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ドレージ基地にて

 ドレージ基地に着くや、豪華な客室に案内されて、キャビン達はお茶をいただいていた。


 トラック満載の物資を降ろすのは立ち会おうとしたが基地長が呼んでいるのでと言われ、渋々荷降ろしを基地の人に任せて挨拶に向かうことにした。


「君たちが鉄橋を越えてきた輸送隊か。ご苦労だった。私はドレージ基地を預かっているフォアマンだ」

「補佐官のオルトナです。よろしくねー♡」

 華奢な二人だけではいかにも軍人ぽいシャキッとした細身のフォアマンと、軍人というより服屋さんが店の商品だから軍服を着ているといった感じの着崩したオルトナが、キャビン達の前にやってきて腰掛けた。


「まずは礼を言おう。物資もだが、君たちが来てくれて都市の活気が想像以上に上がった。特に塔のパフォーマンスは皆が声を上げていたな、希望が届いたと」

「あははー、お力になれたのならよかったです」

 キャビンは冷や汗をかきながら答えた。(何も考えてなかったなんて言えないわね)


「さて、外から見た現況をうかがったがその上で情報交換といこう。後続は困難なのだな」

 フォアマンは渋そうに唸る。


「行商人の復旧は渡河が難しいです。ただ、対岸に集積しているので、トラックで川を往復し続ければ輸送は可能です。開門が課題です。集積所も即席の土塁なのでこれ以上は耐久性も人員も割けないのです」

 人手がいなくなったらそっちがやられてしまう。


「であればドレージの兵を海側から陸側に一部移し、門の警護と荷降ろしに回したらどうだ。集積所にも一部送る」

「それであれば回りますが、よろしいのですか? 海側からのサハギン上陸の守備人員も万全ではないと思いますが」

「実はそちらは大分落ち着いてきている。落ち着いてきたからこそ、救援や支援物資やらが来ないまま町を完全に閉鎖していたとなれば、市壁を閉じた不安が暴走しかねん」

「ご懸念、理解しました」

 淡々と事務的に話が進み、お互いにホッとする。


 キャビンは、もっと無茶な話がでてくるかと内心はらはらしていたが、無難にまとまって助かったと胸をなでおろした。

「はーい。じゃあみんな一旦休憩ですよー♡」


 オルトナがタイミングを見計らってお茶のおかわりを淹れて回る。

 キャビンとフォアマンは細々とした調整を始め、パッドがメモを取りながら、軌道修正の進言をする。

 オルトナはニコニコと様子を見ながらお茶のおかわりを淹れてくれた。

 話が片付くと、フォアマンはふぅと息を吐いた。


「貴官の部下は優秀だな。若いのに周りがよく見えている。バンプールの流通はともかく、サハギンの性質などにもとても詳しい」

「あ、ありがとうございますぅ」

 キャビンも自慢げにニッコリと笑った。


 フォアマンは残りのお茶を飲み干して、はっきりと伝えた。

「これより、物資搬入作戦を開始する。委細よろしく頼む」

「了解しました」

 キャビンはフォアマンに差し出された手を力強く握った。

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