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【完結】祓魔師《エクソシスト》は休みたい  作者: うどん


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44/134

044:俺は、祓魔師だ

 遺跡内にある無数の柱。

 巨大なそれの一つの上に駆け上がり。

 先に待っていた仲間たちと合流した。


 クラーラは盛大に舌を鳴らし、ゾーヤは真顔でボブを見つめる。

 ボブはへらへらとしながら片手を上げる。


「どもっす。皆さん、お元気そうでぇ」

「黙れ。口が臭いんだよ」

「……生きてたんだ」

「うへぇ、きびしぃ……で、これから何するんですか? 俺は何も知らねぇですよ」

《いえ、知っているでしょう。少なくとも、此処にいる誰よりも貴方は此処を知っている》


 俺は目を細めながらボブを見つめる。

 奴はへらへらと笑いながら何も知らないとしらを切る。

 こいつの悪い癖であり、こういう時は碌な事を考えていない。

 緊急事態であり、駆け引きをしている暇は無いというのにだ……俺は指先に火を灯す。


 奴はにやりと笑って、俺が作った“薬筒”を箱から出す。

 そうして、それに火をつけてから静かに吸っていた。


「……お前……まだ、それ吸ってるの? 馬鹿なの?」

「あぁぁ……え? 心配してくれてんすか? へへへ、でもぉ悪いんですけどアンタは趣味じゃねんでぇ」

「――死ね」


 クラーラは秒で槍を作り出す。

 そうして、それでボブに攻撃をした。

 ボブはそれを紙一重で避ける。

 クラーラは怒り心頭と言った顔で連続攻撃を仕掛けた。

 ボブは薬を吸いながら、柳のようにクラーラの攻撃を受け流す。


《やめなさい》

「……はぁい」

「ああぁぁぁ……で、此処の情報っすよね……つっても、本当にそこまで詳しくはねぇですよ? 悪魔たちは遺跡には絶対に触れずに、此処に来た奴らを薬で操って働かしてるんすよ。何て言ってたかなぁ……確か、“封印された何か”を解き放つとかって言ってましたよぉ……その為に、石板とかが必要とかで……後は、可能な限り、遺跡を露出させて……まぁそんなとこっすね」

「ダーリン、私たちも悪魔からその情報を手に入れたよ……でも、肝心の何かについてはその悪魔も聞かされていなかったみたい。でも、必要になる贄は相当な量になるって言ってた」

「あまり時間は無い。儀式の規模によっては此処を超える。国全体に影響が出れば危険」


 三人の情報を聞く。

 そうして、俺はそれならば話は早いと思った。


《遺跡が完全に掘り起こされていないのであれば、好機は今しか無いでしょう。儀式の準備が整えられれば、犠牲者は我々の想像を遥かに超える。であれば、速やかに元凶を排除し――儀式を防げばいい》


 俺は手短に説明する。

 俺とゾーヤが先陣を切り。

 サーチをした範囲で、最も力のある悪魔を殺しに向かう。

 控えているボブとクラーラが此処から状況を探り、儀式を行うであろう悪魔を発見し殺しに向かう。

 可能であれば、儀式を行う為に必要なものを奪うが。

 無理であれば破壊しても構わない。


 一瞬であり、時間を掛ければこちらが不利になる。

 俺はそう判断し、Kに視線を向けた。


《案内ありがとうございました。貴方は此処までです》

「……っ。そうですね……此処から先は、貴方方の邪魔にしかなりませんね……後は任せました。どうか、ニンドゥを頼みます」


 仲間たちは静かに頷く。

 そうして、俺たちは柱の上を歩いていく。

 此処でサーチを行えば、十中八九が敵の親玉には勘付かれるだろう。

 敵が俺たちを認識すれば、奴らはすぐに儀式を始める。

 が、儀式を開始してから数分は術は発動しない。

 

「……ま、“三倍”ってとこっすかねぇ」

「スピード重視だから……あれかな」


 ボブが肩を鳴らして呟く。

 クラーラは変装を解き顎に指を添えて何になるべきかを考えた。

 ゾーヤの愛刀を異空間から取り出し、彼女に返却する。

 ゾーヤはそれを腰に差してから、静かに前を見つめる。


 俺は変装用の魔術を解く。

 すると、俺とゾーヤの顔は元に戻った。

 

