表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
8/8

川柳は生気を奪う

「......だそうだ。一同はどう思う?」

大鷲たちは長いテーブルの上に手を乗せ、なにやら、話し合っていた。


「そんな”情報”を持っているってことは情報屋と琳はどこかで会ったってことか......ちゃんと、裏は取ったの......?」

両目に黒い眼帯を付け、口に一つだけピアスを刺している、全身黒色を纏った男がそう言った。


「知っているということはそうだろうな。ただ、証明などは、要らない。俺は人心掌握が得意だからな。ふ、あいつは従順なペットだよ」

大鷲はその言葉に続きを加える。


「大鷲さんよ。その四人ってのは......強いのかい!?」

銀髪という派手な色のモヒカンをし、黒のタンクトップを着た男が室内を貫かんとする大声を放つ。


「強い......が、まぁ......君たちの相手ではないだろう。それよりも、お前は、ちゃんと服を着ろ」


(オトコ)なら、タンクトップ!!!」


「もう、意味分からへんわ。あ、うちとしては、戦うのは構へんのですけど、準備は進めてはるんです? もちろん、大鷲さんのことなんで、信頼はしとんですが」

暗めの赤髪にサングラスを合わせる関西弁の男は、サングラスをクイッと元の位置に戻した。


「準備は出来てるが、万が一もある。ああ、その時は頼んだよ。『ボトル社』”最高戦力”」

大鷲が見た方向には、ただならぬ圧力を持つ男がいた。


濃い緑色の髪に、茶色の羽毛コート、そしてなにより......極限状態まで練り込まれた殺気は、琳にも劣らないものがある。

「万が一? 全て殺しゃ、良いだけだろ」

ただ、冷酷に、冷徹に、冷血に、そう告げた......


「先手は打ってある。様子見だがな」


------一方、琳たちは四人で道を歩いていた。

家に襲撃がかかると、嫌なので、散歩しているのだ。

琳は毎回、分かれ道のところで左右を確認している。


「ここ、やけに人が少ない......『ボトル社』の影響か......そういや、最近、外が暑くなってきたな......これ『ボトル社』の影響だな」


「それは、八つ当たりし過ぎっすよ......!」

大倉(だいそう)が、すかさず、言った。


「なに言ってる? 地球温暖化と少子高齢化と、世界中の怒りが減ってるのは、全部『ボトル社』のせいだぞ?」


「重い重い!!! 一つの組織の行動が地球規模になってるじゃないっすか。あと、最後のは、良いやつっす」


「オレたちの寝床が未だに外なのは、『ボトル社』のせいだったのか......!」


「それは普通に、あんたらが家をぶっ壊しそうだからよ」

前の家事の時の光景が目に浮かぶ。

ゴキブリに狙撃し、Tシャツを爆散させた、あの時のだ。


「あんなの気のせいだ、多分、夢とかだろうなぁ」

「どこがだよ」


「いやぁ、それは......」


(ん......? さっきから、視線を感じる......バレバレだな)

琳がなにかに気づいた、その時、草むらからカサカサと音が鳴った。


「地獄谷 琳と、そのオマケだな?」

現れたのは、日本刀を持った男。

ボサボサの茶髪に黄色の袴。


「なんだー。『ボトル社』か?」


「オマケじゃねぇ!」

有賀原は、その部分だけ、猛反対した。


「地獄谷〜辻斬りですよ〜ボトル社のね〜。五七五、字余り」


「あ、合ってんだ」


「なんか変なこと言ってるぞ。こいつ」

「琳よりやべえっすね」


「なんかね。辻斬りとか、殺し屋とか、人を殺す人間って色々と狂うらしいわよ」

隷裏荒は、淡々とそう言った。


「モノノケを斬った感触は、なにに似ているだろうか」

柳生は手前にいる有賀原を日本刀で斬りつけようとした。


(なっ、見えねぇ......これは......死っ......!)

有賀原は回避出来ない。


「黙って来やがった......大抵、漫画じゃ、攻撃の時に声出すのによ」

と文句を吐きつつも、琳が刀の側面を殴って、攻撃を中断する。


「素晴らしい、我が太刀に対処するか。流石、三年前の怪物と言ったところだろう」


「嫌味かー?」

琳が踏み込みを入れ、辻斬りに拳を放つ。


「ならば、これはどうだ」

その拳より速い、柳生の日本刀での突き。

琳は打撃を中断し、突きを外す。


(予備動作を極限まで削ぎ落としている。俺が止めなかったら、有賀原と大倉は斬られてたか......やっぱ、俺って優しいなー!!!)

この状況で琳は、冷静に分析する。


「お前、辻斬りの柳生だろ?」


「我の名を知っていると? だが、辻斬りとしては、()いるべきか」


「刑務所の新聞情報、()めんなよ。あとさー、ちょっと停戦しよう。別に俺ら、『ボトル社』に攻め入るわけじゃないんだよ?」


「嘘をつけ。いや、ついているか。二三日に攻め入る気だろう?」


(なんで、知ってる? 情報が漏れた......? まさか......)

