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山道

「そういえば、デバン達はどんな道で来たの?」

 サハギンや魚の引き上げをデバンとやってきた輸送隊員や王国軍の人たちに指示をして、間が空いた頃にキャビンは尋ねた。

「冒険者が使う小さな道がありまして、先導してもらいました。それで、そこを無理やり通してきました。なにせ数はおりましたので、整地は大したことありませんでした。このまま大道を敷いてしまうのもありかもしれません」

デバンは周りを見回してこともなげに言う。


「ふーん。なら帰りはこの数の運搬の心配はしなくて良さそう?」

 あちこちで働く人々を見る限り絶対に大したことがないわけないが、強がるデバンに話を合わせる。


「問題ありません。既に山道は開通しています。また今回の様にならないために、ロコロ湖の魔石を定期的に回収する方針です。普段は川魚も多いので、漁場としても活用してもいいかもしれませんね」

 色々と使い道があるなとデバンは考えながら答える。


「何で全然使われてなかったの?」

「え、いや、あの危険……だからでは?……魔物沢山いませんでした? ここに来るまでにもAランクモンスター数体倒してきたんですが……」

 デバンは困惑しながら聞き返す。


 キャビンはセメテを呼ぶ。

「セメテちょっと来て……来るときって魔物ってみた? 慌ててたからあんまり気にしてなくて」


 セメテはぽんと答えた。

「あー見たな。結構デカかったから間違いない。ジャガベアーだった。他もいたような気がしたけど俺も覚えてない」


 キャビンは目を輝かせる。

「ジャガベアーってジャガイモみたいに筋肉がゴツゴツしてるっていう!あのジャガベアー?」

「そうだ、トラックの音で偵察に来たのかもな。一頭だけだったが、見てるだけで近づいては来なかったぞ」


「あぁ、いつもの……」

 デバンは納得する。

 トラックにビビって猛獣も魔物も近づかない、よく見ればいるだろうが、運転してるキャビンからは見えないことも多い。

 前に助手席にいた時も脇から怪物を見るような眼をした魔物を眺めたのを思い出す。


 セメテは話から外されたくなくて続ける。

「俺もジャガベアー倒した事あるぜ、肉うまいんだよ。今回も食いたいが副隊長、ありますか?」

 セメテは、デバンには躾けられていて言葉っちりだけ丁寧になるらしい。


「ありますが、Aランク魔物は高値がつきますから、市場に売って、お金に変えます」


「えっ、せっかくなら食べたい。デバンだめ?」

「副隊長ー。俺も喰いたい……です」

 二人から懇願されてデバンはたじろぐ。

 実はサハギンが相当数ある(しかも傷がない)ので、これを売り払えば結構黒字だとか目を金のマークにしながら考えると多少はいいかなぁ……ともなる。


「全員分はないので、先行した隊長達だけ功労賞として、晩飯で出すように手配します。他の隊員もポークステーキ位出しますよ。今回は皆頑張ったんですから」

「わかったわ。それでいい。今晩楽しみ!」

「今晩は間に合いませんよ、早くて明後日ですかね。週末位で考えておいて下さい」

 他の隊員に合図されてデバンは呼ばれていった。


 取り残されたキャビンとセメテは待機中だ。

「そろそろみんな上がったみたいね。この後は、急速冷凍魔法かけて、魚とサハギンに分けて搬送だったっけ。行き先はどこか知ってる?」

「一旦王都本部だな。その後市場とか店とかに行く」

「今回は傷がないから高く売れるわね……それでちょっと奮発してくれたわけか」

「うちは金欠なんだろ。研究費に溶けてるってみんないってた、隊長が持ち出ししてるって」

「家にお金あっても使わないし、持ち出しって私の給料くらい。それ以上は駄目って皆が言うから。普通の分は軍から出てるから潰れるとかはないから安心して」


 キャビンは、自分が好きなのもあるが、チーズは自領の物をこっそり隊の食事に採用している。

 安く手に入るから使ってと炊事班にプレゼンした時はデバンにジト目で見られたが、チーズを口に放り込んで黙らせた。

 安い理由はごにょごにょだ(絶対に秘密とのこと)


 キャビンは熟成したチーズをトロトロに熱して、パンにかけるのを想像しながら、サハギン肉には合うかなぁ、今度試してみよう。と心に刻んでおく。


 ドレージで食べたツナチーズトーストは絶品だった。

 あれにカフェオレは反則すぎる。今度は落ち着いて食べたい……と延々と妄想していると、セメテは話を続けていた。


「なぁ、隊長……そろそろ出発じゃないか?」


 数刻で引揚げ、冷凍、積込みが終わり、先頭が出発を始めていた。


 キャビン達は最後だ。多分囓られても平気だからだろう。


「よしっ!帰りましょ。何事も無く帰れるといいけど」

「……わざと言ってます?」

「なに?」

「なんでもないっす」

 結局キャビン達は何事もなく帰れたが、先頭はモンスターと相当にやりあってたらしい。

 キャビンも見たがったがそこに行くまでも並びすぎてて音と光だけが聞こえていた。


 ただ、予想はしていたみたいで、前方は精鋭で固めていたから死者ゼロ怪我人も殆どいなかったらしい全然詳しくはなくて、大勢いた性で色々な噂が集まって、尾ひれがつきすぎてよくわからない話が出来上がっていた。


 詳しい人によると、モンスターは道が出来て森が分割されてパニクった。(いきなり地形が変わればそうなるか)

 そのままの勢いで衝突したとのことだった。

 今後大きな道とか造るときにはこういうのの影響も考える必要があるからと、研究する事になったらしい。

 ぱっと思いつくのでも、肉が取れなくなるかもとか動物がいなくなるかもと言われると、ちょっと大事な事かもとキャビンはまた一つ学んだ気がした。

キャビンは運んでなんぼだったので、道はあったほうが良いと思ってはいたが、それが全てではないと感じた様子

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