第3章・幕間劇 野崎家
和都歴435年 春
野崎妖は、野崎飛助の妹にして、篭絡の道具でもあった。
野崎家は貧民でもなかったが、決して裕福でもなかった。
鈴谷村に置田蓮次が介入して暫く、今度は現置田村、この村に介入してきた。
当時は村としても発展していなく、ここは神の降りる地として崇められていた。
野崎家もそんな伝承に忠実だったため、神話と教えには忠実だった。
妖はその教えでは巫女のような存在として扱われていた。
男の性欲は穢れとして扱われ、それを取り除くのは巫女、女性の役割と教えられてきた。
妖は、その教えでは巫女のような存在として扱われていた。
男の性欲は穢れとして扱われ、それを取り除くのは巫女、女性の役割と教えられてきた。
妖はそういう側面もあってか、性に奔放になっていった。
置田蓮次がこの村に来た時、野崎飛助からこの地の神話を知った。
無論、そんな話は信じなかった。
置田蓮次が鈴谷村で自分の政治を敷いていることに、野崎飛助は少し恐怖を感じた。
この地も、都の様にされるのではと。
飛助は家へ招待し、酒や名産で持成した。
「鈴谷村は、もっと良い酒で、肉も美味かった。」
飛助は困り果てるも、蓮次が言う。
「その娘は?俺への捧げものじゃないのか?」
その後、蓮次は毎日通うようになった。
「お前の言う、神話の女神、山照?この妖はその女神に見える、最高だよ。」
翌月、毎日のように来る蓮次に愛妻が居ると分かった。
知らなかったとはいえ、申し訳ないと飛助は謝る。
「いいんだ、俺は。この祖柄樫山で、俺は俺の子孫を繫栄させたいんでな。」
そういうと、また妖を愛撫し始める。
酒だけ用意してくれたら、また出て行けと言われた。
「でもよ、飛助。俺に従ってくれたら、この村の乙名にしてやるから。一緒に良い村にしようぜ。」
そういって妖を抱きながら扉を閉めた。
いつも通り、3時間して戻ると蓮次は裸の妖を横に酒を飲んでいた。
「飛助?妖は女神みたいでイイ女だが、流石に飽きた。この村に、もっと綺麗で大人の女いないのか?」
この男はあらゆる意味で切れている、と感じた。
置田蓮次、この地の英雄、置田蓮麻呂、その生まれ変わりと信じていたが、一体…
飛助は、この時から女を宛がっては煩い男の手綱を握ることを覚えた。
そして、妖は、その役目を物ともしない女となったのだ。
そういう側面もあってか、性に奔放になっていった。
次回2025/1/12(日) 18:00~「第4章・1幕 八俣の副統括」を配信予定です。