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緊急ミーティング

 トラックはエイテルの近くに止まった。

 護衛班は荷台で警戒しながら、急いで助手席にエイテルを乗せて川下に離れる。

 サハギンはトラックを睨みつけるが近づいてくるものはいなかった。


 トラックで走行しながらキャビンは横目にエイテルをちらりと見て、話し始める。

「王国軍輸送体のキャビンです。神狼団のエイテル副団長で間違いないですね?あなたの救助に来ました」

「私がエイテル・エリュクシュルや。救助感謝します。丁度撤退も考えてたんで、本当に助かりました」


 数分の間、川下へ向けて走った後、少し広い河岸にトラックを止める。

 護衛班員はトラックの外で警戒を始めた。

 空いた荷台でキャビンと、セメテ、ワルダーは作戦会議を始める。


 ワルダーが魔力水をエイテルに手渡す。

 エイテルはそれを飲み干して体に注意を向けると、結構魔力使ってたなとグングン回復していくのを感じながらエイテルは今さらに実感した。


 エイテルが一息ついたのを見届けてキャビンが話を始める。

「私たちは緊急支援で先発隊として来ました。他は、私の副官が手配をしてるわ。支援物資を運んできているし、王国軍の第一部隊も来るわ。どのくらい来るかわからないけど。数では優勢になると思う。最悪でも同数くらいは引っ張ってくるはず」

「神狼団は来るんですか?」

「知らない。ムカついたから、ほっといて来ちゃったんだし」


「え?そんな理由で俺たち駆り出されたんすか?」

 セメテがマジかよーと仰天する。

「そ、それもあるけど。先行してる人がいるって聞いて急いで来たのよ。一人で行ったって聞いたし、放っておけなかったもの」


 エイテルはそんなやり取りを見て、緊張していた心臓が少しずつ落ち着いていくのを感じた。

 エイテルはキャビンに気を取り直して尋ねる。

「それで、キャビン隊長はどうなさるのですか? この人数であの数を相手にするのは無理やと思います」

「一旦退避します。うちの隊は第一部隊と合流してあなたを送り届けたら後方に下がるわ」

 キャビンは淡々と伝える。

「私だけ戦うん?」

「うちは輸送隊よ。それに神狼団が一人も戦わないのは面子に傷がつくでしょ?」

「まぁ、ウチも雇われですからねぇ。逃げ帰るわけにもいかんわ。ウチも啖呵切って飛び出してきちゃったのもあるし」

「そういえば、元冒険者なんだっけ。そしたら敬語もいいわよ、慣れないでしょ」

「せやな。確かに慣れないわ」

「魔法学校では一通り作法なんかもやるんじゃなかった?」

「ウチ、地方の生まれで魔法もじぃちゃんに教わってたから敬語って付け焼刃なんよ」

 二人で盛り上がり始めるので、ワルダーが苦笑しながらたしなめる。

「隊長ー。雑談なら落ち着いた場所でお願いします」

「ごめんごめん、ところでエイテル。あなたから見てサハギンはどう?何か気づいたことはない?」

「せやな。正直、何してるかはようわからんけど、赤いのがより赤くなってる気がするわ」

「より、赤く?」

「うーん。最初に見た時は赤いなぁって思ったんやけど、あいつ何やか儀式みたいなことやっててん。飛び上がったり潜ったり、段々濃くなってってん。最後に見た時はまさに、真っ赤でツヤツヤやった。最初に見たのがピンクに思えるほどになぁ」

 キャビンは息を呑む。

「ルビー……」

 エイテルは感心したように笑う。

「そうそう、例えが上手いなぁ。さながらルビーやなあの色見は」


 キャビンは覚悟して、拳を握りしめた。


「エイテル、作戦変更!やっぱこのまま殲滅する」


 セメテはそうこなきゃなと気合を入れ、ワルダーはやれやれやっぱりかと頭を抱える。


「はぁ?」

 エイテルは聞き間違えたかと、素っ頓狂な声を上げる。


「はぁぁぁあ?!」

 エイテルの驚嘆は外の護衛班員が反射的にビビるくらいの大声だった。

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