イケボ兄系Vtuberのメンシギフトを受け取ったら実の義兄だった話、する?
第7回「下野紘・巽悠衣子の小説家になろうラジオ大賞」参加作品です。キーワード「ギフト」。1000文字の短編なのですぐ読めます!
「おい」
私の名前は『おい』ではない。
そして、私を見下ろすこの180センチの鋭い目をした男の甥でもない。女だし。
ドスのきいた響く低音ではあるが私はビビらない。
だって、義兄妹だし。
「なに?」
「……今日、俺の部屋に近づくなよ」
「はいはい」
そう告げると義兄は去っていく。榊玲。私、榊昴の義兄であり、敵。
愛想最悪なのだが、低音で響く声と切れ長の目、正確と反比例するように整いすぎた顔が良いせいでクール系と学校では評され、私は仲介を頼まれ、それで義兄には睨まれ、うまくいかなかった女共から何故か私が恨まれる始末。
義兄がモテすぎてツラい。ストレスで。
痛むお腹を押さえながら、私は義兄の部屋の前を通り過ぎる。
(ああ……早くプレの配信を見て癒されたい……)
義兄が部屋で何をしているかは知らない。だが、義兄は孤独な義兄タイムを何よりも愛しており、その時間は睨まれ私は勿論のこと、両親も猫のミイも近寄ってはならない。
(まあ、興味もないけど。私が興味あるのは……)
私は自分の部屋に飛び込むなりパソコンを起動し、すぐさまY○UTUBEさんを開く。そして、『彼』の配信を待ち構える。
『みんな、おつプレ。じゃあ、配信始めよっか』
銀髪の美しいお顔のVTuberがいつものイケボで開始挨拶を耳に注ぎ込んでくれる。
プレアデスという名の男性みんなの兄系VTuberであり、私の推し。声が良い以上に、性格が良すぎ。義兄に爪の垢でも煎じずに生で飲ませたいレベル。
「やはり、メンシ入るべきか?」
メンバーシップに入るべきか私は悩んでいた。正直、高校生でバイトもしてない私にとって毎月の出費はツラい。だから、普通の配信で我慢していた。
のだが。
「え? メンシギフトが私に……?」
記念日配信で他のリスナーが出してくれたメンシギフト、ランダム配布のそれが私のところに来たのだ。一ヶ月限定ではあるがメン限配信が見られると喜んだ私。
だが、私は現実を見ることになる。
『俺の妹が本当に最高にかわいくて』
プレに妹がいた。そして、その妹が私っぽい。
限定配信だけ、妹の溺愛トークをかましていたのだが聞けば聞くほど、私っぽいのだ。
困った。
非常に困った。
義兄の配信を好んで見てしまっていた事もそうだが、何より義兄が私を本当は好きだけど素直に接することが出来ないと知ってしまった。
顔が熱い。
これから私はどうなってしまうのか。
とりあえず、メンシに入った、という話。
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