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デッドマンズ・クロニクル  作者: 白銀シュウ
第零章   Prologue of Chronicle
5/12

【1‐2】  Miserable Destiny

この物語は、実在もしくは歴史上の人物、団体、国家とかその他固有名称で特定される全てのものとは、何の関係もありません。

あと、作者はVRMMOに疎い方ですので結構、やりたい放題です。


 ─それはいつもと変わらない日常の1コマだった。


「ふっふふーん♪」


 ブレザーとカッターシャツを着た学生服姿の青年がスキップしながら鼻歌を歌っていた。


「ママー、あの人何してるの?」

「見ちゃいけません!」


 なんていうやり取りがされるくらいに気持ち悪い絵図なのだが、当の本人は真剣にハッピーな状態だったので、そんなことには1ミリも気付いていなかった。


「らららー♪」


 気持ち悪いオペラを見ているような不快さを周りに与えながら青年は自宅の前へと到着すると喜びを爆発させながら玄関の扉を開けた。



「大学受かったぞぉおおおおお!!」



 青年─藤元 直樹(ふじもと なおき)は今が人生で最高の瞬間だと思った。






 ◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆






 藤元 直樹。

 東京都内のとある大学に合格した高校三年生という肩書きを持つ普通の高校生である。

 好きなものはゲームで、好きな彼女のタイプはゲーマー。

 幼少期からゲームにのめり込み続けていた彼は今日、大学に合格したのだ。


「さぁーて、早速早速ぅ♪」


 直樹は自室のパソコンの電源を入れると高校へ大学合格の報を届けた帰りに買ってきたお目当てのモノを袋から取り出す。

 1990年代頃のパソコンのPCケースくらいの大きさをした黒く光る物体を取り出すとパソコンを置いているデスクの隣の床に置く。


「楽しみだなぁー♪」


 説明書に書かれたとおりに黒く光る物体のケーブルをパソコンと繋ぎ、『ドラゴンズ・オンライン』のイラストが描かれたCDをパソコンの方に挿入する。

 そして、彼はバイクのヘルメットのようなモノを被り、ヘルメットの両耳の辺りから生えている2本のコードを黒く光る物体─VRMMOの本体に接続する。


「おぉー!」


 接続した途端、目の前のバイザーに『ベットに横になってください』と言葉が表示された。

 直樹は言われたとおりにベットに横になる。


「うおっ…!?」


 するとその瞬間、耳の部分に内蔵されているのであろうスピーカーから変な超音波のような音が流れ込んできた。

 一瞬だけ視界がグラッと歪むと、啓介の目の前は真っ黒の空間になっていた。


「これが…VR空間だってのか?」


 すると啓介の目の前に白い枠のウィンドウが現われる。


『名前を音声で入力してください』

「ナオキ」

『了解しました』


 このVRMMORPGは最初にこの場所で音声入力した名前を使うことになる。

 ゲームの説明書には『本名を使用しても構いません』と書いていたので直樹は自分の名前を登録した。


『ようこそ、『ドラゴンズ・オンライン』の世界へ─』


 意識が一気にグッと遠くなる。

 ジェットコースターで一番高いところから一気に落ちるときの感覚に似ていた。


「(さーて…どんな世界観なのか楽しみだなぁ)」


 直樹は薄れ行く意識の中でそんな事を考えていた。






 ◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆






 『ドラゴンズ・オンライン』は世界的に人気大爆発のVRMMORPGだ。

 現実世界と同じ形をした大陸を舞台に、ドラゴンを狩るゲームである。

 全世界で30億を越えるプレイヤーがいるらしく、常に数億人クラスがログイン状態らしい。

 直樹は発売された一年前の日からこのゲームをずっと楽しみにしていたのだ。

 大学受験という障害を乗り越えない限り、このゲームは楽しめないので直樹は必死に勉強した。

 そして見事に合格したのでこうやってプレイをしているのだ。


『最初に職業を選択してください』


 目の前が何もない暗闇の中、啓介の脳に女性の声を模した機械音声が流れ込んできた。


「(職業かぁ…。どれにしようかな)」


 『ドラゴンズ・オンライン』には「職業」というものがある。

 最初に選択した職業は一生変えることが出来ないので、ここは重要な分岐点となる。


『職業には大きく分けて『戦士』『闘士』『導師』『職人』の4種類がございます』

「(4種類かぁ…)」


 職業『戦士』は文字通り、武器を持つ職業である。

 職業『闘士』は格闘家のような職業。

 職業『導師』は魔法や超能力を行使する職業。

 職業『職人』は上記以外の専門的な技能に優れた職業である。


「それじゃ…『戦士』で」

『了解しました。戦士タイプには「サムライ」「ナイト」「アーチャー」「スナイパー」「ブレイカー」がございますがどれを選択されますか?』


 どれも人気の高い職業だ。

 しかし、直樹は迷わずに答えた。


「サムライ」


 日本男児なら刀や侍に一度は憧れるモノだ!と直樹は思っているので、この職業を選んだのだ。


『了解しました』


 音声が響いた瞬間、啓介の身体が光に包まれる。

 いつの間にかヘルメットは消えていた。


「おおおお!」


 そして徐々に啓介の足元から光が消えていく。

 服装をコンバートしているようだ。


「中々、かっこいいんじゃないか!?」


 初期装備の衣装はプレイヤーによって千差万別だと聞いたことがあった直樹はこの服装を喜んだ。

 日本とドイツの軍服のデザインを混ぜたかのような黒色の膝まで届く長いコートに銀色のベルトという服装だった。


「オタクは黒色を好むというが…本当だな」

『職業「サムライ」は攻撃・速度に特化した戦士職です。防御を捨ててあるので中々難易度の高い職業ですが、よろしいでしょうか?』

「かまわんよ」

『了解しました』


 再び直樹の意識が薄れていく。


『サムライの始まりの地は“極東の地「アマテラス」”です』

「(アマテラス…?)」

『では、幸運を祈っております』


 直樹は始まりの地とやらに期待を抱きながら意識を途切れさせた。




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