第11章・38幕 権謀術数・七草③ ~狂気
今回の登場人物
■ ▢ ■ ▢
◎相島一派
・上田 樒 (うえたしきみ)
紫の七草という紫御前の側近集団の長。氷雨の女といわれる冷酷非道の美女。紫の七草を❝空間会話❞によりテレパシーの様に会話できる。黒い生地に紫の花柄の着物を纏い、圧倒的雰囲気を纏う。神器によって紫尤に生み出された強化人間。
・竹達 鬼灯 (たけたつほおずき)
紫の七草の二。剣の達人で紫の実働部隊として活動し、無双をロマンに掲げる程の実力者。並外れた身体能力が、七草随一の戦闘員とも言われるほど。ザンバラ髪をポニーテールで纏め、浴衣一丁という女子力の無さ。
・遙 星薊 (はるかほしあざみ)
紫の七草の三。情報収集や毒針での暗殺を担当。汚い戦術や拷問を好む非道な女戦闘員。黒装束に外は黒、内は赤のマントを羽織る姿が蝙蝠を彷彿させる。
・雨宮 蕨 (あめみやわらび)
紫の七草の四。樒の所持品を持ったり、身の回りの世話をする。樒の側近的役割。棒術や格闘術の心得がある。天然な性格だが命令には忠実。
・花澤 水仙 (はなざわすいせん)
紫の七草の六。樒に次ぐサブリーダー的役割をこなす。蓮太らと同じ年齢でありながら、卓越した分析能力と指示能力を持つ。大きな瞳にお河童頭、洋服にズボンという、ボーイッシュなスタイル。
・綿貫 仁兵衛 (わたぬきにへえ)
置田村の東地区・八俣の刀禰。八俣の刑務主を担当。物静かで従順。しかし欲望にはそれ以上に忠実。相島の九狼党との関係に気づき、急接近。覚悟を示し、九狼党の❝毛❞として活動する。
・三条 勝太郎 (さんじょうかつたろう)
神奈備出身。貧民ではないが、特技もなく、許嫁になるはずの女を売り、自分の身銭を増やすことに注力してきた。武勇に冴えないが、非常に狡猾。
◎豊倉一派
・豊倉 完以 (とよのくらかんい)
置田村南部・日輪の沙汰人で副統括。置田村でも指折りの豪商。出世欲が強く、またどこかケチで、小心者だが、知恵と金銭で権威を取り込んできた男。その実は九狼党への関与が疑わしい❝宝石箱❞なる組織の首魁。
・池澤 潤 (いけざわじゅん)
豊倉の右腕となる人物で、用心棒も務める。出世欲も強く、割に合わない仕事は他にやらせる狡猾さを持つ。ガタイの良い白髪交じりの中年で頬のイボが特徴。
■ ▢ ■ ▢
◎現在の十戒絵馬
一、中へ入ると出ることが出来ない。
三、菫の殺害を禁じる。殺害する場合、ゲーム『神々の晩餐』にて菫と勝負し、負けた方は死亡する。
四、他勢力のエリアに赴くには、そのエリアに予め【外交官】を1名以上置かなくてはならない。
…発動中!
【前回までのあらすじ】
白石菫を倒した者が、赤島の代わりに八俣の乙名となるという白石討伐競争が開始された。
しかし、菫は実は午の器・十戒絵馬の持ち主で、その能力・10のルールの下に攻略する必要が出てきてしまった。
菫が、神器の力でルール、白石集会所からの退出禁止を施行する中、相島派と豊倉派は、徐々に人を中へと送る。
両派閥が、各界隈から、増援として人員を引き入れる。
人員確保を終え、相島派も豊倉派も、外交官の攻略に出ると、まず【領主】を決め、同時にそれぞれ【東の者】【西の者】を承認すると、相島派は翌朝、【外交官】5名が立候補。そして西側にある、東側領事の間へと移動すると、七草の鬼灯、星薊が、直ぐに外交官・水仙を呼び出し、合流する。
一方で、八咫烏は、雌蟷螂と山楝の夢占いをするが、どちらの悪夢にも最低限の対策は設け、先に進む傾奇衆。
八咫烏は、更なる神器覚醒へと興味を抱き、寺院にいる、守役長・鉾田路へ謁見に向かう。そこで、禍津社の一人の抹殺を試練として課せられた。
同じ頃、白石組集会所へ侵入した豊倉らも、外交官に緑川組の奴隷4人の内の1人・土手と、意外にも妖会の夜光幽が名乗りを挙げた。一足先に土手と東側領事の間に移動する夜光幽。しかしその実はなんと小夏だった。
その少し前、綿貫が外交官の役割を各自に求めると、栃虎は一本松と三条とで画策する。
綿貫が七草らに同行者を求めるよう仕掛けてもらうと、藤江と外川が来ると栃虎が出張る。綿貫が西側領主の間に出向くと言うと、そこに三本松を同行させる栃虎の奇行に動揺する綿貫。
更に樒自らが同行者を求めて一本松を指名に来ると、一本松は東側領事の間で、七草に囲まれ恐喝されつつも、七草に味方を宣言する。その証に三条の暗殺を約束する。
