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デッドマンズ・クロニクル  作者: 白銀シュウ
第零章   Prologue of Chronicle
6/12

【1‐3】  Death Game

この物語は、実在もしくは歴史上の人物、団体、国家とかその他固有名称で特定される全てのものとは、何の関係もありません。

あと、作者はVRMMOに疎い方ですので結構、やりたい放題です。


 直樹は呆然としていた。

 街のあちこちで悲鳴が聞こえる。

 悲鳴を上げたり、地面に座り込んでいるのは全員が武器を装備した人間だ。

 つまり、NPCではない。



「(どうして…こうなったんだよ)」



 直樹は泣きそうな顔で空を見上げた。

 …全ては数分前のことだった。






 ◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆






「おい!ログアウトできねぇぞ!」



 誰かが悲鳴に近い叫び声を挙げたのが始まりだった。

 直樹はその時、町の中央にある掲示板で情報収集をしている時だった。



「(そんなバカな)」



 直樹は右耳に装着されているプレイヤー全員に配布されている通信機を起動させる。

 そして直樹の目の前にウィンドウが表示される。

 しかし、そこには『パーティ』『アイテム』『装備』『スキル』『ステータス』『クエスト』だけであり、本来ならある筈の『ログアウト』が存在していなかった。



「(どういうことだ?)」



 次第に街のあちこちで同じような現象に出くわしてしまったのか、悲鳴があがる。

 直樹は顔面が蒼白になりながらもウィンドウを必死に探した。



「(ない。ない。ない。ない。…ない)」



 掲示板前にいた他のプレイヤーたちもかなり焦っている。

 直樹が絶望のあまりに泣きそうになったその時だった。



『全世界の約2億人のプレイヤーの皆様、こんにちは』



 ウィンドウの表示がいきなり切り替わり、目の前に『ドラゴンズ・オンライン』のロゴマークだけが表示された真っ白なページが浮かび上がる。



『日本時間の午後0時より、1週間ほど前から予告されていましたアップデートが行われました』



 直樹は掲示板と同じく町の広場にある巨大な時計塔を見上げる。

 アマテラスは日本と同じ位置にあるので日本時間と全く同じだ。



「(ちょうど昼を過ぎた所だったのか…)」



 バグか?と直樹は思う。



『今回の第15次アップデートを持ちまして新ルールを追加させていただきました』



 機械のように無機質な、けれども間違いなく生きているとわかる女性の声は無感情にルールを告げる。



『第1のルール。このゲームからはある条件を満たさない限り、ログアウトすることができません』



 あちこちから動揺と驚きと怒りが混ざった声が飛ぶ。



『第2のルール。その条件は、ドラゴンの討伐です』

「(普通じゃないか)」



 このゲームでは、当たり前のように行われていることだ。



『たった今、この時間から世界中に生息する全てのドラゴンに強さに応じてポイントが割り振られました』

「ポイント…?」

『プレイヤーの皆様にはポイントを集めていただきます。一定数のポイントを集めることによってゲームクリア。無事に脱出することができます』



 直樹は黙って女性の声を聞き続ける。



『クリアに必要なポイントは10000ポイントとなります』

「10000…!?」



 直樹は驚く。

 一体のドラゴンにつきどれくらいのポイントが割り振られているかは知らないが、簡単なことではないだろう。



『第3のルール。たった今からゲーム内で体力が0になった者はデスゲームからの脱落者となり、死亡します』



 プレイヤー達が息を飲む音が聞こえた気がした。

 辺り一面が一瞬で静まり返る。



『第4のルール。PK(プレイヤー・キル)が可能となりました』

「PKが…!?」



 プレイヤー同士で殺しあうことができるようにシステムが改良されたということになる。

 この場合、改悪と捉えるべきかもしれないが。



『PK時、被害者が持っていた戦いで稼いだポイントは加害者側に当てられることとなります』

「(マジかよ…)」

『補足ですが、ドラゴンを集団で撃破した場合はポイントが割られますのでご注意ください』



 強いドラゴンをソロで倒せば現実世界へと帰る道のりが短くなる。

 しかし、強いドラゴンを集団で倒せば、現実世界へと帰る道のりが遠くなる。



「(集団であればある程に死亡率は下がる。だけど…ポイントは少ない)」



 直樹は舌打ちする。



『尚、期限は三年。三年以内にクリアできなかった場合はプレイヤー全員が死亡します』

「(その前に現実世界の俺たちの身体が衰弱死してそうだ)」

『では、プレイヤーの皆様がクリアできることを願っております』



 そういうとウィンドウはシュインと音を立てて閉じられた。

 周りでは泣き出す者、現実を否定する者、発狂する者などが現われ始める。



「(…運が悪い)」



 直樹は自分の人生を呪った。

 もし、神様がいるのならこの場に出て来い。

 そして、殴らせろと言いたい位に人生を、神を呪っていた。



「……とにかく、なんとかしないと」




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