第3章・12幕 刑務官学科
今回の登場人物
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・毛呂 虎太郎 (げろとらたろう)
14歳。本置田地区でも珍しい、貧民の生まれ。蓮太を兄のように慕い、両親の人柄もあり、道徳も高い。腕力は弱かったが、剣の修行で心身とも強くなった。立場が弱い人を放っておけない。
・星 駿一郎 (ほし しゅんいちろう)
14歳。沙汰人という高位の村役の家系で生まれ、彼自身は村兵とし村を守る志を持つ。代々、沙汰人と高位でありながら、防衛の兵士としての役割に就く。真面目で武勇に優れる。
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和都歴450年 8月3日 午前 寺院
刑務官学科。ここは乙名学科のように血筋も、知的能力も求めない。また、忍者学科のように、厳しい課題を熟していく高い目標もなく、結果的に日々の訓練で強くなるものが、村の官人、兵士といった者になる。そういう者は、日々自分でも訓練を課せ、目標を作るものに限るが。
中にはエリートになると、特別兵士といった、高官のような出世になる者もいる。しかし、受ける仕事はやはり実戦的な仕事、警護、占領、罪人討伐など多岐にわたる。
しかし、そういう者はほぼ僅かで、半分は官人や兵士。半分は農民になり、中にはその武術を悪用し、罪人になる者も多い。
言うなれば、光と闇が、極端に分かれる学科でもある。
毛呂虎太郎と、星駿一郎はともにこの学科で切磋琢磨し、かなり高い武術を手に入れていた。
そんな中、虎太郎が何かと気にかけている綾瀬彩羽と、その恋仲であろう青田勝道との関係性に問題が発生していた。
午前の課題として、2人1組で剣術の稽古をしていた。
「そこまで!」
刑務官学科の守役・千宝堂公親が、終了の号令を出す。
千宝堂公親。刑務官学科の守役。元々は優秀な兵士で、先の一揆では、黛の反乱兵を多数退け、停戦のきっかけの一つにした男。今は歳を取ったが、その技も衰えず、老練の技術を教えている。
「少し早いが、昼食を取り、休みを取ったらまた集合するのじゃ。」
「押忍!」
皆が早めの休憩を取る。
「勝道さん。何かあったの?」
政務官学科には珍しい、美少女の学童・彩羽が、勝道に問いかける。
綾瀬彩羽。神奈備出身。沙汰人・青田家の家事手伝いとして、古くから働く貧民。半面、非常に美しく、武術に長ける。また、青田家の次男。勝道の幼馴染で良き理解者。
「何でだ?」
彩羽に負けて、尻もちを搗く勝道は、見上げて答えた。
青島勝道。神奈備出身。沙汰人の親と、後継者の兄を持つ。青島家は赤島会の幹部で、青田組の実行部隊長として、刑務官学科に入る。
「いや、何か気合入ってないからさ。」
「あぁ。そんなこともないんだが。悪いな、気にかけてもらうつもりもなかったが。」
「まぁ、無理には聞かないわ。お昼に行きましょう。」
そんな二人のやりとりを、隣で特に気にせず、虎太郎は聞いていた。
勝道と彩羽は食堂へ向かう。
「俺たちも食堂行こうか。」
「そうだな。」
続いて虎太郎が駿一郎を誘い、食堂へ続く。
修練場には3人の男が残った。
「あいつが青田勝道だよな。」
一本木康二。八俣出身。貧民で、ごろつき仲間とお金の為に何でもしてきた。まだ殺人こそしないものの、その後処理など、善悪の分別よりも金銭を大事にする。
「穂弱そうなやつだ。彩羽に負けてたぜ。」
二木洋四郎。神奈備出身。貧民で、弱い者から必要なものを奪えばそれで良いという考えの持ち主。強い者には媚び諂う、最低な男。
「少し痛い目に合わせれば、この学科から消えるだろう。」
三条勝太郎。神奈備出身。貧民ではないが、特技もなく、許嫁になるはずの女を売り、自分の身銭を増やすことに注力してきた。武勇に冴えないが、非常に狡猾。
この男学童三人は、貧民の育ち。理由もなく寺院に通うも、お金になる事なら何でもする。
今回もある男に頼まれ、青田勝道を執拗に狙う。
勝道は、自分の家が赤島会の傘下、青田組であることを誇りに思っていた。赤島会の横暴は酷く、赤島会の長、現・八俣の乙名・赤島猛から、青田組は離反。この事から、勝道も、いつ戦争に参加しても良いように、武術を磨きに来ていた。しかし、既に戦争が始まっていたことを、勝道すら知り得なかった。
ー第3章・終
次回2025/1/10(金) 18:00~「第3章・幕間劇 野崎家」を配信予定です。




