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帰宅

 陽が傾きかけている。賑やかな街を後にして、山の中腹の静かな別館へと帰る。

「たっだいま〜」

 そう言いながら窓を開けて部屋に入る。階段を降りるよりずっと早いし景色もいいので空を飛んでいる。

「お帰りなさいませ」

 メイドさんが持っていたポットを置いてお辞儀をしてくれた。良い香りが漂ってくる。紅茶、かな?

「………あっ、そうだ。着替えてこないと」

 今私は元からあったもの、つまり借り物なので汚すのは極力避けたい。メイドさんに迷惑かけたくないし。

「お手伝いは必要ですか?」

「………いや、大丈夫。なくていい」

「わかりました。お茶を用意しておりますので、是非」

 気をつけないといけないのは背中のボタンだけだった筈。鏡を見つつやればきっと大丈夫。


「………最後はここを、こうして…こう。よし、全部外せた」

 最後の背中ボタンを外して服を脱ぐ。髪を集めるのに苦労しただけで、そこまで悪戦苦闘はしなかった。

 慣れない服の重みから解放された体を伸ばす。周りに目を配ったりしていたせいもあって大分疲れた。

「こういうのにも、慣れていかないと、かなぁ………」

 王様に呼ばれた時とか、何を着ていけばいいんだろうか。やっぱり、ドレスとかなのかな。

「………ま、今はいっか。今日はこれにしよっと」

 ダボっとした裾の長いワンピースを着る。軽くて柔らかい。上からいつもの長いカーディガンを着て部屋に戻る。


「どうぞ。熱いかもしれませんのでご注意を。焼菓子もありますので、良かったら」

「うん。………あ、おいしい。ありがと」

「お褒めに預かり光栄です」

 紅茶はいい感じに温まって香りもしっかりわかった。焼菓子はマドレーヌとかパウンドケーキ、クッキーもあった。バターの味が濃くておいしい。そういえば、()って猫舌なのかな。前世は猫舌だったけど。

「残りはどういたしましょうか」

「………あ、置いといて貰って………」

「わかりました。何かございましたら是非お呼び下さい」


「………さてと、本の続き読もっかな……それより、魔法の練習でもする?」

 アポを齧りつつ庭に降りる。魔法書店での反省を踏まえて、やりたい事は決まっている。

「気配を、消す魔法………これかな?【サイン・デリート】」

 両手の間に浮かんでいた光の球が瞬いて消えた。特に体感での変化はない。

「成功してるのかな、これ………【キャンセル】」

 光の球が強く瞬いた。部屋に戻ろうとカーテンをどけると、いつのまにかメイドさんが来ていた。

「何かございましたか?」

「………?………い、いや………?」

「そうでしたか。失礼いたしました」

 話の展開が全くわかっていない私を置いて、それだけ言ってメイドさんは出て行ってしまった。

「よくわからないけど、成功した、ってこと………?」

 私が出て行った時から無言であそこに立っていたとは考えにくいから、原因はそれしかないだろう。

「使っちゃいけなかったのかな………」

 私の魔力がなくなると困る事があるのだろうか。………居場所がわからなくなるかもしれないからかな?

「どうやってわかったんだろう………」

 魔力を検知する機械でもあるんだろうか。探知魔法………は

「あれ使ってると目が痛くなってくるんだよなぁ………」

「………まあ、いいか。次来たら何か言えば良い話だし」


「【アペアランス・ライト】」

「【コンプレッション】」

 光の球が周囲から魔力を吸いながら小さくなっていく。吸い込まれていく魔力が半透明の筋を描いて半時計回りに回っているのが銀河の写真を見ているかのような気分にさせる。

「固体にするところまでは行きたいな」

 光の球はもう握り拳よりも小さくなっている。白く発光した表面からシャボン玉のようにチラチラと色が見える。

「………できた」

 手の中には、眩く白光を放つピンポン玉より少し小さいくらいの球。冷たくないガラスみたいな触り心地。

「光魔法で作ったから、めっちゃ眩しい………光量下げられないかな………【モディフィケイション】」

 ボールを親指と人差し指で摘み、ぎゅっ、と力を込めてみる。

「おお………」

 すると、まるで粘土かのようにグニュっとボールが形を変えた。頭の中でさっきの綺麗なボールを思い浮かべると、すぐに元通りになった。全体の質量は変わらないっぽい。手先の不器用な人にも優しい魔法。

「どういう形にしよっかな〜………あっ、あれとかいいかも!」

【サイン・デリート】

気配を消す魔法。ではなく、自分の魔力が他人から見えなくなる魔法。

他人のは普通に見えるし魔法も使えるが、使う魔法の種類によっては隠蔽の力が弱まってしまう。

というか広範囲系の魔法使ったりすると隠蔽以前にバレる。

【サイン・ディテクション】

探知系の魔法。魔力を見れる。範囲系なので障害物貫通。範囲は使った魔力に応じて広くなる。

魔力との親密度ゲフンゲフン魔法の扱いに慣れる程に応用が効くようになり、情報のカットができるようになる。

主人公が使えないのは自分の魔力がでかすぎるから。懐中電灯顔の下にセットして天体観測するようなもん。


全く関係ない話ではありますが、この世界の言語は英語でも日本語でもありません。

主人公は神様パワーでそこら辺を揃えてもらっています。………じゃあ、なんで魔法は英語読みなんでしょうね?

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