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猫飼いの寝言

作者: 慎一

僕と彼女はただいま絶賛同棲中。猫好きの彼女のため、ペット可の物件に住んでいる。

今年7歳になる茶太郎は、彼女ラブの元気な茶トラの猫である。

仕事で疲れたのか、今日は彼女も早々と布団に潜り込んでしまった。

僕は少しネトゲをしてから寝ようと、スマホを触っていた。


「茶太郎、寝るの?」

「にゃ…」


欠伸をしながらお返事。

今までも猫ベッドで寝ていたけれど、彼女が寝たことに気づいたのだろう。茶太郎はいつも彼女と寝ている。

いそいそと彼女の寝ている所に近づき、入れろとばかりに布団を掻いた。

いつもなら寝ぼけまなこの彼女が布団を上げて中に入れてあげるところなのだけれど、生憎今日はすでに眠ってしまっている。


カリカリ…


寂しそうな音がする。


(しょうがないな。布団を捲ってあげるか)


と腰を上げかけたところに、


「うるさい!」


彼女の声が響いた。

驚いて目をやるが、彼女は眠っている。

茶太郎がこちらにやってきた。彼女を振り向きながら座ると、


「ひん…」


なんて悲しそうな声!!

猫ってこんな声で鳴くのか!!

あまりに悲しそうにしているので、僕は足を組んで座る。


「茶太郎、ここに来てもいいよ?」


と足をぽんぽん。

茶太郎は僕にちょっと視線を向けるが、やはり彼女がいいのか、再び彼女に近づいた。


カリカリ…


布団を搔く音が聞こえる。

なんて健気な…。


「ん…」


起きているのか寝ぼけているのか、それとも寝ていても条件反射で布団を上げているのか。

見ていてわからなかったけれど、茶太郎が嬉しそうにいそいそ布団の中に入って行ったのでいいかと思う。

その後聞こえてきたゴロゴロは、いつもよりも大きい気がした。



翌朝、彼女にそのことを話すと、


「ええ?! そんなことあったの?! 知らない!」


と。

その後、


「ごめんね茶太郎~!」


とお腹をモフリ倒していたのは言うまでもない。


お読みいただきありがとうございます。


実話がモデルとなっております。作者の妹の話です。

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