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掌編小説

自分勝手

作者: 斎藤康介

 彼女にフラれた。

 理由は「あなたは自分勝手で、私のことちっとも考えてくれていない」からだそうだ。訊いてもいないのに親切に答えてくれた。


「自分勝手って……」


 突然のことで宥める気も起こらず「分かった」と頷いた。またそれが彼女の気に障ったらしく激怒されビンタされた。そしてひりひりする頬を土産に彼女は部屋から出て行った。出ていく彼女の背中を見て、あの小さな身体のどこにこれほど怒るエネルギーがあるのか尋ねてみたかった。

 乱暴に閉められた扉を5分ほど眺めていたが彼女が戻ってくる様子もないため、携帯を手に取り彼女の連絡先を消去した。


「自分勝手ねぇ」


 慌ただしさが去り、弛緩した空気漂う室内で自分の声は薄い膜で覆われたかのようにくぐもって聴こえた。


「でも、新しい男ができたからって他人に別れの原因を被せる君ほどではないさ」


 彼女が去った玄関に声を投げた。勿論返答はない。

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