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ケダモノたちよ  作者: 船橋新太郎
第4章・赤島会
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第4章・3幕 赤島会

今回の登場人物


■ ▢ ■ ▢


・置田 籐香 (おきたふじか)

蓮次の妻。器量と度胸に優れ、夫亡き後は置田勢を率いてきた。若い世代を教育後、村を託そうと切に願う。若くして蓮次に見初められた強靭で屈強な戦士の資質と、美しく気の付く女性の品格を持つ。


・野崎 飛助 (のざきとびすけ)

置田蓮次の信望者で右腕だった男。蓮次の死後は妻・藤香にも劣らぬ村人を束ね、黛村への侵攻を常に画策している。古き仕来たりを重んじるが故、美咲とは特にウマが合わない。 


・赤島 猛 (あかしまたける)

   野崎飛助に従い、一揆以前から兵士として活躍した男。蓮次と飛助に指名され、乙名に成り上がった。主に飛助の為に募兵や同士を集めている。酒と女にだらしなく、不道徳な男。赤島会たる野蛮組織を束ねる会長の顔を持つ。


・香本 有 (こうもとあり)

沙汰人・置田村中央部・本置田 顧問。藤香のブレーン的存在。若い時は都に住んでいた経験もあり、考え方は至って現代的。しかし、残すべき古い文化は守るべきという側面も併せ持つ。


・相島 権作 (そうじまごんさく)

置田村の沙汰人。置田村東地区・八俣の納税管理者。好みの女を襲い、嬲るという異常性癖を持つ。実は九狼党・幹部で❝尾❞の字で呼ばれる。攻勢派に副統括の話を持ち掛けられ、藤香抹殺に掛かる。


・綿貫 仁兵衛 (わたぬきにへえ)

置田村の東地区・八俣の刀禰。八俣の刑務主を担当 物静かで従順。しかし欲望にはそれ以上に忠実。相島の九狼党との関係に気づき、急接近。覚悟を示し、九狼党の❝毛❞として活動する。


■ ▢ ■ ▢

「赤島会じゃなく、赤島組?それにそいつらを借りるのに条件じゃと?」

「はい。」

赤島の突然の発言に、相島は改めて確認した。

「聞こうか。詳しく話してくれ。」

「赤島会は…」

赤島会ー・・・

赤島会は、神奈備を赤島猛が統括していた時期に組織された、野蛮組織。野盗やならず者、落ち武者など、まさに野蛮な集団を赤島が受け皿として収集。組織した。

それぞれ赤島5人衆という頭目が、5つの組を統括し、管理していた。

赤島組・赤島大和(あかしまやまと)

黒川組・黒川多聞(くろかわたもん)

青田組・青田直勝(あおたなおかつ)

白石組・白石菫(しらいしすみれ)

黄田組・黄田八太郎(きだはちたろう)

この5人を、赤島猛が管理していた。神奈備の副統括・神籬蓮庵は、この野蛮組織に真っ向から反対するも、脅しによって、更に北の神社周辺に追いやられる。黄田組が神籬を監視、支配しているというが、その真相は未だ謎だ。ただ黄田組の半数は監視に人員を割かれ、まともに動けないらしい。

問題となるのは、赤島が八俣に異動し、その後は鈴谷の統治となることに、赤島会は反対した。それでも野崎と赤島は、黛村侵攻の準備の効率化のため、神奈備の裏社会の政治、引継ぎを無視。赤島会は独立政権となり、新・乙名で統括となった鈴谷に反目していた。

鈴谷は、置田藤香に後詰め、応援を要請し、赤島会の解体を考えるも、その多さに正面からの勝負を避けることにした。

青島組。ここを鈴谷は交渉し、鈴谷が正式に政権を取れば、青田組を残す取引を持ち掛けた。

これに他の組は裏切り者として、青田組の討伐を画策。ただし、鈴谷に寝返ったというのは飽くまで黒川組の情報だ。

白石組は特殊で、赤島が八俣に移る寸前に発足した新しい組。謎に包まれていて、資金も装備も何故か豊富で、どこにも所属しない。

赤島組は赤島猛の弟、赤島大和が統括。赤島会一の大きな組。黒川組も赤島組に続く古い組で、赤島兄弟からも信用が高く、知恵の黒川、といわれ、赤島の知恵袋として重宝されてきた。この2つの組は同盟を結び、赤島会本体として存続する。


「そんなわけで、今の赤島会は一枚岩ではない。他所に攻める力を割けば、他の組に狙われかねない。」

赤島が真剣に話す。

「赤島さんは赤島会をどうするつもりなんじゃ?」

「無論、赤島会の母体は赤島組にある。赤島組に弓引く組は討伐するつもりだ。」

「うーむ・・・」

現状の赤島会の話を聞いて、とても藤香に攻める余力はなさそうだと考える相島だった。

「相島さん。」

野崎が割って入った。

「ん?」

「相島さんも八俣の野蛮組織、あるんでは?」

「まぁな…それを出せと?」

「相島さんの組織も使って、まずは神奈備を俺たち攻勢派の色に変えようと思う。そうすれば、自ずと鈴谷の力も弱まる。藤香も応援に来るだろう。」

「なるほど。そりゃぁ良い!巻き混んで()れば自然だな。」

「藤香が直々に戦場に来れば、そのやり方はアリでしょう。」

「よし、良いだろう。儂の八俣の組織も使って、青田組と白石組、黄田組を黙らせよう。」

相島も語を強めた。

「ありがとうございます。」

赤島も珍しくお礼をする。

「赤島会の保護、及び、藤香討伐が済めば、晴れて相島さんも副統括に任命です。宜しくお願いします。また、この話はまだ内密にお願いします。」

「わかった。」


和都歴450年 8月1日・夜 置田村・東地区・八俣 相島邸


「綿貫。」

「はい。」

「例の悪童らに金を渡して、青田って学童を探させてくれ。」

相島が悪い顔をする。

「わかりました。」

「まずは足から断っていこうかの。ひひ。」


同じ時、藤香邸ではー

「では香本さん、神奈備の情報収集、お願いします。私は赤島に赤島会の解体願いをしてきます。」

「わかった。気を付けてな。」

「はい。」

秘八上の美咲らを、戦争に巻き込めないために、香本も自ら戦地へ行かざるを得ない状況となりつつあった。お抱え忍者の霞も、小夏と交代すると決まるも、まだ先のこととなり、お抱え忍者も居ない状況で、藤香たちは赤島会の情報収集から取り掛かっていた。

既に敵は動き出していると知らず…

次回2025/1/23(木) 18:00~「第4章・4幕 女傑・置田 藤香」を配信予定です。

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― 新着の感想 ―
赤島会の思惑に藤香側は気づいていないのですね。今後どうなるか気になります。
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