 俺は異空間からまた別の聖刃を取り出す。

 銀製のリングがついたグローブであり、それを嵌めて感触を確かめて……さぁ仕事だ。


《では、健闘を――行きます》


 俺は魔力を解放し、サーチを開始する。

 一気に周囲に俺の魔力センサーが広がり――“いた”。


 最も強力な魔力を有する存在。

 俺はそれを発見し――柱を蹴る。


 宙を翔ければ、後方からゾーヤも追って来る。

 俺たちはそのまま地面に着地し。

 此方に気づいた様子も無い悪魔共を――“切断する”。


 グローブから伸びた魔力の糸。

 それらが呆けている悪魔共の体に食い込み、バラバラにする。

 俺はそのまま糸を回収し――駆けた。


 遅れて、強大な魔力反応の主が動き出す。

 他にも魔力反応があり、それらは儀式を行う悪魔たちであると分かる。

 後方で待機していたボブが凄まじい勢いで移動を開始した。

 クラーラの方も気配が無数に分裂し、移動を始めている。

 俺はそのまま入り組んだ通路をノンストップで進んでいく。

 そうして、すれ違いざまに悪魔共の体をバラバラにしていく。


 殺して、殺して、殺して、殺して――殺気を感じた。


 気配を完全に殺し、迫った悪魔たち。

 かなりの手練れであり、今この瞬間にも武器を振り下ろそうとしている。

 が、敵は武器を振り下ろす前に――“消滅する”。


 ゾーヤが風と共に駆け抜けた。

 そうして、音も無く悪魔共を両断した。

 死体は蒸気を発しながら消えていく。

 ゾーヤは眉一つ動かす事無く、迫り来る敵へと向かい――全てを屠る。


 一瞬の拮抗も無い。

 全てが一瞬であり、死体すらも残りはしない。

 ゾーヤは流れるように手練れの悪魔共を機械のように殺していく。

 俺はそれを見る事無く全力で駆けて――扉を破壊する。


「――ッ!」

 

 そのまま中へと入れば、人間の姿に擬態したままの悪魔がいた。

 謁見の間のような空間で、朽ち果てた玉座がある。

 奴は擬態を解こうとして――足に力を込める。


 筋肉が肥大化し、魔力の強化によって脚力が跳ね上がる。

 地面を強く蹴れば、悪魔の背後に立っていた。

 俺はそのまま両手を動かし――悪魔の体を引き裂く。


 悲鳴を上げる間もない。

 悪魔は体を細切れにして、そのままぼとぼとと肉片を散らばせる。

 蒸気が発せられていて、俺はそれを一瞥する。


 こいつがこの中で最も力のある魔物だった。

 擬態化を解かれていれば厄介だったかもしれない。

 が、そうする前に仕留める事が出来た。


 ゾーヤは遅れて部屋に入る。

 俺の前に立ちながら周囲を警戒し――――




「あぁ、やっぱり――“そうなるよねぇ”?」

「「――!!」」




 少年の声が響く。

 俺たちはすぐに動き――体に鎖が絡みつく。


 歪んだ空間から伸びた鎖。

 普通の鎖ではない。

 鎖そのものは黒く穢れに満ちていて。

 血管のように赤い何かが脈動していた。


 俺は鎖を破壊しようとする。

 が、俺が力を加えれば鎖の拘束は更に強まる……これは?


