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ケダモノたちよ  作者: 船橋新太郎
第5章・紫の七草
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第5章・1幕 紫の七草・集結

今回の登場人物


■ ▢ ■ ▢


・紫 尤 (しゆう)

元来、祖柄樫山近郊に住んでいた女領主。大柄で薙刀の達人。気品に満ちている面もあり、紫御前と畏怖される。その実は、九狼党の幹部・かつ実行部隊の頭目。黛村とも繋がるも、謎の多い淑女。普段は漆黒のドレスにトーク帽で表情を隠している。


・上田 樒 (うえたしきみ)

紫の七草という紫御前の側近集団の長。氷雨の女といわれる冷酷非道の美女。黒い生地に紫の花柄の着物を纏い、圧倒的雰囲気を纏う。


・遙 星薊 (はるかほしあざみ)

紫の七草の1。情報収集や毒針での暗殺を担当。汚い戦術や拷問を好む非道な女戦闘員。黒装束に外は黒、内は赤のマントを羽織る姿が蝙蝠を彷彿させる。


・雨宮 蕨 (あめみやわらび)

紫の七草の1。樒の所持品を持ったり、身の回りの世話をする。樒の側近的役割。棒術や格闘術の心得がある。天然な性格だが命令には忠実。


花澤 水仙 (はなざわすいせん)

紫の七草の1。樒に次ぐサブリーダー的役割をこなす。蓮太らと同じ14才でありながら、卓越した分析能力と指示能力を持つ。大きな瞳にお河童頭、洋服にズボンという、ボーイッシュなスタイル。


■ ▢ ■ ▢

和都歴450年 8月6日 午前2時 女郎花・紫御前の館


館に樒の声が響き渡る。

「今夜は凄いな、樒も御前様にあれ程まで溺愛されるとは幸せだろうに。」

鬼灯(ほおずき)は御前様に振られたもんね。」

「水仙もその内に同じ思いをするって。」

竹達 鬼灯(たけたつほおずき)。紫の七草の1。剣の達人で紫の実働部隊として活動する。並外れた身体能力が、七草随一の戦闘員とも言われるほど。ザンバラ髪をポニーテールで纏め、浴衣一丁という女子力の無さ。

「皆もこの声じゃ寝れなそうだね~。」


「樒ちゃん、今回はまた凄いわねぇ。」

「それで強くなるから羨ましい、よね。」

「でも、私たちは寝不足になりそうですわ。星薊は慣れたんですの?」

「なれない、よね。鈴蘭(すずらん)もこれだけは耐えるしかない、よね。」

「あらあら、星薊のそんな顔も珍しいですわ。」

早見 鈴蘭(はやみすずらん)。紫の七草の1。おっとりした性格とは裏腹に残酷。火を使うことを好み、火遁らしい技術を持つ。洋風のローブ1枚の様な妖艶な姿が特徴的。七草のお姉さん的存在。


「凄い声~もうこっちもオカシクなってきちゃう!」

「樒様が幸せを感じるほど、凄い迫力になりますから。明日が楽しみですよ~。白粉(おしろい)もでしょ?」

「いや、うっさい!マジ無理なんだよこれは~。」

水瀬 白粉(みなせおしろい)。紫の七草の1。現代っ子の様な軽い口調からは想像できない残酷な行為を平気でやってのける。好戦的で戦大好き少女。赤と黄色と水色の派手な着物を着るのはその自信の現れである。

「楽しみましょう~♪」

「蕨…お前絶対病気だぞ。」


「…!…御前様…もう、コワレテしまいそうです…」

「樒よ、まだじゃ。妾の欲望を、愛を、受け取るのじゃ!」

「…お、お待ちく…!」

館中が静まり返り、御前が深呼吸をしながら樒を抱きしめる。

「…ださ…い…ご…前…サマ…」

御前が立ち上がり、ジャグジーから出るとローブを着込む。

「樒よ、どうじゃ?今までで最高の愛をチャージした。菫にも負けぬだろうて。さすがに妾はもう…」

そう言って紫御前はベッドに横たわる。

「…ええ、満たされました。」

樒の目は見開いていた。とても本当の❝愛❞を受けたと思えぬ顔で。

「感じます…凄まじい愛情が…私に無敵の力を与えてくれている…御前様と、わたくしは今、共にあるくらいに。」

他者が、樒から圧倒的なオーラを感じるのはそこの無情な言葉と残虐性だけではない。樒が大好きである、いや、愛されていると感じている御前と一体になっているという彼女の過度な想像力が、それを現実に創り出している。

樒はジャグジーから出て脱いだ黒い生地の紫の花柄の着物の上で立ち止まる。

瞳を閉じて、自分の身体を丁寧に触り始める。

「何て素敵なカラダ…この腕、この胸、この背中…御前様が愛するこのカラダは…最高の魅力がある…。故に、わたくしは最高に素敵で、誰もがそのカラダを欲している…愛されている…!そして…美しく、素敵なだけではない…わたくしは…どんな猛者にも敗れることはない、戦場の女神!」

樒は瞳を見開くと、館に衝撃が走る。


「凄い~樒様、今回もまた愛情満タンみたい。」

「すごいよね~。こりゃ菫さんも即死なんじゃん?」

蕨と白粉が満足そうに話す。


「あらあら、樒ちゃん何時になく漲ってますわ。」

「あれなら、菫暗殺の後に置田村に侵略できる、よね。」

鈴蘭と星薊も樒の覚醒を期待通りの様に話す。


「今までで最高かもね。」

「鬼灯の自慢の無双も今回はいらなそう。」

「それを言うなって。」

鬼灯と水仙も樒の圧倒的な力を待っていたかのように話す。


「樒よ…妾の愛情を糧として、女郎花の神となるのじゃ。」

紫御前はベッドで横になりながらそう呟いた。


「…さて、と。」

全身を丁寧に触り、自身の魅力を堪能した樒。

「妹君、菫の首を頂きに行きましょうか。」

次回2025/2/23(日) 18:00~「第5章・2幕 上田樒は…」を配信予定です。

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― 新着の感想 ―
女の世界はやはり、怖いですね。樒の今後が楽しみです。
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