ただの高校生。ゲーム好きなただの高校生だな」


 2人は川に架かった橋を渡る。

 ギシギシと音が鳴って怖い。


「そういや、小林さんはこれから予定でもあるの?」

「いえ。…あと、さん付けしなくてもいいですよ」

「あ、じゃ…小林?」

「それでいいです」


 直樹は頬を掻きながら「最近の若い子はよく分からない」と思った。

 初対面の男に呼び捨てを許すってどういうことなんだろうか。


「…じゃ、予定ないなら俺とパーティ組んでくれない? 遠距離攻撃タイプは欲しいと思ってたし」

「あ、別に構いませんよ。私も遠距離だけじゃ火力が乏しいので近接攻撃タイプが欲しかったですし」

「じゃ、契約成立だな」

「はい」


 2人は橋の上で握手をし合う。


「…パーティを組むとしても私達2人じゃ生き残れる気がしませんよ?」

「だよな。…せめて“導師トリッカー”系統のプレイヤーが欲し…い…」


 直樹は言葉を途中で途切れさせてしまう。


「?」

「そうだ!」


 直樹は左掌を右手の握り拳で叩いた。

 真央は首をかしげる。


「俺の友達がいるじゃないか!」

「友達?」

「あぁ! 俺が大学合格したら一緒にプレイしてくれるっていう学校の同級生がいたんだった」

「その方は?」


 それは心強い、と真央はその人物の位置を直樹に尋ねた。


「それが、場所がわからんのだ。職業と名前はわかっているから掲示板で探せば応答してくれるだろうけど」

「掲示板ですか…。じゃ、次の街に向かう必要がありますね」

「だな」


 直樹はグッと拳を作る。


「【サイキッカー】【アーチャー】【バーサーカー】の3人なんだ。1人は中学時代からの友達でもう1人はソイツの彼女。で、最後の1人が同じクラスにいる生徒会長。多分、戦力になってくれると思う」


 真央は直樹の隣を歩きながら直樹に尋ねた。


「【サイキッカー】って確か“雪の大地『チェルノ』”からスタートするコトが多い職業でしたよね? 【アーチャー】は“時の都『エグバート』”がスタート地点。【バーサーカー】は“宵闇の国『アヌビス』”がスタート地点。どこも遠くないですか?」

「まぁな。でも、この世界にいるのなら、探さなくちゃ俺たちは生き残れないよ」


 『チェルノ』は現実世界リアルで言うロシア辺り。

 『エグバート』は現実世界リアルで言うイギリス辺り。

 『アヌビス』は現実世界リアルで言うエジプト辺り。

 『アマテラス』は日本に位置する場所であり、かなり距離が離れている。


「【サイキッカー】の転送系とかならテレポートで迎えに来てくれるんだろうけどな…」

「攻撃系なんですか?」

「多分。ってか絶対」

「…なんか、心配です」

「大丈夫だ。個性は強いが、頼れるヤツらだぜ?」

「いや、先輩の類友だと考えたら心配になっているっていう意味です」

「……」


 直樹は少しだけ隣の少女の素直さに涙した。



〓 Lv.01 Hujimoto Naoki(Samurai)

Point:00030/10000


〓 Lv.01 Kobayashi Mao(Sniper)

Point:00030/10000

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