「ははは、無理無理。少なくとも、一瞬では破壊できないでしょう。だって、それぇ……お前に“特化”したものなんだからねぇ?」

《……何?》


 ゾーヤの方に視線を向ける。

 すると、ゾーヤの拘束はあっさりと解かれた。

 彼女はすぐに動き出し、黒い靄を放つ悪魔の元へ行き――弾かれる。


 凄まじい勢いで、彼女の体が吹き飛ばされた。

 そのまま彼女は壁に当たり、瓦礫と共に地面に転がる。

 彼女はすぐに瓦礫を吹き飛ばしまた向かっていった。

 が、悪魔はけらけらと笑いながら何かを召喚する。

 それは魔物であり、ボロを纏った白髪の老婆のような姿をした何かで――カッと目を見開く。


「――っ!!」


 ゾーヤの動きが止まる。

 老婆の目には魔力が集中していて、何かの魔術を発動させていた。

 それが彼女の動きを止めており――悪魔は歩き出す。


「音無のゾーヤ。お前も中々に厄介な存在ではあるけど、今回はお前には用は無いんだ。大人しくそこで見ていなよ」

「……ッ!!」


 ゾーヤの筋肉が肥大化する。

 全身の筋肉を動かしているようだが。

 それでも彼女の体は動かない。

 悪魔はそんなゾーヤを無視して、ゆっくりと俺の前に立つ。

 俺は今この瞬間にも、この鎖の術式を分析していた……三分か。


《貴方方の目的は何ですか? 私対策などをして、本当は》

「――あぁ、そういうのは止めな? バレバレだからさ」


 悪魔は俺の狙いを分かっていた。

 そうして、俺の心臓の部分に触れて――奴の術式が俺の体を浸蝕していく。


「――ッ!!」

「はい、これでぇ――完了っと!」


 奴は笑う。

 奴が行った事はすぐに理解した。

 瞬間、クラーラたちが殺した悪魔たちの反応が――“蘇る”。


「ちょっと、借りたよぉ――“お前の刻印”」

《――最初から、私を儀式に組み込む事が目的だったという事ですか》

「そ!! 質の低い人間を大量に用意するよりも、最上級の人間を使った方が儀式の成功率も高い上からねぇ……感謝感謝ってやつだねぇ」


 そんな事を話している間にも儀式は進む。

 クラーラたちが悪魔の抹殺を試みているが、即時悪魔が蘇っている。

 俺の魔力を使用し、俺の刻印まで使っていやがる。

 俺は鎖を分析し――出来た。


 魔力を変質させて、鎖と同調させる。

 瞬間、鎖の拘束が緩み――破壊する。


 俺は手を動かして、目の前の悪魔を――バラバラにする。


 呼吸する間もなく、魔力の糸で切断した。

 悪魔は断末魔を上げる事も無く転がり――笑い声が聞こえた。


「はははは! だぁかぁらぁ……もう終わったって言ったよね?」

「――ッ!!!!」


 瞬間、俺の体から凄まじい勢いで魔力が吸い取られて行く。

 俺はその場に膝をつき、呼吸を荒くする。

 回復が間に合わなくなると思えるほどの速さで魔力が吸われて行く。

 何とかふんばり吸い取られないようにしようとしても――抗えない。


 此方の抵抗力が負けている。

 それほどに強力な術であり――“これは何だ”?


