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ケダモノたちよ  作者: 船橋新太郎
第5章・紫の七草
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第5章・10幕 奥の手

今回の登場人物


■ ▢ ■ ▢


・黒石 礼央 (くろいしれお)

黒川組・若頭。女性でありながら腕と頭が冴える、若くして出世した注目株。サバサバした性格で、人望もある。人の機微を見抜くことにも鋭敏。サイコロの賭け事が大好き。


・黄田 八太郎 (きだはちたろう)

黄田組・組長。赤島会から副統括の神籬の監視を命令され、そこに一定の人員を割いている。昔気質の横柄な崩れ者で、狡猾。生き残るためには家すらも売る薄情さを持つ。


・大胡田意満 (おおこたおきみつ)

顔まで黄色装束の部隊を束ねる黄田組の男。巨漢で、素手の格闘を好む。動けない相手を嬲るのが好きな非道な男。


・花澤 水仙 (はなざわすいせん)

紫の七草の六。樒に次ぐサブリーダー的役割をこなす。蓮太らと同じ14才でありながら、卓越した分析能力と指示能力を持つ。大きな瞳にお河童頭、洋服にズボンという、ボーイッシュなスタイル。


・水瀬 白粉 (みなせおしろい)

紫の七草の七。現代っ子の様な軽い口調からは想像できない残酷な行為を平気でやってのける。好戦的で戦大好き少女。赤と黄色と水色の派手な着物を着るのはその自信の現れである。


■ ▢ ■ ▢

1人で宣戦布告を伝えに来た黒石は、2人の部下に羽交い絞めにされ、大胡田にサンドバッグになろうとしていた。

「がふ!」

「オラ、もう一丁!」

数発殴られ、黒石も覚悟を決める。

「ん?んな顔すんな。なんか言い残す事でもあるか?」

「ちっ、ケダモノが…宣戦布告はしたからな?」

「あ?最後まで黒川に尽くすとは。大した女だ気に入ったぜ。黄田さんの後に十分可愛がってやる。」

大胡田はそう言うと再び殴り始める。

黒石もさすがに意識が混迷としてくる。

「そろそろ落ちるか?」

大胡田が黒石の顎を掴む。

「いい顔だ、所詮は女だな。」

大胡田は最後の痛恨の一撃を食らわすー


ーその瞬間ー


ーゴキ!


羽交い絞めにしていた男の首が折れる。

大胡田の前から黒石が消えた。


「!?」

黄田と大胡田が混乱する。

「何だ?」


男の首を折った白粉が黄田の前に居た。

黒石を抱きかかえる水仙が出口側に居る。

「…誰だ?」

大胡田が問う。

「紫の七草の七、水瀬 白粉(みなせおしろい)。以後お見知り置きを…ってねぇ!」

「七草だ?」

大胡田が怒る。

「大胡田、構うな!殺せ!」

「わかりました。死ね!」

大胡田は白粉に飛び掛かる。

白粉は余裕でヒョイヒョイ躱す。

「何やっとるんじゃ!」

黄田もイライラする。

「くそ!」

「羽交い絞めにしてもらわないと当てられないの?だっさー!」

「こんの…!」

とはいえ、大胡田もスタミナが切れてくる。

「よっと!」

白粉が大胡田を羽交い絞めにする。

「くっそ!」

「ほれ!」

-ボキ!

肩の骨を外す。

「うわぁぁ!」

「いい叫び。手足も外してやるよ。」

「や、やめ…」

ーベキボキバキ!

「ぐぅうぉぉぉ!!」

白粉はしゃがみ込んでしまう大胡田の顎を掴む。

「いい顔じゃん、所詮弱虫だな、お前。」

「・・・!」

声すら出ない大胡田。

「あとで黒石の姐さんに可愛がってもらえ。」

そういうと白粉は黄田に目線を移す。

「むぅ?」

「次は爺さんだよ?」

「儂?ひっひ、まさか勝った気でいるのか?」

「?」

「やっぱ若いっていいのう。儂らが奇襲したら、黒川組(おまえら)から報復されないとでも?」

「じゃ、さっさと迎撃しろよ?爺さんの奥の手は何だよ?」

白粉は黄田に近づきながら話す。

「近づくな。そろそろじゃ。おい、大胡田早く立ち上がれ。まだ倒れるのは早い。」

「倒れた味方に助け求めるとか…爺さん終わってるな。」

大胡田が何とか立った。

「仕方ないなぁ~」

白粉も軽く3回ジャンプする。

「寝てろって言ってんのに…」

白粉が大胡田に最後の一撃を食らわそうと近づいた。


ーブス!


大胡田の頭に弓矢が刺さる。

「!」

「ん?何だ?」

白粉と水仙も驚く。

「あの弓矢はー」

黄田に笑顔が戻る。


建屋の外から弓を撃った人影が見える。


同時に黄田の後ろから大勢の黄色装束の兵士が30人くらい突っ込んでくる。

「見たか!七草!これが儂の奥の手じゃ。」

「マジか…」

「怯えろ!小娘が!」

「愉しいじゃん!お祭りいくよー!」

白粉は掌底で兵士の骨を砕いていく。

「おら!」

次々に兵士を倒していく。

「さすが白粉、良い調子だね。」

水仙が安心してみている。

「えい!やー!あちょー!」

白粉が次々に兵士を打撃で殺す、まさに無双。

「なんじゃ、あの娘…おい!早くあの双子を呼ばんか!」

「何だって?」

1人の威風を纏う女性が黄田の後ろに立っていた。

白粉も兵士を最後の1人を倒すと、その存在に目を向ける。

水仙も目を留める。

「あ、どうも桃さん。お待ちしていましたよ。」

情けない声で黄田がこぼす。

「ちっ!ホントに使えないな黄田組(おまえら)。」

「も、申し訳ない。」

「まぁ、いいわ。」

正面に桃という謎の女性が立つ。

桃が右に身体を捻ると、同じような女性が後ろに居たらしく、左に身体を捻る。

「初めまして、私は杏。」

この異様な威圧感に、白粉と水仙は気合を入れなおす。


黒川に命をささげる黒石を助けんと来た七草の水仙と白粉。

黄田が報復に備えて用意していたという、異様な威圧感を持つ双子。

その正体と実力は如何に?


ー第5章・終

次回2025/3/24(月) 18:00~「 第5章・幕間劇 龍の行水」を配信予定です。

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― 新着の感想 ―
女子がとても強いですね。どの組が最後まで生き残るのか楽しみです。
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