第11章・39幕 権謀術数・綿貫➀ ~誤算
今回の登場人物
■ ▢ ■ ▢
◎相島一派
・綿貫 仁兵衛 (わたぬきにへえ)
置田村の東地区・八俣の刀禰。八俣の刑務主を担当。物静かで従順。しかし欲望にはそれ以上に忠実。相島の九狼党との関係に気づき、急接近。覚悟を示し、九狼党の❝毛❞として活動する。千毬と樒の才能に感化され、忠誠心を醸し出す。密かに密命も帯びているようだが…。40近い紳士的服装で白石編からはスーツを着用。
・三条 勝太郎 (さんじょうかつたろう)
神奈備出身。貧民ではないが、特技もなく、許嫁になるはずの女を売り、自分の身銭を増やすことに注力してきた。武勇に冴えないが、非常に狡猾。
◎豊倉一派
・豊倉 完以 (とよのくらかんい)
置田村南部・日輪の沙汰人で副統括。置田村でも指折りの豪商。出世欲が強く、またどこかケチで、小心者だが、知恵と金銭で権威を取り込んできた男。その実は九狼党への関与が疑わしい❝宝石箱❞なる組織の首魁。
・池澤 潤 (いけざわじゅん)
豊倉の右腕となる人物で、用心棒も務める。出世欲も強く、割に合わない仕事は他にやらせる狡猾さを持つ。ガタイの良い白髪交じりの中年で頬のイボが特徴。
■ ▢ ■ ▢
◎現在の十戒絵馬
一、中へ入ると出ることが出来ない。
三、菫の殺害を禁じる。殺害する場合、ゲーム『神々の晩餐』にて菫と勝負し、負けた方は死亡する。
四、他勢力のエリアに赴くには、そのエリアに予め【外交官】を1名以上置かなくてはならない。
…発動中!
【前回までのあらすじ】
白石菫を倒した者が、赤島の代わりに八俣の乙名となるという白石討伐競争が開始された。
しかし、菫は実は午の器・十戒絵馬の持ち主で、その能力・10のルールの下に攻略する必要が出てきてしまった。
菫が、神器の力でルール、白石集会所からの退出禁止を施行する中、相島派と豊倉派は、徐々に人を中へと送る。
両派閥が、各界隈から、増援として人員を引き入れる。
相島派も豊倉派も、外交官の攻略に出ると、まず【領主】を決め、同時にそれぞれ【東の者】【西の者】を承認する。相島派は翌朝、【外交官】5名が立候補。そして西側にある、東側領事の間へと移動すると、七草の鬼灯、星薊が、直ぐに外交官・水仙を呼び出し、合流する。
一方で、八咫烏は、雌蟷螂と山楝の夢占いをするが、どちらの悪夢にも最低限の対策は設け、先に進む傾奇衆。
八咫烏は、更なる神器覚醒へと興味を抱き、寺院にいる、守役長・鉾田路へ謁見に向かう。そこで、禍津社の一人の抹殺を試練として課せられた。
同じ頃、白石組集会所へ侵入した豊倉らも、外交官に緑川組の奴隷4人の内の1人・土手と、意外にも妖会の夜光幽が名乗りを挙げた。一足先に土手と東側領事の間に移動する夜光幽。しかしその実はなんと小夏だった。
その少し前、綿貫が外交官の役割を各自に求めると、栃虎は一本松と三条とで画策する。
綿貫が七草らに同行者を求めるよう仕掛けてもらうと、藤江と外川が来ると栃虎が出張る。綿貫が西側領主の間に出向くと言うと、そこに三本松を同行させる栃虎の奇行に動揺する綿貫。
更に樒自らが同行者を求めて一本松を指名に来ると、一本松は東側領事の間で、七草に囲まれ恐喝されつつも、七草に味方を宣言する。その証に三条の暗殺を約束する。
瀬織津に残る七草も中へと向かい、千毬は客人を迎える。そう、妖、本人であった。
少し遡る頃、雌蟷螂と化猫が到着。スパイとして外交官に任命されるが、護衛がいた方が安全と言う八咫烏の判断から、獅子王と薄笑は急ぎ、東側へと移動を開始すると、東側領事の間から七草が出てくる。一触即発となろうも、お互いそれぞれの目的地へ移動する。
七草は西側領主の間で豊倉らと今後について話をする。缶姉妹に少しでも味方をする立場であれば容赦しないという脅しをかけるも、池澤は反論する。
その時、戸賀崎が言葉を挟み、お互いの白石菫の殺害後の動きを示し合わせると、同盟を組む価値を提示する。