 万人ではない。それ以上の数の人間を必要とするほどの魔力量。

 それでも尚、吸い上げるスピードが衰えない。

 何が、これほどの魔力を必要とする。

 ここまでの量が無ければ解けない封印とは何か。


《ゾーヤッ!!》

「――っ!!」


 俺は叫ぶ。

 そうして、震える手を動かして魔力の糸を形成し――魔物を殺す。


 老婆の姿をした魔物は絶叫し。

 肉片となって消えて、自由になったゾーヤが動き出す。

 彼女は躊躇う事無く、その刀で――“俺を斬る”。


 不死をも殺し、再生すら出来なくさせる術。

 彼女の剣技が合わさったそれで俺は――殺された。


「――はは!! いかれてるねぇ!! まさか、自分を殺させるなんてさぁ!!」


 俺は地面に転がる。

 瞬間、俺の魔力の回復は止まる。

 そうして、俺の魔力は底を尽き――――…………




 …………――――意識が戻る。


 俺はすぐに立ち上がった。

 周囲を警戒すれば……奴がいない。


 近くには仲間たちが立っていた。

 ゾーヤにクラーラに、ボブもいる。

 奴らは俺を見ていない。

 ただ天井の存在しないそこから、空を見上げていた。


 俺も空を見る。

 そうして、こいつらが固まっていた理由が分かった――“死”だ。


 月が覆い隠され、そこには暗く深い闇の穴が出来ていた。

 そこから瘴気が噴き出して、悪魔たちが出てきている。

 いや、悪魔だけじゃない。魔物も、悪霊も――全てだ。


 悪意ある者たち、死をまき散らす存在たち。

 世界を終わらせようとする者たちが――顕現していた。


 ゆっくり、ゆっくりとそれらを押し出し何かが這い出す。

 巨大な手であり、肉が腐り骨がむき出しになっていた。

 それが強引に穴を広げて、顔を出し――視線が合う。


 人のような顔。

 しかし、それは決して人間ではない。

 口は大きく裂けて、目は四つある。

 その全ての目が、とてつもない魔力の塊で出来ていた。

 吐き出す吐息が、空を飛ぶ鳥や魔物を腐らせて灰にしてしまう。


 死を振りまき、全ての命を終わらせる。

 アレは悪魔でも無ければ、神でもない。

 

 

 アレは死だ。死そのもので――俺は大きくため息を吐く。


 

「やっぱり、こうなるのかぁ……はぁ、たく、ムカつくなぁぁ」

「――っ! ダーリン、声が……?」

「え、話せたんすか?」

「……違う。これは話せたというよりも……?」


 

 頭を乱暴に掻き、舌を鳴らす。

 

 仲間たちは俺が話した事に戸惑う。

 が、そんな事を説明ている暇はない。

 俺は指を鳴らして――結界を展開する。


 大規模な結界であり、それも複数展開する。

 他の国々へと行かせない為の結界。

 そして、ニンドゥ領地内にいる人間たちを守る為の結界だ。

 三人はそれに目を丸くして驚いていた……さて。


 俺は異空間を展開し、自らの装いを変える。

 黒衣であり、馬鹿みたいだと思っている戦闘服だ。

 眼鏡を外し、髪色を元に戻して完全に仕事モードに切り替える。

 そして、己が装備している聖刃も変えた。

 

 二振りの短剣――銀色の輝きを放つそれらだ。

 

 何の意匠も無く、飾り気も無いシンプルな短剣だ。

 ただ斬る事のみを追求し、ただ戦う為だけの道具。


 

 ――まぁ、こいつ以外にアレを満足させられるものはねぇな。


 

 俺は静かに笑う。

 そうして、己の――“枷を解く”。


 

「「「――――ッ!!!!」」」


 

 体から魔力が噴き出す。

 それらが周囲に影響を及ぼして地面や壁に亀裂が走る。

 内包していた力がスパーク音を奏でて、俺の体が蒸気を発していた。

 心臓が激しく鼓動し、体の中の血液が駆け巡っていく。

 熱い、体が焼けるように熱く――力が溢れていく。


「「「――っ」」」

 

 三人は体をよろつかせて苦しそうにしていた。

 俺は死を見つめながら、ゆっくりと歩き出す。


 

「じゃ、雑魚は任せたから――“よろしく”」


 

 俺はそう言って――飛ぶ。


 

 光を超えるほどの速さで空を駆ける。

 一気に遥か高みにいる化け物どもへと接近する。

 奴らは不快な声を響かせながら、此方に向かってきていた。

 俺は向かってきている化け物どもを――蹴散らした。

 

 攻撃をする事も無く、ただ通過しただけだ。

 魔力の層と俺から溢れ出る力によって、それらが消し飛んだ。

 俺はそのまま剣を振り――死に攻撃をした。


 巨大な魔力の斬撃が飛翔し、奴の掌とぶつかる。

 甲高い音が鳴り響き、魔力と瘴気が激しく飛び散る。

 空を覆い隠すほどの瘴気が一気に晴れて、眩いばかりの蒼い光が空に広がった。

 それらが無数の線となり、触れた魔物たちが蒸発していく。

 空間が激しく振動し、地球そのものが揺れ動いていた。

 

