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ケダモノたちよ  作者: 船橋新太郎
第5章・紫の七草
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第5章・6幕 報告

今回の登場人物


■ ▢ ■ ▢


◎攻勢派・赤島会本部


・赤島 猛 (あかしまたける)

野崎飛助に従い、一揆以前から兵士として活躍した男。蓮次と飛助に指名され、乙名に成り上がった。主に飛助の為に募兵や同士を集めている。酒と女にだらしなく、不道徳な男。赤島会たる野蛮組織を束ねる会長の顔を持つ。


・相島 権作 (そうじまごんさく)

置田村の沙汰人。置田村東地区・八俣の納税管理者。好みの女を襲い、嬲るという異常性癖を持つ。実は九狼党・幹部で❝尾❞の字で呼ばれる。攻勢派に副統括の話を持ち掛けられ、藤香抹殺に掛かる。


・綿貫 仁兵衛 (わたぬきにへえ)

置田村の東地区・八俣の刀禰。八俣の刑務主を担当 物静かで従順。しかし欲望にはそれ以上に忠実。相島の九狼党との関係に気づき、急接近。覚悟を示し、九狼党の❝毛❞として活動する。


◎黒川組


・黒川 多聞 (くろかわたもん)

黒川組・組長。策謀に長け、義理も厚い。赤島のやり方に納得はしないまでも、組織として面倒を見てもらった恩義を赤島猛に持つ。部下や若者にも義理人情が厚く人望がある。


・黒石 礼央 (くろいしれお)

黒川組・若頭。女性でありながら腕と頭が冴える、若くして出世した注目株。サバサバした性格で、人望もある。人の機微を見抜くことにも鋭敏。サイコロの賭け事が大好き。


◎紫の七草


・上田 樒 (うえたしきみ)

紫の七草という紫御前の側近集団の長。氷雨の女といわれる冷酷非道の美女。黒い生地に紫の花柄の着物を纏い、圧倒的雰囲気を纏う。


・竹達 鬼灯 (たけたつほおずき)

紫の七草の1。剣の達人で紫の実働部隊として活動し、無双をロマンに掲げる程の実力者。並外れた身体能力が、七草随一の戦闘員とも言われるほど。ザンバラ髪をポニーテールで纏め、浴衣一丁という女子力の無さ。


・遙 星薊 (はるかほしあざみ)

紫の七草の1。情報収集や毒針での暗殺を担当。汚い戦術や拷問を好む非道な女戦闘員。黒装束に外は黒、内は赤のマントを羽織る姿が蝙蝠を彷彿させる。


■ ▢ ■ ▢

黒川組に奇襲を仕掛けてきた黄田組らしき部隊。

黒岩が、特攻部隊の頭を倒し、敵陣は引いたものの、続けて紫の七草が訪問。

そこで提案された、いわゆる同盟。

黒川組の集会所を拠点としたい、というだけの好条件でもあり、それを飲んだ黒石。

今後は黄田組に宣戦布告、赤島組にも連絡し、黄田組を攻める手筈。その報告を組長・黒川多聞にした。


「そうか、黄田が。」

「やられた者の為にも、切り返すべきかと。宣戦布告、させてください。」

「そうだな。黄田も兵を神籬の監視に当てていると言っていたが、少数なら奇襲しかないと思ったのか。」

「黒岩をここに残し、綿貫を護衛に付かせますので、組長は会長へこの報告をお願いします。私は単身、黄田組へ宣戦布告をしてきます。」

「奇襲をしてきた相手だ。単身は危険だが、我らの習わし上、宣戦布告せず、戦は有り得ない。すまんが、危険な役をお願いする。」

「わかりました。すぐに発ちます。」

黒石が急ぎ部屋を出ようとする。

「黒石。」

黒石が止まる。

「お前は若頭とて、女でまだ若い、死ぬな。」

「それも役目ですよ。」

黒石は振り返らず、そう答えると外へ出て行った。


「俺も動くか。」

黒川が赤島の元へ移動する。

「私も護衛に付きます。」

綿貫が馬車に乗ってきた。

「おお、済まないな。」

黒川と綿貫を乗せた馬車が相島邸へ向かう。


黒石が乗る馬が北へ、黒川と綿貫が乗る馬車が南へ行くのを崖上から見送る七草。

「どうしよっか?黄田組と八俣と黒川組(ここ)、それぞれに付く?」

ーそうですね、わたくしは相島の顔は見たくないですし、3つ分けましょう。

「どう分ける?私は樒と別でいいよ。」

ー承知しています。

①水仙と白粉 黄田組

②鬼灯と星薊 相島邸

③わたくしと蓬、鈴蘭 ここで待機

以上に分かれ、迅速に行動を開始してください。

尚、黄田組の護衛、黒石については…


「え?いいの?」

ーその後はご自由に。

「りょ~か~い!」

七草もそれぞれに分かれ、動き始めた。


和都歴450年 8月6日 午後20時 八俣・相島邸


黒川と綿貫が相島邸に到着する。

「おや、お早いお帰りですね?それも客人をお連れで。」

門から出てきた内川が、綿貫を出迎える。

「緊急事態だ。」

そういって応接間に通される。

「ん?黒川?どうかしたか?」

相島と酒を飲んでいた赤島が黒川達に気付く。

「会長、黄田組らしきものが特攻奇襲を仕掛けてきました。」

「何?」

事の一部始終を黒川が赤島と相島に話す。


「…黄田組が。」

「はい。」

「で、黒川組の若頭に宣戦布告をさせにいったのじゃな?」

「はい、それ次第で、黄田組とは戦争するつもりです。」

赤島と相島は状況を整理する。

「弟の赤島組にも使者を送り、即、黄田を攻めるように伝えよう。」

「ありがとうございます。」

赤島が答えを出した。

「あと、紫の七草じゃが?」

相島が話し出す。

「不思議じゃ。儂らの戦争はまだしも、敵の村に来て儂らの肩を持つとはな。」

「はい、我々の為にも、と。」

「また、見下しおって。気に入らん。」

「しかし、相島さん。」

綿貫が割って入った。

「ほぼ無償の条件で、彼女らは鉄砲玉にもなりえます。諸刃の刃ではありますが。」

「諸刃?そんなもの七草に特攻をさせれば問題なかろう?」

赤島が反論する。

「…これは私の見立てです。彼女らが黒川組を助けたのには、彼女たちの信念があったのかと思います。」

「ふん、あんな美少女戦隊気取りに信念なんかあるか!」

相島がバカにする。

「信念?俺は気が付かなかった。良ければ教えてくれ。」

黒川が言う。

「言葉で説明できませんが、敢えて言うならば、漢気です。」

「黒岩さんは最後まで逃げずに味方の為に奮戦し、黒石さんは今も命を顧みず、宣戦布告しに行きました。」

「そこに惚れたとでもいうのか?」

「ええ。逆にそれを持ち合わせ無くなれば、黄田組諸共殺されるかと思います。」

「綿貫の分析はまぁ、大方外さないが…」

相島も俯きながら話す。

「そんな感じであってるよ。」

扉を開けて、鬼灯と星薊が入ってきた。

次回2025/3/13(木) 18:00~「第5章・7幕 諸刃の刃」を配信予定です。

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― 新着の感想 ―
相島の女を見下すような感じがやっぱり好きになれないですね…
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