第11章・40幕 権謀術数・綿貫➁ ~九狼党
今回の登場人物
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◎相島一派
・綿貫 仁兵衛 (わたぬきにへえ)
置田村の東地区・八俣の刀禰。八俣の刑務主を担当。物静かで従順。しかし欲望にはそれ以上に忠実。相島の九狼党との関係に気づき、急接近。覚悟を示し、九狼党の❝毛❞として活動する。千毬と樒の才能に感化され、忠誠心を醸し出す。密かに密命も帯びているようだが…。40近い紳士的服装で白石編からはスーツを着用。
◎豊倉一派
・豊倉 完以 (とよのくらかんい)
置田村南部・日輪の沙汰人で副統括。置田村でも指折りの豪商。出世欲が強く、またどこかケチで、小心者だが、知恵と金銭で権威を取り込んできた男。その実は九狼党への関与が疑わしい❝宝石箱❞なる組織の首魁。
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◎現在の十戒絵馬
一、中へ入ると出ることが出来ない。
三、菫の殺害を禁じる。殺害する場合、ゲーム『神々の晩餐』にて菫と勝負し、負けた方は死亡する。
四、他勢力のエリアに赴くには、そのエリアに予め【外交官】を1名以上置かなくてはならない。
…発動中!
【前回までのあらすじ】
白石菫を倒した者が、赤島の代わりに八俣の乙名となるという白石討伐競争が開始された。
しかし、菫は実は午の器・十戒絵馬の持ち主で、その能力・10のルールの下に攻略する必要が出てきてしまった。
菫が、神器の力でルール、白石集会所からの退出禁止を施行する中、相島派と豊倉派は、徐々に人を中へと送る。
両派閥が、各界隈から、増援として人員を引き入れる。
相島派も豊倉派も、外交官の攻略に出ると、まず【領主】を決め、同時にそれぞれ【東の者】【西の者】を承認する。相島派は翌朝、【外交官】5名が立候補。そして西側にある、東側領事の間へと移動すると、七草の鬼灯、星薊が、直ぐに外交官・水仙を呼び出し、合流する。
一方で、八咫烏は、雌蟷螂と山楝の夢占いをするが、どちらの悪夢にも最低限の対策は設け、先に進む傾奇衆。
八咫烏は、更なる神器覚醒へと興味を抱き、寺院にいる、守役長・鉾田路へ謁見に向かう。そこで、禍津社の一人の抹殺を試練として課せられた。
同じ頃、白石組集会所へ侵入した豊倉らも、外交官に緑川組の奴隷4人の内の1人・土手と、意外にも妖会の夜光幽が名乗りを挙げた。一足先に土手と東側領事の間に移動する夜光幽。しかしその実はなんと小夏だった。
その少し前、綿貫が外交官の役割を各自に求めると、栃虎は一本松と三条とで画策する。
綿貫が七草らに同行者を求めるよう仕掛けてもらうと、藤江と外川が来ると栃虎が出張る。綿貫が西側領主の間に出向くと言うと、そこに三本松を同行させる栃虎の奇行に動揺する綿貫。
更に樒自らが同行者を求めて一本松を指名に来ると、一本松は東側領事の間で、七草に囲まれ恐喝されつつも、七草に味方を宣言する。その証に三条の暗殺を約束する。
瀬織津に残る七草も中へと向かい、千毬は客人を迎える。そう、妖、本人であった。
少し遡る頃、雌蟷螂と化猫が到着。スパイとして外交官に任命されるが、護衛がいた方が安全と言う八咫烏の判断から、獅子王と薄笑は急ぎ、東側へと移動を開始すると、東側領事の間から七草が出てくる。一触即発となろうも、お互いそれぞれの目的地へ移動する。
七草は西側領主の間で豊倉らと今後について話をする。缶姉妹に少しでも味方をする立場であれば容赦しないという脅しをかけるも、池澤は反論する。
その時、戸賀崎が言葉を挟み、お互いの白石菫の殺害後の動きを示し合わせると、同盟を組む価値を提示する。
七草は樒に相談に行くと、去っていく。すると、岩田が豊倉と池澤に聖釘を差し出し、緑川から引き入れた奴隷を、その力で兵士化しようと企む。
その時より4時間前、栃虎は外交官として藤江と内川に呼ばれ、西側受付へと向かう。藤江は栃虎に内通者かとストレートに聞くも、それをはぐらかし、逆に千毬の推察からだと聞き出す。内通者かを答える代わりに、栃虎は自分に付かないかと誘いを入れる。相島・綿貫を裏切る事に負い目を感じるが、内川は好条件と決断。猫を被る意味で藤江もそれを了承する。しかし、栃虎は内通者ではないと言い、今後も顔を出せと去っていく。内川は自ら報告をすると自信に満ちる。