 俺は笑みを深めながら、剣を光速で振るう。


 無数の斬撃が発生し、それらが死を切り裂く。

 奴の朽ちかけた肉体が崩壊し、瘴気と共に体の残骸が舞い――奴の目が光る。


「――お?」


 瞬間、俺の体は一気に弾き飛ばされた。


 目に見えない力によってぐんぐんと地上へと押し飛ばされる。

 そのまま一気に海面へとぶち当たった。

 それでも衝撃は殺せず。

 俺は深海へと引きずり込まれて行って――暗黒が降り注いだ。


 瘴気の塊が海へと降り。

 そのまま俺の肉体を腐らせ果てさせようとしてきた。

 海を泳いでいた魚たちは消えてなくなり、海に存在する生き物たちが消えていき――魔力を放つ。


 体から発せられた青い光。

 それらが死を弾き飛ばし、朽ちた命たちを蘇らせる。

 姿は消え、魂すらも果てた存在たちが――“元に戻る”。


 俺はそのまま瘴気を押し返し。

 俺自身も再び奴の元へと戻っていく。

 

 水しぶきをあげて海面から勢いよく飛び出す。

 蒼い光となり、俺は空に軌跡を描く。

 俺は双剣を構えながら、刻印を起動し――魔術を発動する。


 

 

「――穢れ無き光ヴァイス・アウレオーレ



 

 刀身が白き輝きを放つ。

 それらを見た化け物どもは体を焼かれ灰となって朽ちていく。

 俺はそのまま剣を振るって、死へと特大の斬撃を放つ。

 奴は片手を突き出し俺の攻撃を防ごうとし――“手が激しく燃えた”。


「――――ッ!!!!!!!」

「それなりに効くみてぇだなぁ」


 奴は俺の斬撃を砕く。

 が、手はボロボロであり再生が間に合っていない。

 

 奴は魔力の瞳を激しく動かし。

 大きく口を開いてきた。

 ブレスのように瘴気を一気に吐き出し、全ての光を呑み込んでいく。

 世界を闇に染めて、全ての命を終わらせようとして――馬鹿が。


 俺は宙を舞う。

 そうして、自らの魔力を周囲に解き放つ。

 蒼い光が瘴気を払い、悪魔共を消滅させていく。

 双剣を振るえば、白き光が広がって闇の浸蝕を防いでいく。

 まるで羽のように魔力を放てば、見ようによっては天使にも見えちまうかもしれない……やだねぇ。


「血濡れの天使か……一体、“どいつ”が広めたんだか」


 死は叫ぶ。

 そうして、またしても無理矢理に穴を広げて這い出してきた。

 俺はそれを一瞥し、地上に視線を向ける……全てはカバーしきれねぇからな。


 結界によって市民たちは守れるが。

 時間を掛ければ、何れは結界も破られる。

 頼みの綱は、地上にいるケーニヒたちで。

 奴らであれば、数だけの化け物どもに後れを取る事は無い。


 無数の化け物どもの襲撃――“スタンピード”を思い出す。


 あの日の戦場は今でも記憶にある。

 地獄であり、無数の屍が転がって――が、今は違う。


 俺は一人じゃねぇ。

 アイツらは人格破綻者ではあるが――“実力は本物だ”。


 誰も信じず、一匹狼を気取る事はもうしねぇ。

 失敗は二度も味わうもんじゃねぇからよ……だから。


 

「とっとと、あの世に帰ってもらうぜ――クソ野郎」

「――――ッ!!!!!」


 

 瘴気が叫ぶ。

 周りの化け物どもはそれに触発されて襲い来る。

 奴はゆっくりと姿を変えている。

 何かあり、こんなもんじゃねぇだろうが――“問題ない”。


 一度受けた仕事は果たす。

 俺に逃走という選択肢は無い。

 全ての罪を背負い、全ての敵を殺し尽くす――それが俺だ。


 

 

「――俺は、祓魔師(エクソシスト)だ」


 


 俺は空を翔ける。

 白き輝きを放ち、全ての悪魔を滅ぼしていく。

 灰が舞い散り、瘴気を晴らして――俺は天を舞った。

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