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ケダモノたちよ  作者: 船橋新太郎
第6章・双子
67/154

第6章・4幕 供養

今回の登場人物


■ ▢ ■ ▢


◎黒川組

黒川 多聞 (くろかわたもん)

黒川組・組長。策謀に長け、義理も厚い。赤島のやり方に納得はしないまでも、組織として面倒を見てもらった恩義を赤島猛に持つ。部下や若者にも義理人情が厚く人望がある。


・黒石 礼央 (くろいしれお)

黒川組・若頭。女性でありながら腕と頭が冴える、若くして出世した注目株。サバサバした性格で、人望もある。人の機微を見抜くことにも鋭敏。サイコロの賭け事が大好き。


◎黄田組

・黄田 八太郎 (きだはちたろう)

黄田組・組長。赤島会から副統括の神籬の監視を命令され、そこに一定の人員を割いている。昔気質の横柄な崩れ者で、狡猾。生き残るためには家すらも売る薄情さを持つ。


◎紫の七草

・上田 樒 (うえたしきみ)

紫の七草という紫御前の側近集団の長。氷雨の女といわれる冷酷非道の美女。黒い生地に紫の花柄の着物を纏い、圧倒的雰囲気を纏う。


・竹達 鬼灯 (たけたつほおずき)

紫の七草の二。剣の達人で紫の実働部隊として活動し、無双をロマンに掲げる程の実力者。並外れた身体能力が、七草随一の戦闘員とも言われるほど。ザンバラ髪をポニーテールで纏め、浴衣一丁という女子力の無さ。


・遙 星薊 (はるかほしあざみ)

紫の七草の三。情報収集や毒針での暗殺を担当。汚い戦術や拷問を好む非道な女戦闘員。黒装束に外は黒、内は赤のマントを羽織る姿が蝙蝠を彷彿させる。


・早見 鈴蘭 (はやみすずらん)

紫の七草の五。おっとりした性格とは裏腹に残酷。火を使うことを好み、火遁らしい技術を持つ。洋風のローブ1枚の様な妖艶な姿が特徴的。七草のお姉さん的存在。


・花澤 水仙 (はなざわすいせん)

紫の七草の六。樒に次ぐサブリーダー的役割をこなす。蓮太らと同じ14才でありながら、卓越した分析能力と指示能力を持つ。大きな瞳にお河童頭、洋服にズボンという、ボーイッシュなスタイル。


ーーー

・缶 杏 (ほとぎあん)

黛村・北地区の変若水の缶梅男の双子で長女。弓の名手らしき風貌。脚が露になった、黒と杏子色のツートーンのチャイナドレスの様な、風変りな装束を纏う。


・缶 桃 (ほとぎもも)

黛村・北地区の変若水の缶梅男の双子で次女。姉の杏にそっくりな顔立ちだか、それ以上に感情的で暴力的。姉と同じ、脚が露になった、黒と桃色のツートーンのチャイナドレスの様な、風変りな装束を纏う。


■ ▢ ■ ▢

和都歴450年 8月6日 11時 神奈備・黒川組集会所


「白粉が?やられたのか?」

「何かの間違いだ、よね?」

鬼灯と星薊が黒川組の集会所に戻ると、白粉の死の知らせを聞く。

「いや、ホントだ。樒の空間会話も届かないみたいで、現に私は白粉のお陰で辛うじて…」

「それ、見捨ててきた、よね?」

「ちょっと待ってあげて。水仙ちゃんは咄嗟の判断で最善策を取ったんですわ。黒石ちゃんも動けなかったし、全員やられてたらこの情報もなかったんですもの。」

水仙が責めらると、鈴蘭が割って入る。

「・・・」

納得しきれない鬼灯と星薊。

「とりあえず、七草は揃いました。黄田組の集会所へ白粉の死体を探しに参りましょう。」

樒にいつもの邪悪な雰囲気が纏い始める。

「了解!」


黒川組集会所・治癒室

「・・・うっ。」

「目が覚めたか」

意識を戻した黒石に声をかける黒川。

「組長…私は…。…!…七草…痛っ!」

「ムリするな。」

「・・・」

「ふぅ~。黒石、よく生きて帰ってきたな。それだけで十分だ。」

「・・・」

沈黙する黒石に黒川は目を逸らして窓の景色、遠くを見ていた。

「二人の七草が、助けてくれました。」

「らしいな。」

「だから私は生きているのでしょう。」

「だろうな。」

「二人は無事なのでしょうか?」

「・・・」

「組長?」

「俺も昔、命を捨てる覚悟で出向いたのに、ある人に救われてな、頼んでもいねぇのによ。」

「答えになってません。彼女たちは無事なのですか!?」

声を荒げる黒石。

「1人は、白粉は死んだよ。」

「!」

「まだお前より若いらしな。どう殺されたかはまだ聞いてねぇが、まともな形で残ってねぇだろ。」

黒石は直ぐに起き上がり、服を着替え始める。

「何してんだ?」

「黄田と、あの二人を…!」

「バカ野郎!お前何もわかってねぇな。」

「黒川組の1人として!義理を返すことがバカなことだと?」

「ちげぇよ!義理を返すのは助けてくれた命を捨てに行くことじゃねぇだろ!ムダ死にしたら白粉にどの面下げて会うつもりだ?」

「し、しかし、私は…」

「…わかる、お前の気持ちはな。」

「・・・」

黒石は声を殺し、涙を流す。

「今、七草が黄田組に向かった。白粉を葬ってやるらしい。黒石、お前もそこへ立ち会え。そんで、七草が一人欠けてるんなら、お前さえよきゃ、七草に入ってやれ。それが白粉の供養になるんじゃねぇか?」

「!?」

「ああ。」

黒川が笑顔で頷く。

「しかし、ここの守りも脆弱になりませんか?」

「バカやろうう。俺だって戦えるし、黒岩もいる。ここは北の黄田以外、西は赤島、南は相島で挟撃の心配もない。黄田をお前らで制圧してくれりゃ、更に安全だしよ。」

「…組長、ありがとうございます。」

「ただし…」

「生きて帰ってこい?ですか?」

「…フッ、俺もヤキが回ったな。」

そういうと、黒石は急ぎ七草の後を追い、黄田組へと向かった。


和都歴450年 8月6日 13時 置田村・神奈備と黛村・変若水の堺 谷川付近


「おい、待ってくれ。」

「? 爺さん、ホントにケツ舐めに来たのか?」

黄田組(あそこ)で待っていても報復にあうだけじゃ。お前らについて行く、いいじゃろ?」

「どうすんの、杏?」

「いいじゃないか。生かす価値があるのか、傍で測ってやるよ。」

「だってさ、爺さん、命拾いしたな?」

「さ、もう少しで跳ね橋だ、急ぐよ!」

本来、置田村と黛村には、八俣と女郎花を繋ぐ吊り橋しか繋ぐ道はない。

変若水の缶姉妹、双子は、条約に違反し、勝手に跳ね橋を作り、往来をしていた。

黄田の黄色装束の兵士も、変若水の双子の部下たちだった。


双子と黄田が跳ね橋に付く。

「さぁ、跳ね橋を下ろしな!」

「こ、こりゃ…黛村の乙名は知っているのか?」

「さぁね、文句があるなら殺すまでさ。」

杏はサラリとそういうと、桃がまた下品に笑う。

次回2025/4/10(木) 18:00~「第6章・5幕 七草、変革」を配信予定です。

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― 新着の感想 ―
組長優しいですね。双子はまた何かしそうでとても怖いですね、、、
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