七草は樒に相談に行くと、去っていく。すると、岩田が豊倉と池澤に聖釘を差し出し、緑川から引き入れた奴隷を、その力で兵士化しようと企む。
その時より4時間前、栃虎は外交官として藤江と内川に呼ばれ、西側受付へと向かう。藤江は栃虎に内通者かとストレートに聞くも、それをはぐらかし、逆に千毬の推察からだと聞き出す。内通者かを答える代わりに、栃虎は自分に付かないかと誘いを入れる。相島・綿貫を裏切る事に負い目を感じるが、内川は好条件と決断。猫を被る意味で藤江もそれを了承する。しかし、栃虎は内通者ではないと言い、今後も顔を出せと去っていく。内川は自ら報告をすると自信に満ちる。
栃虎はその後、呼子から幽と居たことを問われるも、敢えて知らなかったと惚ける。
七草は豊倉らが缶姉妹とは相いれない事を知ると、樒に相談。半信半疑な樒は鬼灯・星薊・水仙を豊倉陣営に裏切るように指示。後日、豊倉と戸賀崎に七草の傘下に入るかを提示しに行くという樒。
また数刻前、外交官となった綿貫と三条が、豊倉の居る西側領主の間へと挨拶と称し、出向くのだが・・・
「さて?何の用かな?」
「買い被りですよ。外交官として、西側に居住することになります。その挨拶です。」
豊倉に低姿勢で接する綿貫。
「何か自分に出来ることがあれば、協力しますが?」
「ほう?出来ることか…どこまで出来るか、それが大切だ。違うかね?」
「まあ、目立ったことは出来ません。そうですね、情報を流すくらいは…と。」
綿貫は一礼する。
「情報…か…」
豊倉は横を向く。
「どんな情報でも教えてくれるんだな?」
池澤が話す。
「勿論、自分が知り得る限りはー」
「ーいや。情報だけなら間に合っている。」
「ー!」
綿貫の応答を遮り、それを断る豊倉。
「今…なんと?」
「情報だけなら間に合っている、そういったのだ。」
「間に合っている?とは…どういう事でしょうか?」
「お前が外交官になった事は勿論、外交官のリーダーに立候補したこともだ。」
「ー!」
「むしろ、お前が情報を得るために、こちらに来たと私は睨んでいるんだが?違うのか?」
「…!」
豊倉の言葉に綿貫は頭が真っ白になる。そして三条を見る。
知らん顔をする三条。
(こ…こいつら…やはり、内通者?しかし、どうやって連絡を…)
「私がどうその情報を得たか、疑問か?」
「…栃虎たち3人から…ですか?」
「ハッハッハ…!見事な答えだ。しかし、離れているのに連絡は取れんだろう?」
嘲笑する豊倉。
「ちなみに、もう一つ、そちらの参謀、伊集院千毬。彼女は今、旅館・瀬織津にいて、そこの七草2人はこちらへ向かってきている…」
「ー!」
「どうだ?むしろお前よりも内情に詳しいかもしれんな?」
「外の声を…拾えるハズが…」
(栃虎ら3人は白石組集会所の中…外へ出るなど出来ない。まさか…)
「このくらいのネタばらしも、私には痛手にならん。そういうことだ。そんな私がお前から情報を?笑わせてくれるな…ハッハッハ…!」
「く…!」
(とんだ誤算だ…!
俺は内通者となり、偽の情報を流すつもりでいたが…みすみす殺されにきたようなもんだ…せめて奴らの情報収集手段だけでも、本部に知らせたいが…!
…ここは、禁断の取引を持ち掛けるしかないか…!)
「…九…狼党…」
「何?」
「九狼党に…ご興味は?」
「ー!
綿貫、お前、何故その言葉を?」
「…」
綿貫は豊倉の視線を外さない。
「…いいだろう、場所を変えよう。」
豊倉と綿貫は席を立つと、奥の私室へと向かう。
「ここなら誰にも聞かれないだろう。さあ、答えてくれ。お前は九狼党となんの関与がある?」
(やはり、九狼党に興味がある人間か…)
「自分は九狼党の1人です。」
「な…何?綿貫が…?」
九狼党の正式なメンバーになることを望んでいる豊倉は、仮にもそのメンバーである綿貫に悪辣な態度を示したことに、肝を冷やす。
次回2026/3/22(日) 18:00~「第11章・40幕 権謀術数・綿貫➁ ~九狼党」を投稿予定です。
毎週(木)(日)18:00に投稿致しますので、御期待下さい。




