プロローグ 骨とヤク中と殺人鬼
この作品はフィクションです。
実在する人物、団体とは関係ありません。
日本国において賭博と薬物使用は、法律で禁止されています。真似しないようご注意ください。
「なんだよ、ここ……」
よくある転生ものの異世界とは違った、明らかにヤバそうな雰囲気。街には人っ子1人いない。俺は情報を集めるため、通りの角にあったバーに入った……
「……ごめんください」
一瞬で入ったことを後悔した。「13日の金曜日」に出てくる、ジェイソンのマスクみたいなのを被った大男と、骨の化け物が1人。テーブルを囲んでトランプをしていた。
「お客さん、見ない顔だね。東洋人かい?」
バーの女主人が話しかけてくる。
東洋人……まあ間違ってはいないか。
「ええ、そうですけど……
この街……いったいどこなんですか?」
「答えてやらんこともないけど……お客さん、金は持ってるかい?
金のないやつに話すことは何もないし、出す酒もないよ!」
女主人は強気な態度に出る。もちろん、この世界に迷い込んで1日目、金など持ってるはずもない。でも、ここで引き下がってはダメだ。なんとか情報を引き出さないと。
「もちろん、持ってますよ
なにか、一杯もらえますか?」
バーに腰かける。情報を聞き出したあとは、適当にトンズラしてやろう。
「ほい、赤ポーション」
出てきたのは、明らかに飲み物じゃない色をした瓶詰めの薬。飲むのが怖かったので、手をつけるのはやめておこう。
「ここは、A15ストリート。
他の通りに比べたら、まだ活気があった方なんだけど……もうここもしまいかねえ
国が腐ってるから、街も腐るしかないのさ」
そう言いながら女主人は腕に注射器を刺す。明らかに見たらマズいもの、身を逸らしながらちらちらと見ていた。
「お客さんの国にはないのかい?これ」
女主人は使い終わった注射器を俺に見せる。
「やくそうで作ったエーテルだよ。金があるなら、1本譲ってやってもいいよ?」
元の世界の基準で言えば、注射器で入れるタイプのクスリは、クスリの中でもヤバめなクスリだ。俺は、出口の方を確認した。
「兄ちゃん、暇なら俺らと遊んでかへんか?」
骨の化け物が話しかけてくる。
「勝ったら、今日のお代は全部奢ったるわ」
ちらっちらっと、こちらの顔を覗いてくる。……俺の考えは、見透かされてるといって差し支えないだろう。俺は、勝負に乗るしかなかった。
「おっ、お客さん、かっこいいー!
私も、混ぜてもらおうかな」
女主人がカウンターから身を乗り出す。
「ほら、ちょうどここに……東方から来たボードゲームがある
ルールは知ってるだろ?」
そう言って出てきたのは、よく知っている麻雀牌だ。
……勝った。麻雀でなら、ヤク中や骨の化け物やジェイソンにも、余裕で勝てるだろう。
前の世界で、俺が唯一誇れたもの……それがギャンブルの腕だった。
「……もちろん知ってますよ、はは」
俺は2人がいたテーブルに座ると、瓶詰めのクスリを勢いよく明け、飲み干した。
……まっず。
初投稿、拙著失礼しました!
魔法×薬物の世界、1度書いて見たかったんですよね!
2話目も同時投稿しましたので、あわせてお楽しみください!
感想・ブクマ、お待ちしております!