瀬織津に残る七草も中へと向かい、千毬は客人を迎える。そう、妖、本人であった。
少し遡る頃、雌蟷螂と化猫が到着。スパイとして外交官に任命されるが、護衛がいた方が安全と言う八咫烏の判断から、獅子王と薄笑は急ぎ、東側へと移動を開始すると、東側領事の間から七草が出てくる。一触即発となろうも、お互いそれぞれの目的地へ移動する。
七草は西側領主の間で豊倉らと今後について話をする。缶姉妹に少しでも味方をする立場であれば容赦しないという脅しをかけるも、池澤は反論する。
その時、戸賀崎が言葉を挟み、お互いの白石菫の殺害後の動きを示し合わせると、同盟を組む価値を提示する。
七草は樒に相談に行くと、去っていく。すると、岩田が豊倉と池澤に聖釘を差し出し、緑川から引き入れた奴隷を、その力で兵士化しようと企む。
その時より4時間前、栃虎は外交官として藤江と内川に呼ばれ、西側受付へと向かう。藤江は栃虎に内通者かとストレートに聞くも、それをはぐらかし、逆に千毬の推察からだと聞き出す。内通者かを答える代わりに、栃虎は自分に付かないかと誘いを入れる。相島・綿貫を裏切る事に負い目を感じるが、内川は好条件と決断。猫を被る意味で藤江もそれを了承する。しかし、栃虎は内通者ではないと言い、今後も顔を出せと去っていく。内川は自ら報告をすると自信に満ちる。
栃虎はその後、呼子から幽と居たことを問われるも、敢えて知らなかったと惚ける。
七草は豊倉らが缶姉妹とは相いれない事を知ると、樒に相談。出した決断は・・・
「彼らを…」
「試す、よね?」
「絆で?」(はて?)
鬼灯、星薊、蕨が疑問を抱く。
「なるほど。実質は見張り役…みたいなものだね?」
水仙が意図を読み解く。
「ええ、さすがは水仙。」
「そっか、豊倉陣営についたからって、ウチらが直接争うことはないのか。」
「むしろ、豊倉陣営自ら懐に七草の刃を突き付けるようなもの、よね?」
樒の話に、理解を示す鬼灯と星薊。
「ちょっと待った。聞いてりゃ3人だけが豊倉陣営につくとか、奴らだってバカじゃねぇ。怪しむに決まってる。最悪は人質になりかねないですよ?」
一本松が懸念する。
「ハハハ、ないない。」
「ウチらが人質に?」
「そんなことになれば、そいつらを殺して終わるだけ、よね。」
「…な…何?」
一本松の懸念に笑顔で応える水仙と鬼灯。星薊の落ち着きに肝を抜かれる一本松。
「フフフ…そこは、わたくし自ら豊倉と戸賀崎に布告しますよ。」
「え?」
更に威圧感を放つ樒に、一本松は恐怖を感じる。
「わたくし達は下につくわけではないことを。」
「ー!」
解決したかのようなその場の笑顔の七草。
(こ…こいつら…キレ者どこじゃない。やはり狂ってやがる…しかし、どこか味方であればそこに安心感すら得る...)
一本松は拳を握る。
「一本松さんへの三条暗殺は、変わらず実行して下さい。あなたの意思を示すためにも。」
(俺は、そこまでデカい人間じゃないが…)
「わかりました!」
(むしろ、七草の様になりたい…この脅威的な狂気を武器にする人間に…!
その為なら、なんでもしてやるさ…)
一層、拳を強く握る一本松に、七草はその気持ちを察していた。
「明日の夕方には、鈴蘭と礼央も中へ参ることでしょう。全員揃ったら、豊倉陣営へ向かいます。教えてあげましょうー」
ー実質的な主導権を持つのは、紫の七草だということを…!
◎和都歴452年 3月25日 11時半 置田村・神奈備 白石組集会所 西側領主の間
外交官のリーダーとして、綿貫は三条を連れ、西側領主の間へ辿り着く。
(千毬さんにも伝えたように、俺は豊倉に取り立ててもらうくらい信用は得なければならない。栃虎に三条を付けられた事はだいぶ足枷だが…やりきるしかないな…!)
綿貫は隣を歩く三条を煙たく感じつつも、西側領主の間へと入る。
「失礼します。」
「おや?綿貫ではないか?」
「ご無沙汰してます。」
「フッフッフ…まあ、入って寛げ。お前の事だ、ただの挨拶ではなさそうだ。」
豊倉がそういうと、池澤は綿貫と三条の元へと来る。
「どうぞ。」
「恐縮です。」
席へ案内されると、豊倉、池澤が席に着き、綿貫と三条も席に着く。
「さて?何の用かな?」
豊倉が不気味な微笑みを浮かべる。
次回2026/3/19(木) 18:00~「第11章・39幕 権謀術数・綿貫➀ ~誤算」を投稿予定です。
毎週(木)(日)18:00に投稿致しますので、御期待下さい。




