第11章・36幕 権謀術数・栃虎② ~密談
今回の登場人物
■ ▢ ■ ▢
◎相島一派
・大須賀 栃虎 (おおすがとちとら)
栃春の息子。パッと見はイケメンで、育ちの良さを伺わせるも、裏の顔は悪業に手を染め、暴行を繰り返す。人身売買から、婦女暴行を息をするように行う。虎太郎の仇の1人。
・藤江 敦夫 (ふじえあつお)
刑務官人。貧民あがりで綿貫の仲間。笑うと更に悪そうな男。
・内川 貴実 (うちかわたかざね)
刑務官人。無口だが非道で綿貫が拾ってきた悪人。
■ ▢ ■ ▢
◎現在の十戒絵馬
一、中へ入ると出ることが出来ない。
三、菫の殺害を禁じる。殺害する場合、ゲーム『神々の晩餐』にて菫と勝負し、負けた方は死亡する。
四、他勢力のエリアに赴くには、そのエリアに予め【外交官】を1名以上置かなくてはならない。
…発動中!
【前回までのあらすじ】
白石菫を倒した者が、赤島の代わりに八俣の乙名となるという白石討伐競争が開始された。
しかし、菫は実は午の器・十戒絵馬の持ち主で、その能力・10のルールの下に攻略する必要が出てきてしまった。
菫が、神器の力でルール、白石集会所からの退出禁止を施行する中、相島派と豊倉派は、徐々に人を中へと送る。
両派閥が、各界隈から、増援として人員を引き入れる。
人員確保を終え、相島派も豊倉派も、外交官の攻略に出ると、まず【領主】を決め、同時にそれぞれ【東の者】【西の者】を承認すると、相島派は翌朝、【外交官】5名が立候補。そして西側にある、東側領事の間へと移動すると、七草の鬼灯、星薊が、直ぐに外交官・水仙を呼び出し、合流する。
一方で、八咫烏は、雌蟷螂と山楝の夢占いをするが、どちらの悪夢にも最低限の対策は設け、先に進む傾奇衆。
八咫烏は、更なる神器覚醒へと興味を抱き、寺院にいる、守役長・鉾田路へ謁見に向かう。そこで、禍津社の一人の抹殺を試練として課せられた。
同じ頃、白石組集会所へ侵入した豊倉らも、外交官に緑川組の奴隷4人の内の1人・土手と、意外にも妖会の夜光幽が名乗りを挙げた。一足先に土手と東側領事の間に移動する夜光幽。しかしその実はなんと小夏だった。
その少し前、綿貫が外交官の役割を各自に求めると、栃虎は一本松と三条とで画策する。
綿貫が七草らに同行者を求めるよう仕掛けてもらうと、藤江と外川が来ると栃虎が出張る。綿貫が西側領主の間に出向くと言うと、そこに三本松を同行させる栃虎の奇行に動揺する綿貫。
更に樒自らが同行者を求めて一本松を指名に来ると、一本松は東側領事の間で、七草に囲まれ恐喝されつつも、七草に味方を宣言する。その証に三条の暗殺を約束する。
瀬織津に残る七草も中へと向かい、千毬は客人を迎える。そう、妖、本人であった。
少し遡る頃、雌蟷螂と化猫が到着。スパイとして外交官に任命されるが、護衛がいた方が安全と言う八咫烏の判断から、獅子王と薄笑は急ぎ、東側へと移動を開始すると、東側領事の間から七草が出てくる。一触即発となろうも、お互いそれぞれの目的地へ移動する。
七草は西側領主の間で豊倉らと今後について話をする。缶姉妹に少しでも味方をする立場であれば容赦しないという脅しをかけるも、池澤は反論する。
その時、戸賀崎が言葉を挟み、お互いの白石菫の殺害後の動きを示し合わせると、同盟を組む価値を提示する。
七草は樒に相談に行くと、去っていく。すると、岩田が豊倉と池澤に聖釘を差し出し、緑川から引き入れた奴隷を、その力で兵士化しようと企む。
その時より4時間前、栃虎は外交官として藤江と内川に呼ばれ、西側受付へと向かう。藤江は栃虎に内通者かとストレートに聞くも、それをはぐらかし、逆に千毬の推察からだと聞き出す。内通者かを答える代わりに、栃虎は自分に付かないかと誘いを入れてくるのだった・・・
「栃虎と組む?」
藤江は懐疑的になる。
「悪くは…ねぇんじゃねぇか?」
内川が前に出てくる。
「内川?」
「相島さんが仮に押され始めて、万が一でも負けたとしたら、そこから初めて次の就活するよりよ、今ここで保険を張っておくというのは、それこそ俺たちの利にはなる。」
「しかし、それは綿貫さんに対しても裏切りにならないか?」
「綿貫さんを信頼してるんだな?」
内川の意見に反論する藤江の言葉に、水を差す栃虎。
「義理を通すのは筋のモンとして立派だけどさ?綿貫さんだって窮地になったら自分の保身くらいもう考えてたりしないかな?」
「何?」
「今だって西側領主の間に行ってるよな?」
「それは…!」
「それは?」
栃虎がニヤける。
(栃虎め…!しかしここで綿貫さんが内通者を装うつもりである事を言うわけにはいかない。仮に栃虎と豊倉が繋がっていたら、この作戦も看破されてしまう…)
「…なるほど、たしかにな。」
(ここは、俺も栃虎に対して忠義を装うのが最善か。)
「綿貫さんも、何だかんだで逃げ道は用意している、そういうことだな?」
藤江が本心を秘め、建前で話を進める。
「まぁ、それもお前らのいう❝推定❞だけどな?」
「話を戻すと、条件付きとなるのは、栃虎と組むこと。それは了承する。」
藤江は内川の顔を見ると、頷いてみせる。
「よし。口だけじゃ信用できないから、1つ試させてもらう。」
「待て、まずはお前が内通者なのかー」
「ー内通者じゃない。」
藤江と内川は開いた口が塞がらない。
「どうした?聞こえなかったのか?」
「それを信用しろと?」
「俺はさっきも言ったはずだ。この白石討伐競争に生き残るのが真意だと。」
「どちらにもつかない、それはどちらの内通者にもならない、と言う意味にイコールだと?」
「そこは察してくれ。ただ、俺の条件を知ったお前らが、これに賛同しない行動をした時は、俺も実力行使をせざるを得ないが。」
栃虎が、藤江と内川の目を見据える。
「わかった。信用してくれるよう立ち回る。」
「…いいだろう。じゃあ、俺はもう西側領事の間に戻る。お前らもちょいちょい顔出しに来てくれ。」
「わかった。」
そういって茶を一気に飲み干すと、栃虎は部屋を出て行く。
「内川、助かったよ。危うく綿貫さんの作戦を話すところだった。」
「いや、俺はほぼ賛同だ。」
「何?」
「生き残るという意味でだ。仮に相島さんが負けなければ、栃虎はこちらの追い風にもなる。悪い話じゃない。」
「…それはそうだが。とりあえず、綿貫さんと樒さんにこの密談をどう報告するか。」
困り果てる藤江。
「俺が報告する。それこそ赤裸々にな。」
内川が覇気を込めると、二人は東3号室を後にする。
「面白くなりそうね。」
隠れていた小夏が陰からその姿を現した・・・
次回2026/3/12(木) 18:00~「第11章・37幕 権謀術数・栃虎③ ~内通者」を投稿予定です。
毎週(木)(日)18:00に投稿致しますので、御期待下さい。




