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ケダモノたちよ  作者: 船橋新太郎
第6章・双子
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第6章・5幕 七草、変革

今回の登場人物


■ ▢ ■ ▢


・紫 尤 (しゆう)

元来、祖柄樫山近郊に住んでいた女領主。大柄で薙刀の達人。気品に満ちている面もあり、紫御前と畏怖される。その実は、九狼党の幹部・かつ実行部隊の頭目。黛村とも繋がるも、謎の多い淑女。普段は漆黒のドレスにトーク帽で表情を隠している。


・上田 樒 (うえたしきみ)

紫の七草という紫御前の側近集団の長。氷雨の女といわれる冷酷非道の美女。黒い生地に紫の花柄の着物を纏い、圧倒的雰囲気を纏う。 


・竹達 鬼灯 (たけたつほおずき)

紫の七草の二。剣の達人で紫の実働部隊として活動し、無双をロマンに掲げる程の実力者。並外れた身体能力が、七草随一の戦闘員とも言われるほど。ザンバラ髪をポニーテールで纏め、浴衣一丁という女子力の無さ。


・遙 星薊 (はるかほしあざみ)

紫の七草の三。情報収集や毒針での暗殺を担当。汚い戦術や拷問を好む非道な女戦闘員。黒装束に外は黒、内は赤のマントを羽織る姿が蝙蝠を彷彿させる。


・雨宮 蕨 (あめみやわらび)

紫の七草の四。樒の所持品を持ったり、身の回りの世話をする。樒の側近的役割。棒術や格闘術の心得がある。天然な性格だが命令には忠実。


・早見 鈴蘭 (はやみすずらん)

紫の七草の五。おっとりした性格とは裏腹に残酷。火を使うことを好み、火遁らしい技術を持つ。洋風のローブ1枚の様な妖艶な姿が特徴的。七草のお姉さん的存在。


・花澤 水仙 (はなざわすいせん)

紫の七草の六。樒に次ぐサブリーダー的役割をこなす。蓮太らと同じ14才でありながら、卓越した分析能力と指示能力を持つ。大きな瞳にお河童頭、洋服にズボンという、ボーイッシュなスタイル。


ーーー


・黒石 礼央 (くろいしれお)

黒川組・若頭。女性でありながら腕と頭が冴える、若くして出世した注目株。サバサバした性格で、人望もある。人の機微を見抜くことにも鋭敏。サイコロの賭け事が大好き。


ーーー


・缶 杏 (ほとぎあん)

黛村・北地区の変若水の缶梅男の双子で長女。弓の名手らしき風貌。脚が露になった、黒と杏子色のツートーンのチャイナドレスの様な、風変りな装束を纏う。


・缶 桃 (ほとぎもも)

黛村・北地区の変若水の缶梅男の双子で次女。姉の杏にそっくりな顔立ちだか、それ以上に感情的で暴力的。姉と同じ、脚が露になった、黒と桃色のツートーンのチャイナドレスの様な、風変りな装束を纏う。




■ ▢ ■ ▢

和都歴450年 8月6日 13時 黄田組・集会所


黄田組集会所の入り口に七草は整列し、白粉であろう無残な吊るされた亡骸を降ろしていた。

「白粉、何と言う事でしょうか。」

「敵討ち、するんだろ?」

「当然だ、よね?」

「許せませんわ。」

「白粉…」

「樒様?」

七草は白粉を囲む。

「御前様へ、報告しましょう。」


女郎花・紫御前の館


紫御前はいつもの如く、長いジャグジーから出るとタオルを取り、カラダに纏う。

扉を開けると紫御前と小さな女の子が小走りで出てくる。

御前が女の子のカラダを丁寧に拭き終えると、両手を軽く握る。

「いい気持ちだったかえ?」

紫御前の言葉に無言で顔を俯く。

「また呼ぶから待っておるのじゃ。」

そういうと、女の子はサッと走り去った。

「う~ん、若い女子(おなご)、たまらぬ!そして足りぬのう…」


ー みです、御前様、樒です、聞こえますでしょうか?


「おお!樒!懐かしいのう!どうしたのじゃ?いや、お前が恋しくてたまらぬ!」


ー なんと、誠、畏れ多いお言葉、御前様の愛を反芻いたします。


「ん~ハッ!愛しておるぞ!樒!」

紫御前は手繰り寄せるように口づけする。


ー 申し訳ありません、しばらく帰れない事情が出来ました。


「なぬ?」


ー 白粉がやられました。


「なんと!白粉が?」


ー 死体は無惨にも皮を剝がれ、内臓も切り出されています。


「・・・で?どこの手の者じゃ?」


ー 恐らくは変若水の双子・・・


「缶姉妹か?」


ー はい。


「しかし、菫の始末もつけなきゃならぬ。そういうことか。」


ー わたくし個人としましては…


「お前に任せる。今の樒の状況把握を信用する。ただし、侮るなかれ。菫も缶姉妹も、ついでに始末するようなことはしてはならぬ。」


ー わかりました。期待を裏切らないよう、最高の報告を出来るよう、対応致します。


「うむ、良き計らえ。」


紫御前はドレッサーの椅子を蹴り、ジャグジーの窓ガラスが割れる。

「白粉を…やってくれるじゃない、缶姉妹め!」


黄田組・集会所


「御前様は何て?」

「わたくしに一任するそうです。」

「じゃ、ここからは樒に従うよ。」

「そうですね、まず、白粉の墓をここに作りましょう。」

「ここに?」

「白粉の墓を守るためにも、わたくし達はここを死守します。この黄田組の集会所、ここをわたくし達の拠点としましょう。」

「なるほど。」

「でも白石組か変若水には攻めなきゃならないだろ?」

「ええ。缶姉妹がまた来ることを考えると、わたくしが白石組へ行き、一気に始末をつけます。」

「半分はここに残る?」

鬼灯が質問する。

「菫は侮れません。とはいえ、缶姉妹も危険です。」

「今は仲間が欲しいですね…」

「この際、赤島組や相島とかいう爺さんも引き込んだらどうかな?」

水仙が提案する。

「ふむ、相島に赤島…ですか。」

樒が手を口に当てて考える。

「それなら私に任せてくれないか?」

七草を追ってきた黒石が割って入った。

「ん?あんたは、黒川組の黒石?」

「組長の命令でね、七草の手伝いをしろと、なんなら七草に入れとな。それが白粉の、恩人の供養になると言われてね。私自身も、白粉の代わりに命を懸けれるなら本望だ。どうだろう?」

七草が一同顔を見合わせる。

「断る理由なんてないよ。ねぇ?樒。」

「そうですね、丁度信頼に足る者が欲しかった。白粉が命を懸けて守った黒石さんであれば、断る理由は御座いません。宜しくお願いします。」

樒は深く頭を下げた。

「やめてくれ、私は恩を返すだけなんだ。じゃあ、宜しく頼む。」

一同が笑顔で黒石を迎えた。

次回2025/4/13(日) 18:00~「第6章・6幕 変若水」を配信予定です。

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― 新着の感想 ―
黒石も仲間になり、双子への仕返しはできるのでしょうか?今後が楽しみです。
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