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輸送準備

 キャビンとデバンは、集積所にいるバンニング班長の所へ向かった。

 バンニングは集積所の少し小高い丘のような場所を指令所にして、そこから拡声魔法や、手振りやらで支持を出していた。


「おつかれ、バンニング班長」

 元気よくキャビンが声をかける。


「おお!隊長とデバンか! 何か用事か!」

 精強な声でバンニングが尋ねた。直前まで大声で指示していたためか、近距離でもびっくりするくらい大声だ。


 キャビンも負けじと声を張る。集積所は慌ただしく、皆が大声で指示出しをし合っているので、これくらいじゃないと場に合わない

「食料品と医療品を馬車100台分運ぶわよ! 準備して!」

「了解しました!」

 戸惑う様子など一切なくバンニングは明朗に返事する。


 バンニングはデバンに向き直って尋ねた。

「それで、詳細案はあるのか?」


 デバンは思案顔で答える。

「あるが……隊長。どうします? 詳細会議に参加します?」


 キャビンはすぐに否定する。指示は隊長、些細を詰めるのはデバンに任せる。

 キャビンがいると、デバンも気を使って色々確認してくれるが、キャビンはデバンを信頼しているしほとんどイエスと答えて進むだけだ。


「二人の邪魔になるし任せるわ。パッドと下でプルブルの練習してる。行くわよパッド」

 おどおどついてきていたパッドに声をかけた。

 キャビンは丘の下に降りると、いくつかの物資を使って、パッドに教わりながらプルブルの練習を始めた。


 それを眺めてバンニングが話し始めた。

「本当に馬車100台分も運ぶのか?方法は?」

 書きなぐった数枚の紙をデバンがバンニングに渡した。


「計算上は50台分だ。ここに概要を書いたが状況は、相変わらずサハギンが、鉄橋に陣取って、  ドレージまでの道をふさいでいる。いなかったとしても、すぐに川から飛び上がって戦闘になる。そのため、通常の隊商では運べない。キャビン隊長がプルブルで荷物を運ぶ。隊員は護衛に就くという陣形で行く」

 デバンから受け取った紙をバンニングが読みながら考える。確かにこの方法なら一度に大量に運べる。


「はぁっはぁっはぁー!さすが隊長!魔力量に物を言わせて牽引するわけか。隊長ならもっといけるだろうがな!」

「プルブルのコントロールが難しい。トラックの速度で進みながら、コントロールを誤って荷物が吹っ飛んで行ったら大事だ。なんせ見ての通り、今練習しているくらいだから」

 デバンは不安げに語る。


「それもそうか。それに50台分の食糧品と医療品があれば実質的に当面の必要物資は足りるな。それ以外の建材はどのみち落ち着いてから運ぶしかない物だ。商会が災害にかこつけて復興物資を高値で売ろうとしているだけで、まだ、災害発生中だから復興物資は  そう必要ない。今持って行っても町の混乱状況も読めんのだから、誰に売れるかもわからん。いっそ、建材は持っていかず避難所をこの仮設集積所にそのまま建ててもいいんじゃないか。ドレージの被害もそうはないみたいだしな」

「そこらへんは別の部署の領分だろう。我々は輸送隊として、物を運ぶだけだ」


「まぁ。そうだな。我らは無事に運ぶ事のみだな」

 その後は隊員の配置や予定時刻などを詰めて、輸送計画を練り上げていく。

 1時間もかからず1枚の計画書が出来上がった。


 キャビンはその間にプルブルのコントロールのコツを掴んでから二人の所に戻ってきた。

「お疲れ様。どう?出来た?」

 デバンとバンニングは朗らかに笑った。

「何とか輸送計画は立ちましたが、結局は隊長のお力頼りです。任せましたよ!」

「まっかせなさーい!プルブルと緩衝魔法の同時操作まで出来るようになったから、かなりの量もぶん回せるわよ」

 デバンが嬉しそうに言った。

「流石です。荷物の塊を運びながら歩いているのもました。行けそうですね」

「思ったより負荷を感じないないのよ。もっと振り回されるとか、重さを感じるかなと思ったけど、この魔法は本当によく出来てるわね」

「本来は重さの代わりに魔力量の減衰で疲労感を覚えるんですよ。魔力量で厚く補えるなら、隊長には合っている魔法かもしれませんね」

「じゃ、本番の使用に問題はないわね。いつ出れるの?」


 デバンが計画書を読みながら答える。

「コンテナ化が済んだらすぐ出られます。荷物の積み上げもプルブルを使っていただく事になりますのでよろしくお願いします。それと、運転は別のものが行います」

 適性が合っても、やはりプルブルに集中してもらいたい。


「トラックの魔力は補充しとく?」

 トラックはキャビンの魔力を込めた鉱石を燃料代わりに使っている。鉱石自体は燃料タンクのようなもので、キャビンが魔力を補充すれば他の人でも扱える。


 キャビンが運転するときはハンドルから魔力を供給するので運転中に止まって補充する必要はない。

 ただ、燃費は悪いので、他の人が運転するときは補充しないといけない。



「先ほど戻ってきたトラックの残量を見ましたが、十分でした。ドレージまでは短いため往復は余裕です」

 デバンが力強く答えた。


「じゃ、コンテナ化しに行きましょ。あれも楽しいわ」

 キャビンはすぐに歩き出す。

 

 デバンとバンニング、それに、ようやく丘を登ってやってきて、息を切らしているパッドが「「「待ってください」」」というのを聞かずにすーっと丘を駆け下りるのだった。

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