麻雀編 東二局 手牌が、透けるトン!
なんか筆が乗ってきました。
割と行き当たりばったりで書いてますが、案外なんとかなるものですね
東二局1本場、あとのない俺に舞い込んできたのはかなりの勝負手だった。ドラの發の暗刻、索子多めの手牌。發、混一色、ドラドラドラ。鳴いて和了っても、さっきの負けを差し引いて十分にお釣りが来るくらいだ。
「リーチ。」
相変わらず読めない殺人鬼は、またも早めのリーチ。しかし……今回は俺も勝機がある。
「ポン。」
ポーカーフェイスが捨てた3索を、間髪入れずに鳴く。混一色どころか、緑一色、役満の聴牌だ。震えた手で牌を捨てる。頼む、通ってくれ……!
祈る俺に聞こえたのは、意外な方面からの声。
「カンっ!」
対面の女主人、まさかの大明槓だ。鳴いていない状況からのカン、百害あって一理なしの鳴きのはず。ナメているのか、出鱈目なのか。しかし、ドラをめくると……乗ってやがる。ドラ4だ。
「あー、気持ちいい!ウルトラスーパー、ジャックポット!」
女主人は勢いに任せて静脈注射を打ち込む。穴だらけの腕が、俺の将来を暗示させる。気分が悪い。薬のせいか?それとも、あの女主人……。俺は焦りを悟られないように、自分のツモ番を待つ。ポーカーフェイスが牌を捨て、俺のツモ番。引いたのは發。暗槓できるが、ここは捨てた方が安全だろう。俺が牌を捨て、骨の番だ。
「すまん、ちょっと考えさせてくれや」
骨の化け物は長考を始める。緊迫した空気が、卓を包む。頭蓋骨の奥、怪しげな瞳で転がすように牌を眺めていたが……
「パァン!!!!!!」
牌が弾け飛ぶ音が、静寂を破る。
「すまん、力んでチョンボしてもうたわ」
まあそういうこともある……役満が流れてしまったのは残念だが、勝負の土俵に3人も上がってる状況、確実にチョンボの罰符が入るのは、俺にとっても悪くない話だ。
しかし……
「3人とも役満張ってるとこ悪いな、堪忍やで〜」
(……3人とも、役満を張っている!?)
「ワシ、見えんねんな……手牌が透けるトン、なんちって!ワハハ!」
(確かに、役満に振り込んでしまうよりかは、チョンボの罰符の方がはるかに安い。何が見えているんだ、コイツは。)
「おいそこの骨!能力を使うのはズルいじゃないのさ!!」女主人が牌を投げつける。
「そういう自分だって、槓ドラ乗しとるやないかい!」あばら骨の隙間に牌が挟まる。
「これはパッシブ。意図的にやったんじゃありませーん!!!」今度は注射器を投げつける。
「ほな、ポーカーフェイスの方はどやねん!待ちが読めんで、兄ちゃん困っとったやろ!」挟まった牌が弾き出される。
「……うるさい。人のファッションに口を出すな。」それをジェイソンが見事にキャッチ。
(一体なんなんだ?コイツら……。)
「悪いな兄ちゃん、身内で盛り上がってもうて。ワシは未来が見える、ポーカーフェイスは絶対に読まれない、そしてこの薬物ババアは……最強の運を持ってるんや。
ごめんやけど、一般人じゃ勝たれへんで?」
(こんなの麻雀じゃない!勝てるわけがない!
……いや、待てよ?
この勝負、勝てるかもしれない。
「未来視」も、「絶対に読まれない待ち」も、「最強の運」も、「確定した未来」には敵わない。勝てる、勝てるぜこれは!あははははは!)
「……はは。ははははははははははは。あははははははははははははははは!」
俺は笑いが止まらなかった。3人まとめて血祭りに上げてやる。血とか流れてなさそうなヤツもいるけど、とにかく!
「あかん、兄ちゃんだいぶハイになってもうてるわ。」
はははははは。あーっはははははっ!あー可笑しいっ!!!!!ぎゃははははははははは!
主人公は勝てるの?負けるの?それとも薬で壊れる?
注目の第4話は、明日の朝投稿です!
気になる方は、ブクマをぜひ!
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