琳は、更に脳を働かせる。


その時、柳生が斬撃を繰り出す。


(考えてる暇は......ねーな)

「日本刀には、日本刀だよなーーー!!!!!」

琳は召喚した双刀(そうとう)を手の中に収める。

そして、両刀を交差し、斬撃を防ぐ。


間に、琳は短刀で攻撃した。

反応し、柳生は刀を縦にして、防御する。

しかし、なぜか金属の衝突音が二つ鳴る。


(小さいのに、なんて威力!!!)

その威力は構えていた刀でも、弾かれるほど。


(鎖引きちぎるぐらいの腕力あるし......そりゃあ、吹っ飛ばされるよな)


「受けてみろー!」

ついでにと言わんばかりに、長刀を振るった。

その軌道上に、衝撃波が発生する。


(なんだこれは......こんなの、日本刀じゃないいいいい!!!)

必死な形相で柳生は(かわ)す。


(あれは無理だ。受けたら、死ぬもん......)

大倉は、琳の一撃が廃ビルを真っ二つにした光景を思い浮かべる。


「はあ......はあ......中々やるようだが、俺には奥義がある!!!」


(あ〜、これはダメね。なんか、アリちゃんとダイちゃんと同じ香りがするもの)


「子供の頃は、よく使ってたわ、それ」


児戯(じぎ)と同じにするとは、無礼な! 行くぞ!!!」

まず、柳生は刀を水平に保ち。

次、地面にヒビが入るほどの重心移動を行い。

最後、集中を研ぎ澄ます。


「これが、完成された剣技だ。とくと見るがいい!!!」


それらの行動を経て、放つは、刀の神速の突き出し!!!


その突きは、あともう少しで琳の皮膚に届こうとしていた。

「それさ、フェンシングじゃね?」

しかし、琳は刀を捨てると、右手を大きく広げ、柳生の顔に掌底(しょうてい)を与えた。


「た......し、かに......」

柳生は刀を下にして、倒れ込んだ。

その刀は鞘に収められている。


「おーすげー。こいつ、倒れる瞬間に、納刀してやがる」


「なんだったんだ。本当」

「俺たちってまだ、ありんこレベルなんだな......」

「褒める部分が絶対違うわね」


「あ、そうだ!!! 良いこと思いついたぞ!!!」


琳は柳生の首を掴み、その場から去る。

三人は琳に置いていかれぬよう、全力で走った。


そして、ある公園に着く。

また、なぜか、誰もいない。

あるのは、静寂(せいじゃく)だけだ。


「ここで、なにを......?」

大倉が息を切らしながら、()く。


「訓練だよ」


「訓練?」


「そう! 今のお前らは、ダメダメだ。な、の、で、一から鍛え上げようと考えた。そ、れ、で、特別講師の柳生君が来てくれましたー! あ、座学とかじゃないよ、実習訓練だから」


「マジすか......ま、琳よりかは、マシっすけど」


「えっ......私がやるんですか......!?」

気絶していた柳生は、ずっと起きていたのだ。

何気に、一人称が『我』から『私』にランクダウンしている。


「二人とも、悪く思うなよ。これは生き残るため......」

柳生は木刀を正面に構える。


「あ、柳生君。殺さない程度にやってねー。まー、そんな手加減される野郎はいないと思うけど」

琳は遠回しに二人を(あお)った。


「やる気が湧いてきたなぁ」

「言ってくれますね〜......!」


開始の合図はない。

突如、有賀原がおもちゃサイズの鎌を下げた状態で、柳生に飛びかかる。


「遅いっ」

しかし、振るった柳生の木刀が、有賀原の顔面に直撃する。

「ぐべぇっ!!!」


続いて、大倉の腹部に打突を放つ。

「がはぁっっっ!!!」


「無理ぃ......勝てねぇよ」

二人は有り得ないほど、ボッコボコにされていた。


「ふん、この程度か」


「ばーか、勝とうとするんじゃねー。まず、お前らは、単独で缶先と柳生レベルじゃねーんだ。前提が違う。だから、お前らのすべきことは、勝つことじゃなく、強くなることだ」


「こいつ、結構やばいっすよ? 缶先とは、別ベクトルの強さっす」


「今の俺は、柳生の攻撃が見えなかった......本当になれるのかよ?」


「なれる、なれないじゃねー。そうでもしないとお前らは、この世界で生きていけねーんだ」


「え......?」

大倉が困惑する。


「お前らが生き残れているのは、たまたま、自分たちより弱い奴にぶつかってきただけだ。自分が相手する人間は、どんな見た目、所作だろうと自分と同等か、それ以上の相手と思って挑め」

そう言う琳の目には、信念が宿っていた。


(あんな表情になる琳は初めて......怒りとは、また違う。あれは......哀しみ......?)

隷裏荒は、琳の瞳の中を覗いていた。


「つまりよぉ......強くなりゃ良いんだな!」

砂場から立ち上がった有賀原は、鎌を強く握る。


「強くなれたら、いいなー!!!」

琳は倒れ込む大倉を拾い上げると、有賀原に向けて、ぶん投げた。


すると、二人は頭を打ち、気絶した。


「一緒に倒れてやがる。こいつら、仲良いぞ」


「あはは......」

隷裏荒は作り笑いを出した。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