作戦開始
キャビンはトラックの出発準備を始めた。
大多数の人員が荷台に乗り終わった頃、いかつい装備の軍人から握手を求められた。
「護衛を承ったべグレイトだ。先程の阻塞魔法は見事だった。あれほどの使い手がいれば、私の魔法は不要だろうが、射撃の方で支援させてもらう」
「同じくスペレっす。お役に立つっす」
べグレイトと名乗った方は歴戦の風格が感じられる切れ目の軍人だった。
スペレの方は制服に着られている新人といった装いだ。
キャビンも握手に応じながら名乗る。
「輸送隊長のキャビンです。さっきのはウチの隊のパッドが組んだ呪符で発動したの!」
「パ、パッドと申しますぅ、お褒めにあずかり光栄です」
「さて、挨拶も済んだしさっさと出発しましょう。当初の作戦通り、2人はトラックの屋根に登ったら固定魔法をかけて落っこちないようにして。サハギンが近づいてきたら撃ち倒して。荷台にはドレージから川むこうの集積所でのへ行くが乗ってるし鉄橋は木片が散らばっているからスピードは出せないわ」
キャビンは端的に事情を説明して護衛2人の顔色をうかがう。
「構わない。数いても寄せ付けないさ」
べグレイトは自信あり気に答える。
「同じく任せるっす」
スペレも気合を入れて返事する。
大丈夫そうねとキャビンが安心すると、護衛の2人は屋根に乗り、うつ伏せになって準備した。
それを見てパッドが固定魔法をかける。
「お腹が固定されただけなので回転して弾薬箱から補充してください。弱めなので思い切り立ち上がった
ら解けます。気を付けてください」
パッドが説明をし終わると、さくっと助手席に乗り込む。
キャビンは運転席から振り向き、荷台の窓へ声をかける。
「それじゃ、出るわよ。結構揺れるからしっかり座っていて」
「「「おう」」」
キャビンは集積所の護衛に向かうドレージの隊員たちに声をかけるとトラックを発進させた。