栃虎はその後、呼子から幽と居たことを問われるも、敢えて知らなかったと惚ける。
七草は豊倉らが缶姉妹とは相いれない事を知ると、樒に相談。半信半疑な樒は鬼灯・星薊・水仙を豊倉陣営に裏切るように指示。後日、豊倉と戸賀崎に七草の傘下に入るかを提示しに行くという樒。
また数刻前、外交官となった綿貫と三条が、豊倉の居る西側領主の間へと挨拶と称し、出向くのだが、偽情報を流そうと内通者に成りきろうとする綿貫は、豊倉に看破されていた。綿貫は危機を感じ、❝九狼党❞を言葉にする・・・
「…念のため、聞いておくが、綿貫が九狼党のメンバーという、証拠は?」
「…今すぐ、これという証拠は示せません。」
豊倉の問いに答える綿貫。
「それでは信用できんな?」
「…豊倉さんこそ、一介の商人が九狼党に何の御興味があるのでしょうか?」
「…私はね、商人として、まだまだ広く顔を売る。その為には九狼党の力を借り、世界を股に掛けるのだ。」
「なるほど。では、白石組集会所を出たら、九狼党を紹介する、というのはどうでしょう?」
「何?」
「その代わり、最低2つの条件は飲んでいただきますが。」
綿貫は豊倉から視線を外さない。
「…」
(私は宝石箱から、九狼党の❝頭❞とは繋がりは出来ている…しかし、正式なメンバーになるには、色々と障害が多い。恐らく、今現在のメンバーは既に定員数を満たしている筈。競合にも❝初夢❞など、私がメンバーになれる可能性も確定ではない…綿貫が本当にメンバーなら、伝手として、近道としてはこの上ないー)
「ーいいだろう、条件とは?」
「➀生きて共にここを出る。
まあ、当然ですが。それにはお互いの協力が必要です。」
「飲もう。もう一つの条件は?」
「➁相島の殺害…ですかね。」
「ー!」
綿貫の条件に、驚愕する豊倉。
「…気は確かか?相島は競争相手とはいえ、私は勿論、野崎さんの傘下に変わりはなく、綿貫にしたら直属のボスだろう?その男を殺害とは、不当も過ぎる…」
「殺害…というのは結果の話です。始末は手の者が完遂する。なので、我々はそれに協力してくれれば良い、との事です。」
「…協力してくれれば良い?一体誰が実行する?」
「豊倉さん、九狼党ですよ?」
「何ぃ?」
視線を外さない綿貫、今までにない態度に、感情的になる豊倉。
「自分は九狼党の末端に過ぎません。これ以上は詳らかに出来ない事を察していただきたい。」
「随分と大きく出るな綿貫ー」
ーギラ!
「ー!?」
隠し持つ匕首を出した綿貫は、自らの首に突き付ける。
「さあ、協力するか、しないか、二択です。」
(どうだ…これで俺の命の価値は跳ね上げた。これにどう対応する?豊倉…!)
「に、二択で、なぜ命を懸ける?」
「言ったはず。九狼党の事をここまで話せば、自分の命を懸けるに等しい。自分なりの覚悟を示すため…!」
(さあ、それに対する豊倉、お前の覚悟を示せ…!)
「綿貫…!」
(この覚悟、本気か?九狼党になり得るには伝手があった方が有利。何故、直属の親、相島を殺害するのか、それを私に協力させるのか…未知な部分も多いが…リスクは少ない…いいだろう。綿貫、お前の覚悟に懸けよう…!)
「わかった。相島殺害の件、手を貸そう。」
「察していただけましたか。」
「ただし、九狼党への紹介、これが絶対条件だぞ?」
「…自分からはその条件ですが、ご紹介の後は、約束できません。」
「構わない。そこまで世話になるつまりはないさ。」
「では、戻りますかー」
「ーいや、もう一つ、話し合っておかないか?」
密談を終え、外に出ようとする綿貫の言葉を遮る豊倉。
「もう一つ?」
「フフン…私達の今後のための身辺整理だよ。」
人の弱みに付け込み、報酬をぶら下げて汚い仕事をさせる、豊倉。
彼が悪しき九狼党の1人、綿貫に持ち掛ける身辺整理とは、一体…?
次回2025/3/26(木) 18:00~「 第11章・41幕 権謀術数・綿貫③ ~関係性」を投稿予定です。
※3/26(木)~4/2(木)は桜花の読書・強化月間です。
期間中は毎日18:00に投稿致しますので、御期待下さい。




