第6章・幕間劇 光陰矢の如し
和都歴452年 8月16日 8時 置田村・本置田 置田の館
「あの雨から1年か。」
藤香がしみじみ話す。
長い間降り続けた雷雨と暴風。1年に渡って陽射しを遮られた祖柄樫山。
水捌けの悪い一部は湖の様になり、街道も土砂で使えない箇所もいくつか見受けられた。
再び陽射しが見えるようになり、更に1年後、祖柄樫山は、ようやくそこに復興の兆しを見せ始めていた。
「そうですね。とはいえ、田畑を耕し、道を整備し、人手はまだまだ足りません。」
「攻勢派もそれどころではないと、必死ですしね。」
香本の話に応える藤香。
「でもまさか、あの小夏がお抱え忍者として育つとは思わなかった。」
「それを言うなら、蓮太殿もすっかり逞しくなられた。」
「子供たちの成長が一番大きいのは確かです。」
2人は縁側で茶を飲みながら、そんな時間の経過を思い返していた。
ーーー
「相島さん、例の樒を強襲する計画ですが。」
「ん?何かいい策があるか?」
「ええ、実は…」
相島はその間も、樒にコケにされたことを根に持ち、如何に嬲り倒してやるかだけを考えていた。
ーーー
「赤島。」
「はい、野崎さん。」
「この膠着状態が終われば、再び各勢力がぶつかる。」
「心得ています。」
「赤島組と黒川組を軸に、北の地、神奈備を一気に平定する。」
「藤香共々…ですね?」
野崎と赤島は、野蛮組織を北に置き、兵士育成を狙う。その為の反乱分子、藤香抹殺を算段。
ーーー
「白粉のこともある。菫の抹殺を果たしたら、次は缶姉妹の居る変若水をやるのじゃ。」
「お任せください、御前様。」
紫の七草は、白粉を討たれつつも、当初の目標、白石菫抹殺を優先目標とする。新たに加わる黒石奈央を七草に加え、最終目標は白粉の弔い合戦・変若水の双子へと舵を切る。
ーーー
「ようやく復興の兆しも見えてきたな。ようやく人間を殺せるわ。アハハ!」
「人手が足りない。外から拉致してきてもいいから早く復興させないとモタついてたら出遅れちまう。」
杏と桃は、変若水の内政派との意見の違いも考慮しつつ、再び外への侵略を企てていた。
他の組織も、復興を最優先に考え、進捗と相談し、治安維持、防衛、侵略と政治のカードを切り替えていった。
そう、蓮太らも2年の年月がすぎ、16歳を過ぎていた。
長雨のもたらす土壌が、この後も食糧難による飢饉が襲い、更なる年月が経過することになる。
次回2025/4/30(水) 18:00~「第7章・1幕 災禍遷延」を配信予定です。
※4/26(土)~5/6(火)はGW・強化月間です。
期間中は毎日18:00に投稿致しますので、御期待下さい。




